”直観”の意義について(その2)

読んでからしばらく経っているにもかかわらず10年近く経ってからの発刊ということで冷静さを失っているかもしれません.文章力の低さも相まって,長々しくなってしまっている点,非常に申し訳ないです.もし興味をもってお付き合いいただける方がいらっしゃるならそれだけでありがたいことであります.で,続けていきましょう.

<印象深いところ(その3:初詣1発目の神社)>

まだまだ本巻のメインともいえる”鶴屋さんの挑戦”のところまではいけていません.そうまでしてどうしても触れておきたいのが初詣第一弾のところです.まあ単にもしアニメ化されたときのSOS団女性陣の晴れ着フィギュアの可能性のためのトピックともいえるところですが,私にとってはここでの様々な描写がどの神社をベースにしたものなのかとても気になるのです.で,やはりこの神社はどこをモデルにしてるの?ということになります.西宮ということで初詣は行列ができるような有名どころの神社は,西宮戎か門戸厄神と広田神社となります.その中でもやはり私としてはここは広田神社なのではないかと思うのです.というのは,参拝前に破魔矢などを売っている巫女さんを眺めることができている描写があります.また門戸厄神であれば階段の上り下りやちょっと狭目のスペースの描写があってしかりと思いますので,最もマッチするのが広田神社ということになるのです.まあ,巫女さんの部分以外はこの予想に合致するような描写がないわけですので谷川さんも確固たるモデルを意識して書いているわけではないような気がしますが,私はあえてここは広田神社が最有力と言いたいわけなのです.

<印象深いところ(その4:朝比奈さんの成長)>

そしてまだまだ”鶴屋さんの挑戦”のところまではいけません.ここではほんとに地味なところですが,七不思議のところです.ここは上記,”挑戦”のある意味布石のような意味合いのところでして,そのような意識がなく読んでしまうと退屈してしまうところでしょう.まあ,ここらへんは好きな方はしっかり読んでおけばあとでいいこともあるかもしれませんよということでしょうか?その中で,1点だけこれまでと大きく違う行動をとっている人がいることに気づきます.それはこの中で禁則事項です.ふふっとキョン君の期待の上を行く返しをしているみくるさんなのです.要はそれまでのみくるさんであれば禁則事項についてこのような陽気な返しはできなく,申し訳なさそうに小声でつぶやく感じであったかと思います.でも,おそらくですが驚愕の様々な出来事を経て,キョン君との関係や,自分の立ち位置などが明確になり,このような大人の返しができるようになったのでは?と思うわけです.まさに,朝比奈さん大人バージョンへの成長の第一歩をここで証明しているのかな?などと思うのです.

あと,ここの章ではもう1点気になったところは,エアコンのくだりのところで,安普請なおかげで壁がペラく,夏は暑くて冬は寒いという,ほとんど野外教室状態という表現が今回も使われているところです.これも前述しましたが,特に冬場は山間部であることもあり,これを痛感せざるを得ず,実際当時の北高に通っていた人たち全員が感じていたことであるわけで,ある意味谷川さんも私もほかの北高OB,OGたちも遺伝子レベルに刻み込まれた常識のようなものであるなと再認識した次第なのです.

<次への布石と思われるとこと>

さて”鶴屋さんの挑戦”のところに触れると結構ネタバレの危険があるので,皆さんの期待を裏切ってしまいますが,その後の描写部分にすっ飛んでしまいましょう.実は本作は謎解き部分ということで,本来ならすぱっと終わるはずと思って読み進むと,この編ではなぜか少し長めに何かにおわせるように,いろんなトピックや人の名前が出てきたりします.特に古泉くんとの語らいのところではある意味不自然にいろんなキャラクターが普通の人間なのか,そうではないのかを語り合う場面が出てきたりします.これが本当に不自然でして,私としてはある意味前作から期間が空いてしまった中で,これから登場するキャラの存在を読者にリマインドするためにある会話のように思えてならないのです.もしその私の邪推が正しければ,谷川さんがこれらのキャラを駆使して編み上げたプロットがすでに存在していることになります.まあ所詮私の”直観”にすぎませんので,この点はさらっと済ませておきたいところです.でももし幸運にも続刊が出た暁には鼻高々になってしまったりしますし,こんなことを書いていること自体谷川さんのプレッシャーになってはいけないので,ここはやはりこれ以上は自制しておくことにしましょう.

<やはり京アニの件について>

そしてあとがきのあとがきの感じですが,やはり谷川さんは京アニの件についてコメントしてくれています.何もなかったらどうしようとか心配するほどではありませんが,私としては気になっていたところでして,やはりあれが谷川さんの心にも影響を及ぼしてしまっているのだなと思います.その中で谷川さんの示してくれた2行の文章はまさに私も感じていたことであり,おそらく私以外も多くの人がそう思っていることでまさに文中の”私”を”私たち”と置換するにふさわしいものであると感じます.その一方で,実はこの”直観”が京アニの優れたクリエイターの皆さんへのレクイエム的なもので出版されるのでは?とも感じていました.ある意味それは谷川さんの意に反して,周りから即されて半ば強制的に執筆することになった可能性も出てくるので,それは果たして好ましいことなのだろうか?などと心配したりしました.でも,私はこのあとがきのあとがきを読んで,決してそうではなかったことを感じ取ることができました.そのような複雑な感情が入り混じりながらも,本作の後に再びSOS団の大活劇が続編において描かれ続けることを切に願いつつ,谷川さんには決して無理をせずマイペースに執筆を続けていただきたいと思う次第なのであります.

そんなこんなで正直アニメではなく,原作の方でweb文章をしたためたのは今回が初めてであったかと思います.思い返せばこの刊の発売を期待しつつもあきらめかけていたがために,その反動でこのような無駄に長々しい文章を書いてしまったのかなと思い,反省しつつまたこのコーナーに新たなコメントができることを願ってやまない私なのであります.

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