腰下が車体に載ってクラッチもちゃんと付いて，さてこれからスピードを上げて組上げようと意気込んでいたのですがいきなりシリンダーを載せようとした次の週末，実はそこまでの道のりを一気に水泡へと帰するような衝撃的な事実が判明しました．
まずはその顛末から．前の週末にかなり苦労して腰下を車体に載せることが出来，次にクラッチをやり，それでも腰下だけの状態でカバーを掛けているとはいえ屋外に長期間放置して置くのはエンジンに好ましいわけがないと思い，次の週末にはピストンとシリンダーを装着する方向で算段をはじめました．
材料はすでに入手済みで，Z1100GPのシリンダーブロックとGPz1100のピストン．ピストンリングとピストンをはめるときに使うリングコンプレッサも入手済み．でもピストンはあまりに入手から時間が経ってしまったこともあり，どこにしまったか忘れてしまったので家捜しにかなり時間を要してしまいました．
で，なんとか見つけ出してもののチェック．ピストンの上面やスカートにも傷なんかなく，カーボンの堆積もそんなでもありません．シリンダーブロックについてもスリーブに傷もなく，フィン欠けもありません．この時点で自分的には良い買い物が出来たということでかなりご満悦状態でした，でピストンを微小についたカーボンを落としながら見ていたところ，ピストンピンは入っているのですが，それが抜けないように入っているサークリップが片側入っていません．
うーん，ここは気付かないよな〜と思いつつ，以前興味の赴くまま落札してしまったZ1100GPのピストンからこのサークリップを流用しようということで再び家捜しします．実はZ1100GPとGPz1100ではそのピストン形状がことなり，ピストンそのものは流用できないということはすでに把握済みだったのですが，違いはピストン上面の形状だけだろうということでサークリップの流用が可能だろうと考えたのです．幸いにもすんなり見つかり，サークリップを移植します．あれれ？GPzのピストンにZGPのサークリップを入れると見事に落下してしまうではないですか．何で？
ということでピストンピンの径をおのおの測定してみるとGPzの17mmに対しZGPは16mm．こんなところにも違いがあるとは全く知りませんでした．またちょっと長めのめまいが私を襲います． これは私にとって何を意味しているかというと，今車体についているクランクシャフトもZ1100GP用を装着しているので，もしGPzのピストンを装着したければ，新たにGPz用のクランクシャフトを入手しまた腰下割りをしなければならないということなのです．
今まであまりに多くの紆余曲折を経てここまでやって来ているところへ来て，そんな手間今更かけるほどの気力がすでになくなってしまっている私．血圧が急激に落下していくのを感じながら，気を取り直し，一縷の望みをかけノギスを持って車体にかけ寄りました．腰下から少しだけ顔を覗かせているコンロッドの内径を測定．しかし残念ながらそこは見事に16mm．頭の中に甲子園のゲームセットのサイレンが鳴り響く甲子園球児のような感覚を覚えつつ，すごすごうちの中に戻る私．もう何も考えない．考えられない！ その日はもう何もする気がなくなってしまって，さすがに次の日には長期戦の色が濃くなっていることが明らかでしたので，腰下の内部にオイルを吹いてサランラップを巻いておきました．
さて意気消沈しているのもほどほどにして，方針を考えなければいけません．まあそんな気持ちになったのもそんなこんなでひと月程度経ってしまった後でしょうか．ほとほと自分の心の弱さに反省しきりでございます．
でもなかなか方針決定には至りませんでした．というのも，あいにくGPzのクランクシャフトというのはやはりZ系エンジンの最終兵器ということで人気が高く，そのため私の買える価格帯まではこなれていません． またそれに加えまだ入手出来ていないヘッドASSYがこれまたべらぼうに高く，今の今まで購入できずにいるわけなのです．これらを合わせると追加の出費はアメリカから輸入したのにかかって額を超えてしまいます． またクランクシャフトが違うということはわかりましたが，たとえば，カムチェーン周りは今まで主にZ1100GPのものを共通に違いないということで入手してきましたがそれらがもし共通でなければその高いお値段のつくGPzのものを入手しておかなければならないですし，もしその出品者がそんなことお構い無しにとりあえずGPzを商品名に入れていたとしても確認のしようがありません．
それに今までさんざん悩まされたA1と2と3の微妙なパーツの違いなど考慮すると，自分でパーツを寄せ集めてGPz1100のエンジンを組もうとしていること自体が途方もない自殺行為であるかのように思えてきました．こんな状態でどうやって前に進もうか？悩んで悩んで悩みまくっている私なのでした．
