ごじょーくん=五条 新菜 ― その着せ替え人形は恋をする

私という人間はアニメの原作と呼ばれる原作著作物の作者様には非常に申し訳ないのですが、アニメ化されそうな原作はラノベも漫画もできるだけ読まないようにしていたりします.それは単に原作を先に読んでしまうと十分にアニメを楽しめなかったり,原作との差を少し違和感をもって見てしまったりするからであります.

で,実はこの着せ恋については原作者の福田さんもおっしゃっていますが,私もアニメ化されることはないだろうと思っていたので,1巻が世に出たころから読んでおりました.まあアニメ化の情報が世に発せられた時点ではヤングガンガン誌なので男性向けサービスシーンが多すぎて,アニメ化するにしてもたくさん消しが入ってしまったり,あまり有名どころではない製作会社さんがやることになったり,そういったシーンを削除するために原作改変されまくってしまうのではとか少し欝な気持ちになったりしました.でもまず製作会社さんがCloverWorksさん(元A-1 pictures)で,これは期待が持てるかも?なんて思いいざ始まってから一話をみただけで原作への忠実さやアニメならではのエフェクト,声優さんの嵌り具合,OP,EDのすばらしさなど全面的に降伏状態になってしまいました.もう放映の次の日からアニメ好きであった方もそうでなかった方も含めた一大ムーブメントになってしまうほどでして,そんなことつゆも考えていなかった私は今更ながら本当に申し訳なく思う次第なのです.

そんな未曽有の大ヒット作で2期は確実視されているような作品の原動力は間違いなくまりんちゃんの健康的なエロさやコスへのひたむきさ,その裏で持つ隠れた純真さなどであろうと思います.間違いなくアニプレックスさんで様々なまりんちゃんのコス姿フィギュアを限定販売してしまうんだろうな〜なんて(すでにひな人形プロジェクトはあるようですね)思いますが,なかなかフィギュア化するのに難しい絵柄でありますので,そこらへんは造形師さんの腕の見せ処ってことですね.

でも,このマリンちゃんと同等かそれ以上のひたむきさや純真さ,そしてエロさを併せ持っているのが実はごじょーくんこと五条新菜くんであり,そのごじょーくんの特性をもって私はこの作品の中での推しキャラナンバーワンとしてマリンちゃんを押しのけてでもご紹介したくなったわけであります.

<技能へのリスペクト>

この作品の中でごじょーくんの自宅兼店舗がある設定の岩槻という街はまあ岩槻区全体というわけではありませんが本当にひな人形を主に製作,販売してらっしゃるお店が多数存在します.国道16号線にもでっかい看板が出ていたりしますし,駅前周辺を何度か車で通ったことありますが,ほんとにこじんまりとしたたたずまいの中にホントひな人形屋さんが多く存在します.今や少子化で売り上げも伸びないでしょうけどしっかりと文化を培いながら技能を現代風のトレンドも追いつつ合わせこんだり並々ならぬ努力をして文化の灯をともし続けているような印象であります.

幼いころに両親を亡くし,そんなお店の一つをやっているおじいちゃんと二人暮らしをする中で成長してきたごじょーくんですが,おじいちゃんのひな人形に一目ぼれし,人形師の中でも最も重要と言われている頭師を目指すと幼心に決心したわけです.しかし幼馴染であったのんちゃんに気持ち悪いと言われてしまいます.それが元で自宅がひな人形店であることや人形師を目指していることを一切友達に明かせなくなったわけです.

で,幼いうちにそんなトラウマを経験したのであれば夢をあきらめるという選択肢もあったんでしょうが,このごじょーくんはブレません.人に隠し通してでも自分の夢をかなえようとついに高校生にまで成長してきたわけです.それではなぜごじょーくんはここまでかたくなに夢を追い求めることができたかということですが,それは幼いころに見たおじいちゃんの技能の高さを目の当たりにして,それがしっかりと記憶にインプットされていたからにほかありません.私は優れた技能というのは人を魅了するだけの何か魔力のようなものが存在すると思っています.そしてその技能をいつかは自分が持ちたいと常々思っていたりしました.この過去形な理由は,もういい加減に年をとって目が悪くなってきたために,あきらめざるを得なくなったからです.まあ目が悪くなる前に技能をある程度習得できていれば,後は慣れでできる部分もあるのでしょうが,私が求めている技能というのはそれではダメで,常に上を目指しているレベルでないといけないと思っているために,技能をリスペクトするからには私が中途半端な状態で真似事するのは,失礼なことではないかと思っているからであります.まあレーシックだとかレーザーの白内障手術とかあるんでしょうけどね.

