関西スーパー広田店

ハルヒたちがエンドレスエイトで被り物のバイトをする(正確にはハルヒ以外のSOS団員だが)スーパーのモデルが関西スーパー広田店である.キョンくんの行動範囲から推測して同じく関西スーパー大社店のほうを聖地めぐりしてしまう人がいるが,それは間違いなので注意が必要である.確かにシャミセンの飼育セットを買いに行くホームセンターがこの大社店の並びにあるロイヤルホームセンターであるため,間違うのも無理はないが実はこの2店では店の感じとかがぜんぜん違う.これはそれぞれの店舗の開店時期が全く違うという店に大きく影響されている.

本命の広田店のほうは開店したのが私が中学一年の時とかだっただったから79年あたりであろう.一方の大社店は震災後の2000年前後であろうか.その2時代のショッピング事情なんかも大幅に変化しているため都市近郊にありながらも広い駐車場があったり広い出入り口があったり店内が外からも見えるようになっていたりする.広田店についてはそれとは対極で店舗に大きな窓もなく,店舗前に屋根つきの自転車置き場があるため店の外観を認識することさえも難しい.スーパーの場合場所の特定には店舗の外観が重要なキーポイントとなるが,この広田店は外観の特徴ここらへんの事情も聖地巡礼者の一部が大社店と間違えてしまう一因となっているのであろう.

この広田店,開店当初はかなり広範囲にチラシを入れたのと,丁度どの駅からも遠い地区に初めて現れた中規模商業施設ということでヒットしたらしく私たち家族も休日に頻繁に利用した.店舗建物の中に当時まだ珍しかった小僧寿しがあって,休日の昼間などは良く遣いを頼まれた.その生活レベルの低さから握りの寿司を食らうことがいわゆるタブーであったうちの家庭では,法事やなんかでもない限りこの小僧寿しのみが年間通じて食することの出来る唯一のすしであったのだ.そんな小僧寿しでさえも鉄火巻き以上は頼んではならないという血の戒律によってささやかな休日の寿司パーティを楽しみにしていたことを思い出すたび未だこみ上げるものがあるのである.

ちなみにこの広田店はその入り口に特徴がある.出入り口は店舗の正面向かって左右に1箇所ずつあり,ここまでは普通のスーパーと同じであるが,このそれぞれの出入り口が特殊なのである.現在の一般的なスーパーであれば大きな荷物を持ったお客がすれ違っても人の流れが遮られることがないよう間口を広く設けるのがセオリーであるが,当時はその試行錯誤の時代であったようで,入り口と出口専用の狭い自動ドアが2つ並んでいたのである.しかも2重に.狭いながらも一方通行にすることで不便さを解消したつもりであろうが,これで人の流れがスムーズになったかといえばそうでもない.混雑時お年寄りや子供連れがいればその2重扉の間はゆっくり歩かなければならないし,子供がその特殊な出入り口に興味を持って遊んでいたりもした.それに少なからずストレスを感じるお客も少なくなかったように思う.

奇しくも震災後うちの実家がこの関西スーパー広田店のごくごく近所に引越した.そのためその頻繁に訪れた期間から20年以上を経て再びこの広田店に足を運ぶことが多くなった.といっても3年に1回行くか行かないかではあるが,どんなところが変わっていてどんなところが変わらないのかをきょろきょろして探しながら買い物そっちのけで探しながら店内を散策したりするのである.

で,その出入り口の30年後はどうなっているかというと,これが中途半端に変貌しているのである.本来なら出入り口をぶち抜いて大きな間口の出入り口に改築するのがセオリーなのだろうがそうではなく,自動ドアも2つあるし2重扉のままだし設備的には当時のままだったりする.しかしそのドアの運用方法が変わっていて,今では両方とも入るときも出るときもあいたりする.これではまるで不便極まりないのだが,それでもそれなりに常連客同士譲り合ったりして使えていたりするので,なんとかなっているようだ.

なおこの関西スーパーの脇には昔からボウリング場がある.現在はチェーン店展開をしている遊戯施設運営会社の名前に変わってはいるが,今も昔もそれなりに繁盛しているようだ.高校の頃この近くの公民館(これはさらに今の実家の目と鼻の先)で修学旅行の打ち上げパーティをした.一人だけ特殊な事情により酩酊してしまい友人に担がれてこの脇のボウリング場まで来たらしい.友人たちが楽しくボウリングしている脇で一人でいい気分になっていたというわけだが,思えばあれが初めての酒の失敗ということになろう.思えば友達もみんな飲酒していたわけだし,自分で立てないほど酩酊している奴を連れまわしていれば自然に目立つわけだから,補導される危険もあったろうに,それでも私をおんぶをして運搬してまでボウリング場に連れてきてくれた友人には今でも感謝している.当時の私だったら見捨てていたかもしれないなどと今になって思うわけだが,とにかくここで言っておきたい.F田くん,そのほかの出席者の皆様.その節はまことにありがとうございました!

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