タイヤバルブの破壊からもまたしばらく時間がたって,もう季節は夏.ずいぶん気候も変わったというのに未だにFZR250はしばらく乗るとアイドリングが上がってくる現象が消えずにいました.まあ2000回転を超えることはないので,渋滞にハマったりしない限りあまり気になりませんし,所詮エンジンブレーキにも期待していませんので,長期放置してきたということになります.これはひとえに策がない上にタンクの取り外しだけで大変な量のねじや部品を外さなければならないからに他ありません.そうはいってもやっぱり気持ち悪いわけで,もう一度キャブレターを見てみることにしました.

で,まだキャブレターは外していませんが,ここまで持ってくるのにシートカウル,タンクカバータンクキャップ,インテークダクトなど外しまくってもうクタクタです.実は策がないといいつつ,怪しいと思っている部分はあるわけで,そこをこの状態で確認します.まずはアクセルワイヤーですが,前回チェックをしたものの,あんまり意地悪な試験をしていませんでした.なので今回はハンドルを左右に切ったときとか,少し途中に厳しめの曲げを与えたときとかをやってみて,戻りが悪くないかを確認します.結果はアクセルワイヤはシロということになりました.
次に疑ったのはキャブレターのバキュームピストンです.これがアクセルオフで下がりきらないようなことがないかをチェックします.これも前回簡単に指で上下させてチェックしたのですが,いじわる試験まではしていないので,今回ピストン中央ではなく左右いずれかに指をずらしてゆっくり下げるというのをやってみました.すると4ケ中2ケでちゃんと下まで下がらないものがあり,途中で突っかかるような感じで止まってしまいました.その状態でアクセルをひねってショックを与えると徐々にピストンが下がる感じ.
となるとこの現象が原因でアイドリングが上がってしまう可能性が出てきました.なのでキャブレターを車体から外して,バキュームピストンを外し,スライドレールの摺動部分をピストン本体とキャブレターボディの両方清掃します.キャブレターボディのほうは細い綿棒でかなり細い溝をさらいましたが,結構汚れており,恐らくこの汚れのせいで摺動がスムースでなかった可能性があります.ちなみにこのFZR250はカワサキのダウンドラフトほどではありませんが,GENESIS思想でシリンダ角が前傾のきついヘッドに合わせてかなり寝かして車体に搭載されます.要は重力方向と摺動方向の差が大きく,スプリング力だけで戻すような感じになっているわけです.そこにこのような摺動不良があれば,当然アクセルOFFでも戻り切らない状況も起きるのでしょうか?
さて,清掃の終わった状態でバキュームピストンの動きを確認すると,まずキャブレター本体を斜めにして摺動が厳しい状況にしても動きはスムースになりました.キャブレターを車体に戻し,さらにまた面倒なタンクカバー,やシートカウルなどを装着していきます.ホントにメンドクサイですが,昭和の設計なのでメンテナンス性よりも馬力重視ということと考え,我慢することにします.
さて試運転です.夏なのですぐに水温も上がり20分もすれば今までアイドリングが高くなってしまう頃合いになります.信号もない試運転コースなのでコースわきに車体をとめアイドリングを確認.といってもタコメーターが3000回転以下はありませんのでヘルメットを取って音で確認します.よーし,高くなっていない.さらに念押しのため倍近くの距離を走ってまた確認.どうやら変化はありません.よっしゃーっ!
というわけでアイドリングが高くなる問題.これで解決ということになります.まあキャブレターがこんな角度に寝るようになって,まだ年数もたっていない時期の設計ですので,そこんところまだ最適化されていないんでしょうが,やはり少しの汚れでも摺動部にあるとこのようなことが起こってしまうということで,通常の正立に近いキャブレターにおいてもオイルを馴染ませるだけでなく,きちんと摺動部は清掃しておかないといけないということがわかりました.(←何年やっとんねん!)