部室について(その2:ブルーレイ発売記念)

さてブルーレイでポーズしながら映画館では見切れなかった部分についてどんどん語れば語るほど話題が満載の部室について,再び語ります.さて,まずは部室の中で最も目立つ一群からです.

<ゲーム機>

まず部屋の中で一番目立つのは天井からのアングルで俯瞰すると二人の座るソファの後ろに積みあがった様々なゲーム機が目を引きます.前回もコメントしましたが,これによりいったんマイコン部と名前をもらった時点を起点にどんどんゲーム機が部室に蓄積していったということが簡単に推測できてしまいます.ちなみにマイコン部の形跡はどこにあるかというと,一つだけマイコンが部室に鎮座しています.机の上にモニタはありませんが,SHARP製のX68000がでーんと鎮座しているわけです.これはあくまでもゲーム部ではなく,マイコン部である証として,どうしても部員たちは目立つところに置いておかざるを得なかったのではないかと思います.ちなみにその専用(?)モニタはソファの後ろに故障中という紙を貼られて置かれています.

で,そのカモフラージュのおかげでこの部室に存在し得たゲーム機たちですが,見えている感じでは次のようなものがあります.

・ファミコン
・スーファミ
・初代プレステ
・セガサターン
・ドリームキャスト
・ゲームキューブ
・PC-EX(II)→ 実はPC-FX?:棚の箱のみかも

などです.他は部分的に見えているようなものもありますが,私の知識では特定できないので,こんな感じでご容赦ください.で,この中で違和感を感じるものが二つあります.というのもこの部室が地質研究考古学部の廃部とともに立ち入り禁止となったのは1995年の4月です.なのにドリームキャストの発売は1998年,ゲームキューブに至っては2001年のことになります.

これは何を意味するかというと,立ち入り禁止であったこの部室に,なぜか侵入することの出来た者がいるということです.前回はテッシーが入るまではほとんど人が入ったことがないと書きましたが,ほとんどというのはそういった観点から考察したものです.そのほとんどがどういった状況であったかを空想するに,おそらくこの部屋にゲームを持ち込んで複数人で楽しんでいた輩が複数年にわたって存在していたということになるでしょう.そして,ゲーム機だけでは役に立ちませんので,それらのゲーム機に接続するためにサヤちんの後ろに見えるSOME(SONY)のトリニトロンモニタが使われていたのではないかと思います.

なお,それらゲーム機の上に乗っかっているゲームのパッケージの一つはメタルギアソリッドのようです.また,ファミコンに刺さっているソフトは特定できていませんが,通常サイズではなく少し背の高いゲームカートリッジです.確かに背の高いゲームあったよな〜と経験したことのある人は懐かしさ倍増ポイントだと思います.

ちなみにこれらゲーム機とは一線を画したX68000の存在についてはある意味私は違和感を感じざるを得ません.恐らくマイコン部創設時とかに導入されたとしたら,同じ価格帯から選択するならばそれは汎用性を持たせてPC-8801mkUか9801Fあたりであったでしょう.なのにX68000というのはなぜなのかと勘繰ってしまうのです.そして,その理由はもしかして新海さんが初めて買ってもらったパソコンがX68000シリーズであったからなのではないかと想像してしまうのです.

<糸森天?>

次に目に付くのは恐らく萌えるゴミでしょう.でもこれは1990年前後に拡散された文化でもあり,ある意味時代考証上セオリー通りのものなのであえてスルーしておきます.

それがゆえにむしろその方角とは逆の方向にある,糸森天…と書いた板について私はこだわってみたいと思います.というのもこの糸森天…の下にどのような文字が書かれているかについて私はブルーレイが届くまではあまり十分な検証ができていなかったのです.

ブルーレイでこの部分をポーズしてみることでようやくその下の文字を想像することができました.それはという文字です.そして天と文を合わせるとおのずとその下は部か台ということになるでしょう.しかしもし部であったとしたならその上は糸守高校でなければいけないでしょうから,ここはこの板に書かれている文字は全体で糸森天文台なのではないかと思うのです.そうなると,この板が生まれた時期にこの部屋は天文部であったのではないかと想像できます.

そこでこの板はもしかしたら糸森天文台の看板であったと考えるのが順当です.さて,ここで当初から気になる守ではなく森と表現されている2文字目の部分です.そして,天文部がこのような看板を必要とするのはどのようなタイミングかを考えた場合,それは文化祭ではなかろうかと思うのです.そして本来ならば糸守天文台とすべきところを,わざと2文字目を変えて,糸守ではなく仮想の町である糸森という地にある少しファンタジーめいた雰囲気のある糸森天文台という表記をあえて選んで製作されたものなのではと妄想してしまうのです.

