試運転(その2)

さて,ガソリンが吸気側,排気側ともに抜けて,またまたエンジン始動を試みます.今度こそ!と意気込んで望んだのですが今度はキック3回目であっけなく火が入りました.多少アイドリング,エアスクリューを調整して安定を確認して,エンジンを一旦切りしばらく時間を置いて再びキック.今回は一発で始動出来,ひとまず火が入ることが確認出来ました.

そうなればここで間髪入れず試運転をしないわけにはいきません.身仕度してキック一発.エンジン始動.それでは出発ということでクラッチミート.一発目の加速としては多少鈍いかな?と思いましたが合格レベル.でもハーフスロットル以上でなんと失速.それも失速し過ぎて体が前のめりになってしまうぐらい.ちなみに最高速はどうあがいても70というところ. これでは信号待ちで一番前からヨーイドンで200m先からは車に煽られっぱなし.非常に危険なので,車通りの極めて少ない農道で試したところ,どうやら全体的に薄い感じでそれがハーフスロットルから上でさらに顕著になります.

そういえばエアフィルターは元ついていたものは外しただけでボックス内にぼろぼろと崩壊していきましたので,仕方なく例の手法で自作したものです.そこらへんが効いているのかしら?しかしエアクリーナーボックスの邪魔板はそのままですので,吸気側のエアクリーナーだけでこんなに加速に影響するほどの効率変化はないと思われます.

ただ排気側とのバランスを考えると,キャブのメインジェットが純正の#77.5のままなのでボルトンのチャンバーとのバランスが悪いのではないかと思われます.確かに数多くのKSRフリークの皆さんのWEBを徘徊してみたところ,ボルトンのダウンタイプのチャンバーについてはメインジェットを#100もしくは#105に交換している方が多いようです.

まあ番手にして最適なジェットから30%も絞られていれば,確かにあんなドン詰まりな感じになるでしょうし,トップも伸びないことでしょう.次にこの状況を打破するためにどうやって気力抜けるかですが,以前少しだけお世話をしたことがあるN氏のKSR-IIは同じボルトンのチャンバーを付けていました.確かにご本人曰く下の方のトルクが細いもののパワーはしっかり上の方で半端なく出ているとのこと.しかし,彼の場合イグナイタを社外のものに換装してありますし,キャブもそれにあわせセッティングしてあるはずです.私的にはカリカリチューニングも多少魅力を感じるのですが,どちらかというと前回の純正のフィーリングがひとまず味わえればいいかなと思いましたので,ちょっともったいないかとは思いましたがボルトンのチャンバーを諦めることにしました.

早速ヤフオクで検索すると状態のいいものはかなりなお値段が付いていてとても購入には踏み切れません.こうなると安くて使えるものを探す方針でひとまずチャンバーとサイレンサーが別々に出品されている錆び錆びのものに狙いを定めます.まあ錆び錆びも流石に穴が開いていない程度のものにしておきましたが...結局その終了時点ではサイレンサーの方に3名程度の競争入札者がおりずいぶんと高い買い物にはなってしまいましたが,早くチャンバーの効果を知りたかった私は買い急いでしまったのでした.

さて到着したチャンバー,サイレンサーともにエグゾーストパイプ部はほとんどの部分に錆が浮いています.こりゃ錆びの取り甲斐があるわ〜ということで,まずワイヤーブラシでざっくり落としたら錆び取りケミカルを塗りたくります.2時間程度置いてふき取ってみると約半分が落ちた感じです.あとは何度ケミカルをやっても落ちない錆びですので再びワイヤーブラシとスポンジやすり,荒めのペーパーを駆使してひたすら錆を除去.チャンバーの細いパイプの表面にできた凹凸については荒めのペーパーでかなりポイント的に攻めて行き完璧を期します.最終をケミカルにしないのは耐熱塗料を掛けてボロボロはがれてきては困るので,できるだけ表面に皮膜が残らない方式を最終仕上げに持ってきているわけです.

さて,ブラシ,スポンジヤスリ,ペーパーのすべてが届くところは見た感じの錆びはなくなりました.錆びのせいか,もともとそうだったのか細いパイプの表面の凹凸についてはそのまんまで即座に塗装 に移ることにします.今回は耐熱塗料ということでKUREの耐熱ペイントコートを使用します.耐熱温度は600度ということでチャンバーにはこれで十分かなと思います.サイレンサーの部分のみマスキングして何度か重ね塗りをして塗装作業はまもなく終了.本来は塗装後に焼付けを行わないといけません.ここは今回も手を抜いて車体に取り付けてすぐにエンジンを掛けて温度を上げてやる方式をとります.これだと取り付けのときに塗装部分を触らないようにかなり気をつけなければいけませんが,まあ今回は見えないところの塗装の少々の傷は許容するということで,作業を進めます.

しかしサイレンサー側のピースをエアクリーナーボックスとフレームの間を通して車体を横切らせる形で取り付けるときに問題発生.ここの隙間が小さすぎてクランク状に曲がったパイプがどうしても通ってくれません.無理やりゴリゴリフレームなどに押し当てながら通せばいけるかもしれないのですが,塗装への悪影響を少しでも減らすために,またテール周りをばらしてエアクリーナーボックスをずらして隙間を作り組み付けました.もうガソリンを抜くときといい今回といい何度エアクリーナーボックスをずらせばいいのやら,まったく.

結局想定していたよりずいぶんと時間がかかってしまいましたが,なんとか純正チャンバーの取り付けが完了.早速塗料を焼き付けるためエンジン始動.エンジンは1回のキックで簡単に始動できたものの,以前のアイドリング設定ではずいぶんと回転数が高くなってしまいます.アイドルスクリューを戻し,適当な回転数にすると今度はアクセルをあおったときの回転数の戻りが悪くなってしまい,こんどはエアスクリューを締め込み調整.あまりの変化に戸惑いつつしばらく放置.短時間ではありますが排気漏れなども無いことが確認できたので早速試運転に出ます.

発進でアクセルをあおってクラッチをつないだとたんに今までとはまったく違うパワーの出方に気づきました.ちゃんと低回転であってもトルクがあり,徐々に加速しても途中急激に失速感が出ることはありません.60km/hまでの到達も早く,そこからの伸びもあるので車にあおられることもありません.これで安心して乗ることができます.最高速も多少気になったのでチェックしてみましたが,大人気ないので85あたりでやめときました.まだエンジン始動して間もないので,ここで無理を掛けるとエンジンにあまりよろしくないはずですから.

ということで本調子でなかったのはチャンバーにセッティングを合わせていなかったことが原因であることがわかりました.確かにあれだけアイドルスクリュー,エアスクリューを動かさなければアイドリングさえもまともにできないわけで,本来は全域でパワーが出るように深いセッティングの世界に足を踏み込むべきなのかも知れませんが,私はそこまで根性も無いのでトップパワーより乗りやすさが一番.確かに純正チャンバーになってからどの程度まだ廻すとエンジンにどの程度の負荷がかかっているかがわかりやすくなりました.アイドリングも静かになりましたので始動後の暖機運転も気兼ねなくできますし,やっぱり純正が一番車体のコンディション維持にはよいのかなと再認識した次第です.

 

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