謎のガソリン漏れ(その2)

あれだけキャブをなんとかしようとしてもオーバーフローしてしまうということは,原因はその上流のタンクあたりにあるのではないかということで,今回はタンク周りです.まず定番の燃料コックですが,ここは既に新品のシールやダイヤフラムを搭載済みです.また,負圧の掛かっていない状態で燃料ホースを外しておくと,ひとまず燃料漏れは発生していないようです.ということで,ひとまず様子を見ようということでホースを繋がずに置いておくことにしました.すると,次の日は大丈夫.でもその2日後の夜.やっぱりニンジャの周りだけガソリンくさい...カバーを外すと案の定ホースを外したコックからジワーッと漏れているようです.

何日かは大丈夫な期間があるので,これはおかしいな?と思い試しに一度タンクキャップをあけてみました.するとどういうことか漏れがぴたっと収まりました.時間が経ってから徐々に漏れて来て,タンクキャップをあけてみると漏れが止まるということは徐々にタンク内の圧力が高くなっていき圧力に負けてガソリンがコックから漏れてきているということ.うむむむ,そうなると今度は怪しいのはタンクキャップ.実際はその夜に一旦キャップをあけて漏れが止まったのですが,また次の夜には漏れて来ていました.確かにその日は結構春の陽気で暖かく,その温度ゆえにタンク内の圧力が上がりやすかったかもしれません.その後雨の日には漏れはありませんでしたから,これはまさにタンク内の圧力がくさいと確信を持って週末を迎えました.

さて,休日の朝おもむろにタンクキャップを外して観察...で,いきなり外観から怪しいところを発見.というのもどうやらタンクキャップのタンク側のフランジがどうも平面度が悪いみたいで,車体の左側の部分が若干浮き気味.このタンクキャップは車体に鍵がついてこなかったので,それを使わず,いつぞや衝動買いしたものを利用しているので,どのような履歴の車体についていたものかは定かではありません.しかしテールカウルのシート着脱のキーシリンダが歪んでいたことを考えると,タンクにもダメージをこうむった可能性も否めません.そのタンクの変形に沿ってフランジも曲がってしまったのかもしれません.

でも,これは怪しいというだけで,本来タンク内の圧力を逃がすのはキャップの内部を貫通している細い空気穴なので,それが詰まっていたらまさに原因はそこにあるということになります.従ってここで安心はせずに分解解析を進めていきます.

空気穴はタンクキャップの爪がスライドするところの表面に開いた穴からキーシリンダの脇にあるダイヤフラムの入ったシリンダ内を通ってキャップの裏のパッキンに隣り合ったキャップのカバーの裏に掘り込まれた溝を通って外部と通じています.ダイヤフラムの動きに異常はなく,細い溝を伝っていってもゴミが挟まっていたり閉塞してしまっていたりは認められませんでした.従って今回はその原因は曲がったフランジにあるものと決め付けてフランジのみを交換することにしました.といっても,そんな簡単に流用するフランジが見つかる筈...あるんですね〜,これが.

それは以前同じく衝動買いで入手したZZ-R1100C型のタンクキャップ.これはキーセットとして入手したんですが,あらかじめ安値入札して待っていたところそのまま終了となり結構お安く買えた代物です.といってもC型を組む予定なんかはないし,また無駄な買い物をしたものだと見るたびに自責に念に駆られる思い出の品物だったといういわくつきの物.見栄えで言うとニンジャのフランジは黒なんですが,C型はZXRなんかと同じでシルバーなのであえて言えばアクセントになっていいかな?ということで何でもかんでもポジティブシンキングでテキパキと作業をこなします.

で,出来上がったタンクキャップをタンクに取り付けます.特に曲がりがないかを気にしながら,ちゃんとエア抜き口がドレン口に合うかどうかを確認して取り付けます.もともとは結構ドレン口のゴムを斜めに押すように取り付いていたのですが,今回はドンピシャの真ん中にはまるようになりました.

ということで早速試運転するわけでもなく,そのまま1週間放置.その週は結構暖かい日が続いたのですが,ガソリン漏れはなし.その次の週は晴れて試運転.ガソリンも漏れやオーバーフローもないので,エンジンの掛かりと走り出しは問題なし.パワーもちゃんと出ていてこれでようやく完調に相成りました.

それにしてもオーバーフローも何度か経験しましたが,タンクキャップが原因というのは初めてでした.まあ,今回はフランジのゆがみが原因でしたが,古いカワサキ車はタンクキャップのエア抜き穴が詰まって不調につながることが多いようです.キャブもコックもいじったけどなかなかオーバーフローが直らない方,次はキャップを疑ってみましょうね〜.

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