中速域の不調(その2)

さて前回は重いGPZ1000RXの車体を押しまくった末の疲労困憊の上,絶不調の状態でつづくとなってしまいましたが,その週の間少し原因を探ってみました.いろいろなWEBで調べた限りではGPZ1000RXの3500回転付近でのトルクの谷にお悩みの方はどうやら結構多いみたいです.原因はWEBの記述の中で効果があったとされるものだけでも数点あり,これらすべてをやってみないことにはトラブルシュートにはならないようです.原因と思われるところは下記です.

(1)イグニッションコイルのアース不良

GPZ1000RXはイグニッションコイルがフロントカウルステーに取り付けられています.フロントカウルステーはもちろんフレームに取り付けられているわけですが,ニンジャと同じようにこのカウルステーの取り付け部分は錆が出て腐食し,脱落したりすることが多くあります.かくいう私も1000RXフレームの1つはこの取り付け部分がお釈迦になっているものを持っており,別のフレームをやむなく入手し組み始めてきたというわけです.容易に腐食するということはここにアースを取っても接地が十分でなく,十分な電位が確保できない状況でイグニッションコイルが入力を受けるわけです.これでは十分に力強い火花が飛ぶわけはありません.このトラブルは多くの場合アーシングで対策されることが多いようです.

(2)ハーネスの不良

1000RXに限ってのことではないのですが,カワサキのこの時期の車両はバッテリのアース側端子がギボシでハーネスにつながっています.そのせいもあってかアースが不安定でありハーネスに負荷がかかったり予想以上に被覆の劣化が早かったりするようです.特にアースケーブルがこの被害を受け,そのため(1)項のイグニッションコイルのアースの不安定さに輪をかけてしまうようです.これも対策はアーシングです.

(3)イグナイタの不良

これはアースの不良に誘導されて現れる故障モードといえます.もちろんイグナイタも電気部品ですので,アースの不安定がキャパシタ類の寿命短縮を誘発し,プラグの特定の周波数で発生する火花を弱いものにしてしまうといったものです.まあ,これは特にRXのイグナイタが弱いというわけではないのですが,純正の新品はすごい高価なのでGPZ750R,GPZ900R,GPZ400R(リミッタなし)をそのまま搭載したり,ZZR−Cのイグナイタを配線入れ替えして搭載することで対策としている人が多いようです.

で,早速アーシングを決意.それでもすでにイグナイタがいかれていたときのためにGPZ750Rのイグナイタを入手.ちなみにGPZ750Rや900R,400Rのイグナイタは精査すると1000RXのものとはピンアサインが異なり,動くケースはあってもそれは運でしかないとのこと.

アーシングの部材については以前ニンジャでやったときのあまりがいっぱいあるのでそれを使用します.つなぎ方は下記の2箇所

・コイルの左右とバッテリのマイナスを直結.
・エンジンのヘッド後ろのクーランとパイプを止めているところとバッテリのマイナスを直結.

クランクケースについては現状のものが結構まだしっかりしていたので今回は見送りました.

雨が降ったりして次の次の週末になってしまいましたが,梅雨の晴れ間を縫って作業です.早速タンクをはずします.ところが,タンクの重量が異様なことにそのとき私は気づいたのでした.そうなんです,極端に軽いんです.FUELゲージはまだ1時の方向を指しているんですが,気持ち入っているかな?という感じ.そう,ちょうどリザーブに切り替えるのにちょうどいい具合の...ちょっとこの時点で前回のエンストの疑う矛先がほぼ確定したような感じです.

気を取り直してアーシングの作業です.といってもアーシング自体は30分もすれば完了しました.タンクを載せ,いやな予感がしたのでタンクのタップをPRIの位置に少し放置した後リザーブに切り替えてセルを回します.するとすんなりとエンジンはかかってしまいました.

な〜んだ,ガス欠か〜.実は奇妙だとは思っていたんです.もともと空だった1000RXのタンクに入れたガソリンというのはニンジャから入れ替えた10リッターぐらいで,その後すでに140km以上走行(マイルメーターなので96miles)してキャブを清掃したりタンクの付け外しをしているので,残っているガソリンは3リッターそこそこのはずだったんです.なのにゲージは1時の方向って,ねえ?おかしいはずですよね.どうやらFUELゲージの故障というのが前回のエンストの原因だったようで,ほんとにお粗末なことですいません.

で,早速試運転です.出発してすぐにガソリンを入れるとなんと17リッターきっかり入りました.この瞬間ガス欠であったことを確信しました.さて一難さってですが,3500回転あたりのトルクの落ち込みはどうやら解消されていないようです.アースが大して効果をなしていないようですかさず帰宅,イグナイタをGPZ750R用に交換しました.一応すんなりエンジンはかかりました.空ぶかしの回転の上がりもスムーズで表面的な違いは見られません.再度試運転に出発.しか〜し,3500回転あたりのトルクの谷は相変わらずです.

どうやら私のケースはほかの方々のトラブルと違う原因のようです.イグナイタは750R用とも違いがなかったので1000RX用に戻し,この週はここで打ち止め.いったい次は何をすればいいんだ....失意の中次回に続きます.

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