オイルフィルタ取り付け面の凹み対策

車体をくみ上げては見たもののひとまず一番にクリアしなければいけない問題がオイルフィルタの取り付け面の凹みをどうするか?ということです.このパーツ,単なるフランジかと思ったらオイルクーラーという名前で,根元に熱交換ユニットを抱えているようです.一応カワサキパーツカタログで確認したら新品で購入すると40000円を余裕で超えるお値段.これは是が非でも補修せねばなりません.

まずこの凹みの大きさというのが,幅約10mm,深さは0.8mm程度.何かオイルフィルタを外した後に強打したと思われます.まず考えたのが,この部分を一旦全面削って面一にするというものでしたが,この凹み深さでは,残りの厚みが薄くなりすぎて ,オイルフィルタを締め付けたときの密着力が出せなくなってしまうかもしれないということで断念.といってもフライスがあるわけでもないので,旋盤で引いてもちょっとパイプとかがあってクランプしづらいし怖いなというのもあって,加工の術自体なかったのもあるんですが.

で,お次は裏側に隙間があるのでここの隙間を利用して裏側から叩いて押し出せないか?と考えました.で考え付いたら即実行で,スタンドのスプリングを引っ張る工具の先端を少しグラインダで加工して全体としてJ字型の形状を利用してフックの先端を引っ掛けるような形で強く引っ張ってみました.びくともしません.う〜ん,ストロークが少なくて衝撃力というには程遠い力しかかかりませんし,力いっぱいひっぱっても一向に変形が戻る気配がありません.J字型なのをL字型にして,てこの原理で無理矢理隙間を押し広げるというのも考えましたが,支点になるところが熱交換ユニットの壁なので,こちらを曲げてしまうと今度はクーラント漏れの原因になりかねません.ということでこちらも断念.

次は凹みの部位に何かを盛るというのを考えていました.はじめは確実性を求めてロウ付けを考えたのですが,どうも熱が気になります.内部の熱交換機構にダメージが発生してしまうと元も子もありません.となると熱を掛けずに固まって,ある程度耐熱がありながら金属のようにふるまってくれるいわば金属パテのようなものが必要になります.以前金属パテを前回の9Rでのジェネレーターカバーに使用して結局あえなく敗退した記憶がありますが,あれば元々曲がって割れてしまっていたものに適用したので,接着した部分に引っ張り応力がかかっていました.今回はオイルフィルタを締めこんだ時の圧力しか気にする必要がありませんので,脈ありと踏みました.幸いにもうちには金属補修用充填接着剤というものがあったりします.Threebondの2082Bというもので,少し古いので塗るのが大変なんですが,たまーにこのような登場の機会があります.

ということで方針も決まったので,早速作業開始です.まずオイルクーラーの表面を脱脂してこれを十分に乾燥します.2082Bを塗るエリアを広めに想定して下地を400番のペーパーで粗します.ヘラで2082Bの硬化剤と主剤を十分にかきまぜ,多少圧力を掛けつつエアが入らないように気を付けながら塗っていきます.出来るだけ重ね塗りをしないようにしてここでもエアが入るのを極力防止します.少し広すぎるかな?と思う範囲までこんもりと盛れたらここで1週間乾燥させます.

次にこれを磨いていきます.普通のパテとは違ってかなり固いので,400番ぐらいのペーパーではなかなかこんもりと盛った部分が落ちません.しょうがないので細目のやすりで明らかに高くなっているところはやんわりと削り落として,そこからペーパーをアルミのブロック材に巻いて平面度がしっかり出るようにしながら磨いていきます.で,ここからが通常の外装と違うところなんですが,磨いてはノギスを当てて厚みのばらつきがどの程度になっているかチェックしながら磨いていきます.特にOリングの当たる部分を厳しく見て,厚みで0.2以下のバラつきになったところで徐々に番手をあげていき,最終番手の1000番ぐらいまで上げるころにはばらつきが0.1mmに収まるようにしました.

あとはこれを車体に取り付けるだけで,まだオイルも入れてませんし,エンジンをかけて実際圧力がかかるのもまだまだ先.この2082Bというのがどの程度高温下でOリングのかける圧力に対してクリープ変形の耐性を持っているか,一切わかりませんのでこれでオイル漏れが発生しないかは断言できません.まあ最悪40000円出してこの新品パーツを購入するか,ヤフオクの出品を待つかということになるわけですが,それはまたその時考えましょう.ということで常々リスクを背負いがちな私にとって,また先々の楽しみが増えてしまったという結果になったのでありました.

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