そんな感じの技能へのリスペクトの感覚がごじょーくんの一挙手一投足から感じられ,あまりにも共感が強いがためにまりんちゃんを押しのけてしまったということなのです.

<キレイとカワイイ>

ごじょーくんにとって綺麗という言葉は特別です.確かにひな人形をみてキレイと感じる人はなかなかいないのではないでしょうか?今風だと一言目はカワイイと言ってしまう人が多いのかもと思います.恐らくごじょーくんにとって普通のひな人形をほめる場合も同じくカワイイと表現するのかな?と想像してしまいます.そして前出ののんちゃんについてもまだ幼い時期ですのでひな人形を見る目はまさにカワイイだったのではないでしょうか?まあ確かに第一次性徴期で男女の差異に特に敏感な年頃は,男の子がカワイイものに執心していると異物として反発してしまうでしょう.でもごじょーくんはキレイということでひな人形を見ていた.もちろんその先には技能へのリスペクトがあったわけですが,そんなの幼い女の子にはわかりませんよね.

実は私にも同じような経験があります.といってもスキル云々の話になるかどうか微妙ですが,以前のカタリナの時もご報告しましたが私の場合小中高と結構少女漫画を多く読んできました.それの理由について中学生ぐらいになってわかってきたのですが,絵がキレイであるというのが一番の理由であることに気づいたのです.まあ絵がキレイでない少女漫画もありましたし,逆に絵のキレイな少年漫画もなかったわけではありません.でも総じてキレイな絵が見れることに魅力を感じ,少女漫画を比較的他の男の子より多く読んできたと思います.この着せ恋を漫画で読むようになって気づいたのは,当時の私は少女漫画をカワイイと思って読んでいたことはなく,キレイと思って読んでいたことでした.そんな感じでキレイとカワイイの差を改めて認識したわけです.

で,そのキレイに対する特別な気持ちをまりんちゃんに吐露したわけですが,これもやはり相当心を許してなかったら,話せていなかったと思います.それほどにまりんちゃんのコスへのひたむきさや,好きなものへの執着とスキルへのリスペクトを感じ取り,全然違う世界の人間なのに,少しは自分と同じ部分を持っている人ということで心を許すようになったのだと思います.

そして,コスイベントの帰路,ついに睡魔に襲われつつもまりんちゃんに言ってしまうわけです.短いフレーズで無意識でありつつもインパクトの強い言葉になったわけですが,もしあの埼京線の中での一言がなかった二人がどうなってたであろうかとか想像すると原作の漫画のころからしっかりとストーリー構成がされているなぁと感じる次第なわけです.まあその重要なシーンの隣の車両から様子を見ている人がいるなんて思いもしなかったでしょうが.

<素敵>

もう一つこの作品の中にはインパクトのある言葉が存在します.ジュジュさまが思わず漏らした.素敵だわという一言です.これはごじょーくんが持つ技能の高さ,ひたむきさ,多様性への適応力などを総合して素敵という言葉になったのでしょう.まあ,この素敵という言葉はキレイに向こうを張る意味があるような気がします.まあすでにアニメの中に伏線は出てきていますがタイトル通りの恋をする着せ替え人形(ビスクドール)の一人がこのジュジュさまではないのかなということになります.まあもちろんその相手は想像にお任せしますが,三角関係の泥沼のようなことになったりはしないのかなとか,今のうちからいろいろ各話に伏線が埋め込まれていて退屈しない構成にも感服するわけであります.

<2期への期待>

実はまだ2期についてこれを書いている時点(10話放映:OPの挟み方が秀逸!)では公式発表はありません.制作側も2期がなくてもいいように構成していると思いますので,私としてはコミックのほうを見ている限り,今クールの終わりはここだなというのがある程度想像がついていたりします.でも実はわたしがごじょーくんの格好良さがもっとも出ているシーンはそれより後にあったりします.なのでもともとアニメ化さえも期待していなかった私がいうのもおこがましいのですが,2期は絶対にやってもらわないと困るのです.まあこの人気であれば劇場に持って行ってもおかしくないでしょうけど,劇場版1本だと長さが足りないかもなのでやっぱり2期1クールはやってもらわないと困るわけです.

ちなみにごじょーくんの名フレーズとしてもう一つ,”行動力!”っていうのがあります.けどこれは”キレイ”とは違ってほぼまりんちゃん専用フレーズになっていて,しかも五条家の玄関先での頻度高めだったりします.最近漫画のほうでは出てきていませんが,今後もまりんちゃんの行動力にさらに振り回されながら技能を高めていくようなごじょーくんの姿を見ていきたいと思う次第なのであります.

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