中速域の不調(その3)

もう最悪のガス欠まで経験してめっきり落ち込んでいた私ですが,ひとまず前進しないといけないということでしばし熟考しておりました.9Rであったようなエアの吸入に関するトラブルではないかと一旦疑い,今度はエアクリーナボックスのインテークダクトを半分ぐらいまたガムテープで塞いで見たりしたんですが状況はまったく変わりませんでした.これでまた1週間熟考の期間が延びたわけです.メクラ滅法対策をしてきたんですが,もうこうなったら根本的な解決策というのはきれいに見つけることはできなさそうな気がしてきました.

整理しますと,キャブはさんざん清掃したん(つもり)ですが,どうやらキャブではなさそうなんです.というのはどのギアを使っていてもトルクの谷は3500回転から4000回転の間であり,アクセル開度とは無関係なんです.それに加え,一定速度で起こるわけではないわけで,先週やったエアインテークの塞ぎの効果がないのも当然の如くうなずける結果ではあるわけです.

でも感覚的に行くとキャブセッティングが出ていない状況に似ているように思います.というのはちょうど6速3500回転あたりから加速しようとしたときに,一瞬ぼこ付く感じでなかなか加速していかないことが多く,運良く加速してもそのあとがなんかかぶったような感じなんです.

一部の1000RXユーザーのwebではこのトルクの谷をキャブセッティングで何とかしている方もおられるようで,何かと参考にしていたのですがいまいちキャブがクロと決め付けられていない状況ではあくまでも参考程度としか見ていなかったのです.でも現在のこのどうしようもない状況ではそこらを真剣に疑わなければいけないわけで,こうなったらサル真似でもいいからやってみたい衝動に駆られてきたのです.

どうもスロー系とメイン系の切り替わりがスムーズでないような感じ.でもパイロットジェットの戻しに関しては振ってみたけれどそんなに影響はなかったわけで,そうなると上のほうのつながりに関する動作に不具合があるのではないかと考えたのです.それに加え,大概低速域でのぼこつき,息つきトルクの谷に関してはジェットニードルのクリップ段数やそれが調整できない場合はワッシャをかますという手法がとられます.1000RXのCVKキャブの場合は後者であり,ニードル高さの調整はできないのでワッシャを入れているんですが,どうもそのワッシャというのがそれでも気に入らないんです.

で,何かほかの手はないかと考えたときに,何度か分解清掃した1000RXキャブを思い出したのです.1点だけどうもこれはおかしいんじゃないか?と思われる節があったのです.それはダイヤフラムに仕込まれているばねの硬さです.今までニンジャを始め何度もほかのバイクのキャブを開けてきた私の感覚からは到底許しえないそのばねの硬さ.

こんなんで本当にダイヤフラムの空気圧で持ち上げられた力が勝ることができようか?という感じで,本当にこのばねが正常なのかどうかいまいちしっくり感じられなかったのです.

で,その違和感を今回は重視して,ワッシャ方式ではなく,このバネを交換する方向で検討することにしました.といっても色々バネを仕入れてやってみるってのもいいかもしれなかったんですがひとまず手っ取り早くニンジャの部品取りキャブからバネを持ってきます.

これをとある休日の朝1000RXのそれと入れ替えます.ほぼ満タンのタンクを外し,キャブの頭を開けたら部品取りのほうから取った4本のバネを入れ替えていきます.時間にして20分程度の作業ですが,これでだめだったら次どうしようとか考えながらの作業なので,時間はその2倍や3倍に感じられました.

さて,試運転です.アイドリングには今までとの違いはなく早速発進です.で,1分もしないうちに私の表情が歓喜のものに変わってきました.今までとは打って変わって効果がありありと感じ取れたからです.まあ谷がまったくないわけではなく,一瞬加速がフラットになるところは残っていますが,ボコつき,息つきに該当するほどのものではありません.今まで上り坂でばらばらな加速感であったコーナーもぴしゃっと決まります.乗り味がとてもスムーズになってきたため日頃のテストコースを2.5周してしまいました.

それにしてもあのバネですがとりあえず外してはみましたがニンジャよりも自由長は短くバネ定数は大きくという感じで,線径1000RXの方が太い仕様になっていました.スライドバルブの動きが別に渋いわけではなかったんですが,新車のころはあのバネで本当にいけていたのかしら?ちょっと不思議なぐらいの変貌振りになぞは深まるばかりです.

あと,ほぼ満足行く仕上がりになった1000RXに歓喜を伴い乗ってみて感じたことがひとつ.それは実車の走行時のエンジン音とこの1000RXの企画を思いつくにいたったトリガーにもなったライディングスピリッツの1000RXの走行音が非常に似ているということです.ライディングスピリッツでは非常に機械的な音に聞こえたんですが,実車も結構機械的な音がするんですね.ニンジャのシュンシュンいう音と違うところはその要因がわからないわりに納得できていなかったわけですが,1000RXが本当にああいった音であったのは意外でした.

まあ,ゲームがトリガーのすべてではありませんが,なんかすっきりしたような感覚になりました.なんとかちゃんと走るようになったので次からは仕上げに入りたいと思います.ぬふふふ.

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