もしかしてそこらへんの見る側の妄想までもを誘発するべくあの看板が描かれていたならば,それは恐ろしいほどの意識操作であるとも言え,今になって思えば綿密に張り巡らされた蜘蛛の糸に引っ掛かってしまったかのような恐怖にも陥ってしまう私なのです.

<無線機など>

この部屋で最もギミックが細かく描かれているものは,これではないかと思うのですが,それはサヤちんの後ろに見える無線機です.これは経験の深いアマチュア無線家の皆さんの中でも往年の名器と誉れ高いTRIO(トリオ)ブランドのTS520シリーズのうちの一つのようです.ただ,この本体の横にVFO(可変周波数発振機)が置かれていますので,VFO機能の搭載されたTS520Xではない(DまたはVまたはS?)ようです.確かに本体側の中央にあるインジケーターはVFO搭載のものとは異なるものになっていますので,恐らくこのモデルの発売時期は1970年代であり,アマチュア無線部の部室にこれがあるということはこの部屋が無線局として稼働していたとは思えませんので,どなたかがお父さんの使っていた無線機を何の拍子か部室に持ち込んでそのままになっていたと考えるのが妥当かと思います.

ちなみにTRIOというのは現在でいうJVCケンウッド社の前身の会社の名前です.この無線機の横にベータの(おそらく)SONYのビデオデッキとビデオテープが置かれていますが,そのトリオ社と合併することになるJVCすなわち日本ビクターの主流であったVHSのビデオとの対照を見出し,VHS−ベータのし烈な主権争いをこのサヤちんの背後のアイテムのみから連想してしまうのは私だけでしょうか?

なおTRIOとケンウッドの関係は,正式社名と海外向けブランドというようなものであったと記憶していますが,カワサキとニンジャみたいなもんだったのでしょうか?私も中学生のころオーディオバカになったことがありますが,ちょうどその時期は他にも様々なメーカーがオーディオの専用ブランド名を持っていたのを思い出します.

・NATIONAL(現パナソニック)→ テクニクス
・日立 → Lo-D(読み:ローディー)
・SANYO → OTTO(読み:オットー)
・日本コロンビア → DENON(当時の読み:デンオン)
・東芝 → Aurex(読み:オーレックス)
・三菱 → DIATONE(読み:ダイアトーン)

など,今では名前が完全にその親ブランドが消えてしまっているものもあって,懐かしいですね.ちなみにうちの寝室にはいまだにLo-Dの3wayスピーカーが現在も稼働中です.なかなかコンパクトなのに今となってもいい音を出してくれるので未だ現役だったりするのです.

<切断された消火器>

実は,ゲーム機の品ぞろえやTS520以外にも棚に積まれている無線機などのディープな描写もあり,あまりにも作り物っぽいのでこの部屋は美術スタッフさんたちの空想のみで成り立っている可能性も感じていたのですが,実はその一方で全部が全部ではないもののモデルになった部屋(あえて部室と断定していない)があるとも思っています.それは壁の落書きの内容や,掲示板の文書,付箋に書かれたコメントなど空想だけではなかなか1つ1つゼロから作りこむのは難しいものがある点が一つ.そして決定的にそう思わざるを得ない点がもう一つあるのです.それは三葉たちの前にあるテーブルの脇に置かれている2つの消火器です.

というものこの消火器の用途は一切不明ではあるものの,そのノズル近傍の部分がバッサリと切断されてしまっている点が,きわめて異常に思われるのです.もし空想上の部室を表現するのならば,このような消火器は登場しなかったでしょうし,もし何か参考した部屋の中にこれらの消火器があったならば,特に細かいことを意図せずこれをそのまま背景に取り込んだということが自然であると考えられるからです.

なお,この頭部が切断された消火器の背景について考えます.そもそも圧力容器である消火器のボンベは何度かの詰め替えを行った後で,経年劣化でその内圧に堪えられなくなってしまいます.そのような寿命を迎えた消火器のボンベ部分は誤って再利用されることがないように頭部の近傍を切断しておくのです.まあ他にも様々な廃棄方法があるようですが,この消火器は消火器の専門処理屋さんから横流しされたものである可能性が高いのです.ただ,私の想像力の範囲では残念ながらこれらの消火器の残骸がこの部室に存在する理由というのが皆目見当がつかないのが実は結構歯がゆかったりするわけです.

と,もうそろそろブルーレイで見ることによって新たに確信が持てたことや,そこから始まる妄想のほとんどを吐き出したところでひとまず部室については満足できましたので,一区切りとしたいと思います.

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