ZXR750との生活を振り返って

ZXRはもう足回りもいなくなって,残ったものといえば左右のスイッチとブレーキマスター,クラッチマスターぐらい.左右のスイッチはニンジャに流用したのと,クラッチマスター、ブレーキマスターはそのうち流用するだろうからということで残しました.他はきれいさっぱり私の前から消え,新しい持ち主の下使われているか,使われるのを待っている状態だと思います.92年に入手して以来ずーっとほとんど大きなトラブルもなく,Kawasakiの割りに交換部品も少なく非常に良い子であったと思います.私の使い方もそんな峠やサーキットに燃えるような使い方ではなかったのもあると思いますが,エンジンは20000kmを超えてもまったく音も変わらず,足回りは一般的な交換部品以外はまったく問題なくその実用期間をまっとうしてくれました.さすが一時期ニンジャの流用足回りとして一世を風靡しただけあるなと...

正直に言うと入手当初は私はZXRにあまり愛着がなかったのです.それがこんなに長く付き合うことになったのはひとえにその独特のフィーリングによるものではなかったかと思います.

というのはこのZXR(H型)というのはカワサキ初のTT-F1ベース車であり,これに期待して購入したユーザーもいたはずです.しかしその点ではこのH型は失敗も出るといわざるを得ません.なぜなら車体構成なのかどうかわかりませんが,どうも素直に曲がれるという点では癖が強すぎて”とことんスポーティーかといえばそうとはいえない印象”でした.しかし,ロングツーリング,普段の足としての使い方に関していえば,これがとても魅力的ではありました.というのはロングツーリングの道すがらちょっと峠に差し掛かったとします.タイムはそんなに良いわけではありませんが,積極的に曲げようとする,バイクがそれに応えるという点において並々ならぬ満足感を与えてくれるのです.とてもフラットなタンデムシートに荷物を満載していても,こんなことができるバイクってなかなかないな〜と思うわけです.同じような線でいくと,ZX-9R(B型)がこれに似ていますかね.あれは最初っからスポーツ走行専門はZXR750に任せてオールラウンダーとして開発され,リリースされたわけですからそれも当然といえば当然.それを他社のスペックにあわせるべく最近は路線変更を余儀なくされているのは少しさびしい感じがします.

いずれにせよ,毎年フラッグシップにはモデルチェンジが行われていたような時代でしたからZXR750初期型の実績としては十分評価されるべきものであったのかなと思います.今は設計的に5年もさかのぼったGPZ900Rに乗る機会が多いわけですが,少々過激な走りをしたいときにはやはり物足りなさを感じがします.さして軽量でもなく排気量も小さかったのになぜかな?と思うわけですがバイクってやっぱり味付けによってどうにでもなってしまうものなのかも知れません.そういった点ではGPX750Rをベースにして入るのですが,Kawasaki初のという肩書きに触発されあのような味付けになったのではないかと思います.今になってあのような味付けが懐かしく,こんな感じのニンジャ以外のバイクにも乗りたいという欲望がふつふつと沸いてきているのをちょっと危険視している私です.


とにかく私の元にはもうZXRはいません.ただ,結構バイクねたでWEBを立てている方の中にはそのバイクとの付き合いの最後のほうはあんまりレポートされている方が少ないので,私の場合はとにかく最後まで同じスタンスで行こうと思い,このような最後をレポートすることにいたしました.未来永劫同じバイクに乗れればそれはそれでよいのでしょうが,なかなかそうもいかないのが実情です.急な生活環境の変化や,体調の変化もあるでしょう.そんな中で,時間をかけ比較的冷静にZXR750H型との付き合いを締めくくることができたのは幸いであったといえると思います.

とにかくこのコーナーの総括としてあまり充実した内容をお伝えすることはできなかったことが気がかりではありますが,最後まで乱筆乱文にも耐え,今まで長くこのコーナーを読んでいただいた方には感謝いたします.ありがとうございました.それではまた別のコーナーでお付き合いください.

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