重い腰を上げて腰下割り(その2)

前回オイルパンを外した時点でレポート終了ということで,皆様にはずいぶんと気を持たせる終わり方をしたわけですが,オイルパンを外した時点で大体の状況が読めてしまった私がいました.結論から行くと外したオイルパンにギアのかけらのような金属片が複数ありました.要はオイルパンを外しただけで何が起こっているか容易に想像がついてしまっていたわけです.

で,結構ショックを受けているかというと,実はあんまりショックを受けてはいませんでした.大体クラッチカバーを外してチェックした時点でミッションを一旦抜かないと直らないのはわかっていましたし,このような事態が判明しても,作業の途中で部品待ちにならないよう中古のミッション1式を購入してあったのでした.ちなみに前回クラッチカバーを外してチェックしたときもクラッチ一式を購入済だったんですが,あえなく予想外れとなり,室内にクラッチが1式転がっているという異常な事態になってしまったのでした.でも今回はどうやらミッション1式全部の部品が無駄に終わることはないことがわかったわけで,ある意味ハッピー.(←異常者).

しかしオイルパンを外しただけではまだその病巣を直視することは出来ません.したがってオイルポンプASSYを外します.外した状態でギアを見てみると写真のような状況です.シフトフォークが折れており,フリーになったドッグが2箇所で噛んでしまったため,ギアが3箇所でバキバキになっています.おそらく回転を上げた状態で,クラッチを握らずギアを入れて破損させてしまったのでしょう.

まあこの状況をみて打ちひしがれていても仕方ないので今回のメインエベント腰下割りです.クラッチカバーやミッションカバーなどを外して,次はいよいよ上下のネジ.腰下割りにはなんともセルモーターを含め上下約20本のネジを外さないといけないのですが,腰下割りに関してはサービスマニュアルよりも手順を細かく解説している本があったりしますので,それを見ながら間違わないように作業です.何箇所かはとても締め込みが硬く,エンジン単体となった状態では緩めにくいネジもありましたが,とにかく全てのネジが外れました.

さて,満を持して割ります.この部分はクランクなどを挟み込んでいる都合上ガスケットがありませんので,ネジが外れている状態では意外にすんなり外れました.う〜む,ついにくるところまで来たか...と感慨に咽ぶ私だったのですが,この時点で油まみれな私は写真を撮るのを忘れてしまいました.ある意味最高峰登頂の証拠の旗を立て忘れたような気分ですが,この瞬間私は写真なんかよりクランクケース内で飛び散っているギアやシフトフォークの破片を除去するのに熱中していました.

まず見えるところの大小のかけらを取って,隙間にマグネットアームを入れて見たり,ほとんど最後のほうはエアを吹いてみたりして完璧を期します.本当は腰上もばらして全ての穴という穴をチェックするのが本来のやり方なんでしょうが,この壊れ方であればエンジンがすぐにとまったでしょうからオイルラインを通じてヘッド周りにいった破片はないだろうと予測してひたすら腰下側から除去を図りました.まあオイルよりは鉄のほうが重いので実はクランクケースの中よりも圧倒的にオイルパンの内部にあった破片のほうが多く,こっちの細かい隙間に入り込んだ破片を取るのが実は一番大変だったりしました.

で,室内から購入したばかりのミッションASSYを持ってきて,ギア,シフトフォークなど1式をそのまま移植しました.気になるのはこれらの品質はどうかということですが,意外にもシフトフォークの減りも少なく,仮組みした状態でのガタもきわめて少ないというものでした.急を要したので結構な額で落札した品物ですが,これなら及第点でしょう.

で,あんまり腰下を開けた状態で放置するのもなんなので下クランクケースを取り付けます.一応トルクレンチを使って締めましたがもともといい加減なトルクレンチなので結構増し締めしちゃったりして(心配性)とりあえずクランクケースは閉りました.オイルパンについては前回スクレーパーでパーティング面をきれいにせずに組んで痛い目を見ているので結構真剣にガスケットのくずを除去しました.前回はエンジンの下側からの作業だったので姿勢がつらいだけだったんですが,今回は姿勢が楽な分内部にガスケットのくずが入っていかないように気をつけないといけなかったのでそこが大変でした.

で,新品のガスケットを付け,オイルパンを固定し,オイルラインの接続もすんだところで周りを見回した私を眩暈が襲いました.

ということで気を持たせて終了第二弾なのでございます.

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