チタニウムバックルの修理

以前ご紹介したソーラーチタニウム以来,腕時計についてはすごい軽いものか,すごい重いものを好んで着ける様になっている私.確かに重いものは安物であっても結構あるにはあるんですが,結局重いのであまり嵌める気にならないのが玉に瑕.一方軽いほうの私の持っているチタニウムは全てソーラーチタニウムなので,一時期そろえたラインナップがだんだんそろってキャパシタの容量不足になってきてその上での使い勝手も低下してきた今日この頃.

そんなとある夜,見つけてしまいました.セイコーのチタニウムクロノグラフ.海外向けだそうで,調べてみると結構新しいもののよう.難点はというと,バックルが閉らない.で,本来ならそれが障害となって落札対象から除外されるのが人の常.でもそこを人の思うとおりに動かないのが私の悪いところ.そんなの直せる宛てもないのになんと落札.

到着したものはというと,イメージほど傷もついていないものでこれなら今後自分で使っても満足行くなというレベル.チタンの時計というのは結構傷がつきやすくってそれが目立つ場合もあるのですが,ガラス面にも傷がないのでぱっと見新品同様かちょっと劣るかという感じ.こりゃ是が非でも修理してしまわないと...

ということでまずは現物確認.まずバックルですが,左右のボタンが内側に入ってしまっていて,ダボピンを挟めなくなっています.引いてみても押してみてもまったく反力は感じられません.これはスプリングが外れているかなくなっているかでしょう.ということでまずどのようにばらすかを調査しなければいけません.でもwebで探してみてもそんな都合のよい情報は転がっていないようで,とりあえず情報の入手は断念.それでもこのタイプのバックルの構造とスプリングの入っていそうな箇所だけは紹介している写真入のwebがあったのでそこの情報を元に修理のシミュレーションをしました.

ものを見るとバックルはバックプレートがヒンジのところで少し変形していて,どうも太い手首に無理やりつけてはじけてしまったようです.ということで,バックプレートを写真のように外すのにはそう苦労せずに外すことが出来ました.使った工具も市販の交換用ベルトについている爪状の工具と,カッターナイフのみです.こんなので簡単にばらせていては,また組み立ててもすぐにはじけてしまいそうなので,ここは組立てのときに部品を修正したりしてから組まなければいけませんね.

で,中身を見たところ,やっぱりバネがなくなっていました.一回バックルがはじけたときに紛失したんでしょうね.写真で言うと,爪が相互に引っかかるように向き合っている部分の脇に片側だけ1mm程度の段差があって,ここにスプリングが仕込まれる設計になっているようです.で,ここでこんな小さなばねをどこから調達するかですが,一向に見つかりません.秋葉に買いに行けば売っているんでしょうけど,そんな暇もないので手持ちのジャンクから何か似たバネが調達できないものか熟考することしばし.

で,可能性のありそうなもの見つけました.それは女性用腕時計のバンドピンの中にあるバネ.一応径はどんぴしゃなものが入っていそうですし,ストロークを見る限りかなり近いものが入っていそうです.早速手持ちのバンドピンで何かのときにととっておいた分を一本分解します.分解といっても両端がカシメられているパイプの端のほうを切断して中からばねを取り出すといった荒療治.中から出てきたバネはというと,もう私の所望するサイズにそれこそどんぴしゃ.時計はやっぱり時計の部品よね〜.

あとはこのばねを飛ばしてしまわないよう仕込んでバックルを組みなおし.このとき念のため爪の入る部分を少し内側に倒してから組んだりして再びバックルがはじけるのを防止しておきます.バックルをバンドに引っ付けるためのピンヒンジも少し外側に倒れていたので修正してから組み上げます.あとはバンドそのものを私の腕に合わせて駒調整をして腕にはめます.う〜む,ちょっとラッチの掛かるがしっくりこないみたい.どうもフォールディングプレートの曲率が若干変わってしまっているようで,ダボピンの肩の部分までラッチが掛からないようになっています.ここはフォールディングプレートの曲率を少し小さめに変えてみたところ,無事かちっとはまるようになりました.多少延ばし側に力を掛けてもバックルがはじけるようなことはありません.

ということで,とりあえず比較的新しいチタンの時計が手に入りました.ちなみにこの時計の型番ですが,SND465P1というもののようで,1/20ストップウォッチクロノグラフ.デザインはすっきりしたもので,06年あたりから主に中国で売られていたもののようです.今も一部の通販時計店のwebでも売っているようですが,今後お気に入りの一つとして愛用していこうと思いますです.

MAINTENANCE HOME NEXT