セイコーキネティック(5M62-0A48)の電池交換

以前から普通の時計には飽き足らずセイコーのキネティックやソーラーチタニウムなど変り種ムーブメントの時計ばっかり収集していましたが,随分時が経って,これらのキャパシタが軒並み寿命を迎えてしまいました.こういった時計の場合,普段の電池交換は不要なのですが,いざキャパシタが寿命を迎えたときには普通の電池交換よりも高価な交換費用が掛かってしまいます.それもあって長らくキャパシタが息を引き取ったまま放置してきたのですが,ヤフオクでキャパシタを売っているのを偶然発見.またふつふつと自分でキャパシタ交換をしたくなってしまったのです.

で,ひとまずどの時計のキャパシタを交換するかですが,これはまずKINETICのお気に入りモデルのを交換することにしました.5M62-0A48というモデルで,以前キネティックオートリレーをご紹介したことがありましたが,その前後にオートリレー機能のついていないキネティックも興味があったので入手したものです.そもそもそれを入手したのも中古であったのですが,入手した当時は1日持ち歩けばフル充電できて3週間近く動いていたのですが,最近ではどれだけつけて歩いてみても1日分しか充電されません.何本かある時計を代わりばんこに使っている私としては,いくらこの時計を気に入っているとはいえ,何日か経ってのインターバルでわざわざ時刻あわせしてまでこの時計を使うのは面倒なので,そういった経緯もあってしばらく放置されていたのでした.

さて,このモデルのキャパシタの型番を調べたところ,3023 44Zというものらしく,探し初めてすぐには見つかりませんでしたが,しばらく網を張っていたら出品があって,運良く落札.送料あわせて2000円弱ってところでなんとか入手できたのでした.

ちなみに早速裏蓋を開けたのが下の状態です.う〜む,キャパシタやコイルが見えているのにウェイトがあるので見た感じは変な感じですね.で,真ん中のネジを外してウェイトを外して,その下のギアを外したらキャパシタを外すことができます.


これが購入したキャパシタです.TC920Sという型番のバッテリにプレス部品が溶接されているだけですが,見た目からは想像できない価格といった印象です.そもそも時計のバッテリ交換は自分でやってしまう私としては通常の時計なら送料含めても300円ほどでバッテリを入手して交換出来てしまうわけで,バッテリの3倍キャパシタが持つと仮定して,通常の電池交換を3回することを考えればランニングコストは確実に通常の時計のほうが優れているということになります.う〜む,そう考えると所詮時計の電池程度の環境負荷物質ならば特に地球に優しいわけではなさそうですし,キネティックやソーラーを選択することはやっぱり自己満足ということなんでしょうね.


さて,キャパシタを交換したら今度はギアを嵌めなければいけません.ギアは軸にあわせて四角い穴が開いていますので,それをちゃんと合わせるのと,この写真の下側にちっちゃい増速ギアがありますのでそれと刃をしっかり合わせてやる必要があります.ここらへんを忘れて無理やり組むとムーブメントを壊してしまうかもしれないので,注意が必要です.


さて,ウェイトを取り付けてスムースに動くのを確認したらパッキンにシリコングリスを塗って裏蓋を取り付けて作業終了です.時刻を合わせてひとまず時刻が正確に刻まれているのを確認したら,まだ一度も腕に取り付けたり振り回したりしていない状態で充電状態を確認します.右上のボタンは単に充電状態を確認するボタンなので,ここを押せば秒針が充電状態なりに進んで充電状態がわかるのです.ひとまず何もしない状態で30秒進み,ほぼ満充電であることが分かります.

次に1週間放置してどの程度放電したかを確認.今度は20秒分進みました.ここで一日腕に嵌めてみて,ちゃんと充電されるかを確認したところ,1日で30秒進むほぼ満充電状態に戻りました.う〜む,これでほぼ問題なく使えることがわかりましたが,ここでもうひとふんばり.約3週間放置してどうなるかを確認です.もしここでほぼ電池が無くなってしまうようであれば,購入したキャパシタが古いもので十分な性能が出ていないということになります.で,その結果は20秒進むだけの容量が残っていました.う〜む,これは私が中古で購入したばっかりのときよりも持ちがいいかも.

ということで,ひとまず普通の時計の電池交換だけでなく,キネティックのキャパシタ交換もやってみたということになりましたので,つたない作業ではありましたがご紹介したのでありました.


MAINTENANCE HOME NEXT