Canon F-1のモードラMFの修理(その2)

落胆もほどほどにして,早速作業計画を練ります.まず私の3万台は電池室の蓋と,グリップの主に3分割されるうちの下のユニットがまずいだけではないかと思われます.この部分さえ入れ替えればなんとか息を吹き返すと思われ,なんとかグリップの上部,中部は3万台,下部は1万台といった修理をすることにしました.

でも基盤を見てみるとコネクタなんてなくってすべて直出し配線.で,電池室の蓋との接点は一本の配線で結ばれているだけなので,ここはもうハンダ付けしかありません.まずその接点部分をよく観察します.前回ご報告したように,なぜか3万台のほうにはこの結線にサーミスタのようなものが付いています.単なる電池の陰極の戻し配線のはずなのになぜこんなところにサーミスタ?それともヒューズと思いながら観察することしばし.で,よくよく見てみるとこの部品と思しき物,どうやら単純に配線を延長しているだけのようです.黒い配線を2本結線するのですが,場所がないので,何か樹脂のようなものでその結線部分のハンダを固めてあるだけのようです.そういえば,この時代はこのサイズの熱収縮チューブなんてなかったもんね〜.納得.

納得してしまえば話は簡単.と,早速ちょきんと切って,口出しします.すると配線がえらく切れやすい.もう30年以上経っているわけで,それお無理はありません.といっても配線そのものを基盤についている部分からハンダ付けし直すと 他のトラブルも出そうなので,基盤にはアクセスせずあくまでもその部分で継ぎ足し補修を行います.

口出した次にハンダを乗せるのですが,これがまた大変.しばらく慎重に被覆が焦げる寸前まで十分に配線を暖めないとハンダが乗りませんでした.もう本当のところこれは変えたほうがういいんでしょうね.でもこちらも意地になってますので続行です.

あとは継ぎ足しの配線を付けるだけ,こっちは新しい配線材なのでハンダが乗りやすい.お互いつきあわせてハンダ付けし,熱収縮チューブをかけます.

お次はその延長部分の先を稼動接点の根元側にハンダ付けするのですが,これがアルミ部品の奥に入っているので大変.周りに半田はつきやすいし,一旦付いてもすぐに半田が丸まってしまってやり直し.何度かトライして結局ストロークはちょっと減りましたがなんとか付きました.ここで接点と基盤側のアースが導通しているかをテスターでチェック.結果は○.

あとはてきぱきと元に戻して本体に付けて電池を入れます.いよいよ緊張の一瞬です.電源ダイヤルをSの位置にしてシャッターを切ります.

パシャ,キューン

おお!動きました.数回切ってみてばらつきや異音がないのを確認しました.今度はフィルムを入れて確認.同じく問題ありません.以前よりスピードは若干落ちているような気もしますが,今も変わらない軽快な巻上げ音.高校時代の何か忘れていた物を思い出させるような,そんな音です.ちょっと感傷に浸ります.ああ,懐かしい.

で,調子に乗って最近購入したTAMRONの望遠ズームをつけて,ストロボを乗っけてみました.すると,思いがけず右腕が攣りそうになってしまいました.ははは,これではまた体を鍛えなければいけませんね.

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