Fフォークアウターの交換(その1)

外装もそろったところで,いよいよ手間の掛かるところにかかります.フロントフォークの右側です.ここは不幸にもフォークアウターのちょうどダストシール部分が凹んでおり,フォークアウターの交換,ダストシール,オイルシールはもちろん交換せねばなりません.しかしこの部分で衝撃を吸収したおかげでフォークインナーの曲がりや,フレームへのダメージが防げたといっても過言でない部分でもあり,ここをやり遂げることはこのプロジェクトの成否を大きく左右してしまうような,そんなプレッシャーさえも感じるところです.

まず交換部品の入手ですが,ダストシールやオイルシールは中古を探すなんてことはありえないので,新品を調達.あととりあえず交換しなければいけないアウターですが,ヤフオクを探してもなかなかこんなものは出てきません.従って渋々ではありますが同じく新品を調達します.しかしこのお値段が22000円以上するあたり!本当に懐に全然やさしくないこんなプロジェクトをやり始めた自分を少し責めてみたりしました.

あとフォークASSYの全バラシを行うわけなので,今回E型のサービスマニュアルを入手しました.といっても通常の純正ものではなくHEINSのもの.これだと純正よりも詳しく乗っている上に他のマシンとの共通,非共通部分などのお勉強も出来るのがとても魅力的.それでそいつを落札したんですがこれが米国からの出品であったことがわかり,入荷までえらく時間がかかってしまい作業が長らくお預けになってしまいました.う〜ん,なかなかうまくいかんな〜.

さて,サービスマニュアルもきたので作業といきましょうか.

週末の朝から早速作業です.まずフォークを外すのでバイクをリフトアップする必要があります.そこでリアスタンドはZXRの頃から使用している例のやつを使います.これを使うにあたって長期戦も考えてバイクの配置を換えます.CBR,ニンジャを奥に追いやり,9Rを車のすぐ後ろに持ってきて転回させます.この状態でスタンドをあげればしばらくの間スタンドアップしておいても場所をとらずに済むし,その状態でのF周りの作業も楽に済みます.

お次はフロント周りを浮かせたいのですが,その前にいろいろなネジを緩めておきます.ニンジャなどで経験済みなのですが,ネジなどはフロントを浮かせる前に緩めておかないと不安定なので力も入りにくいし,最悪車体を倒してしまうこともあり得るからです.まずトップブリッジとハンドル.ここは緩めておかないとフォークトップを緩めることが非常に困難です.あと3又については緩めてから軽く締めておきます.最後にアクスル.

で,アクスルを緩めようとしたときにはたと自分の見落としに気づきました.というのはアクスルは六角穴が左右とも開いており,それが非常に大きい穴だったのです.こんな大きさの六角レンチは持っていません.で,早速いつもの工具やさんへ走ります.このときはCBRで行ったのですが,急に娘が後ろに乗っていきたいと言い出しまして少しタイムロス.まあ久しぶりの家族サービスでもありそれも又良しでしょうか...お店ではレンチはさすがにありませんでした.変わりに1/2のソケットがあって,このサイズが17mmは合ったのですが22mmはなくて代わりに21mmを買いました.というのはアクスルの場合はどちらかを固定してまわすので,22mmは最後にシャフトを抜くとき用なので,あんまり力をかけないと思われたからです.で,戻って早速アクスルを緩めます.17mmの方のアウターのそこについているネジを2本緩め,17mmのソケットを用いてアクスルを緩めます.う〜む簡単に緩みました.迅速な行動でしかも機転を利かせた工具選びでなんとかこの局面をクリアできて,ご満悦な私です.最後にキャリパーを外してこれでリフトアップ以前の作業はおしまい.

ここで満を持してフロントを揚げていきます.算木をかまして揚げていくのですが,ここで少し面倒なことがわかりました.2tジャッキを初めは1本持ってきていたのですが,1本であげたところ結構不安定なんです.どんどん9Rが傾いていく...やっぱりE型ともなるとリア周りには究極の軽量化のおかげで全然ウェイトがないようです.そのせいでエンジンのウェイト比率が高くなりエンジンの真ん中を揚げられないとどんどん傾いて果てには転倒なんてことになるわけですね〜.ニンジャではあんまりこんなこと考えなくても良かったのに〜.仕方なく2本目を持ってきて左右均等に揚げていきます.またまた少しタイムロス.

揚がったところでまずアクスルを抜いてホイールを抜きます.ホイールは曲がりなどなく,非常に綺麗です.タイヤは6分山といったところです.お次にFフェンダーを外します.Fフェンダーは結構バキバキに割れています.これはフォークのアウターが強打するにあたってまずフェンダーにヒットした証拠.今回はこのフェンダーは流用しないので,残念ながらゴミ箱行きです.左右がフリーになったらフォークを抜きます.目論見どおりインナーに曲がりはないようでスムースに抜けてきます.う〜んいい買い物した〜.

フォークを抜いたら昼食となりました.今日のところは家族サービスもあるのでここで作業終了といきたかったのですが,家族サービスで買い物に行ったあと夜に室内でフォークを分解することにしました.

フォークの分解をここまで急ぐのには理由があります.それは特殊工具.今回はアウターの交換なので フォークを完全分解しなければいけません.本来この完全分解のための特殊工具を入手してから作業したかったんですが,例のサービスマニュアルの件があったので,この事前入手が出来なかったのです.この時点で何か他のものでこの工具の代用が出来ないかを検討するつもりになっていたので,早速分解に取り掛かった次第です.

実際の作業は室内と入っても玄関を使います.玄関にいらないフライパンを置いて,ここに廃油を流し込んでいきオイルを抜きます.文章ではさらりと書いていますが以外にフォークオイルは飛び散るので結構玄関が油まみれになってしまい家族の非難を浴びること必至でございます.で,やはり特殊工具は必要なようでシリンダホルダの分離が出来ない.シリンダホルダからは丸棒が突き出ており,この根元に角の座グリがあります.これを固定しないことにはボトムのボルトをまわすとぐりぐりシリンダホルダも回ってしまいます.う〜ん手詰まりか.無理やりインパクトレンチを使ってまわす手もあるようですが,時間は夜なのでちょっと気が引けるのと,インパクトにつける工具の長さが足りません.10mmの六角の80mm程度まで長いやつが必要です.六角レンチならあるんだけどな〜.さてどうしようということで,もう夜もふけてきました.今日はおやすみなさ〜い.


次の朝はホームセンターへ早速特殊工具の代替部品を探しにお買い物へ.で,いつものホームセンターでいいもの見つけてしまいました.それは角パイプ.本当はフォークを持ち歩いて現物あわせでいきたかったのですが,それも恥ずかしいので,シリンダホルダの外形(約12.5mm)と,その奥に開いている角座グリの大きさ(約20mm)をメモって勇んでホームセンターにいったのです.当初は丸パイプを買って帰り,角部はグラインダーで削って自作工具を用意しようと考えていたのでした.しかし建材売り場で真っ先に私の目に飛び込んできたのはとても役に立ちそうな角パイプ.しかも手にとって見ると内径が12.5mmを若干超える微妙に使えそうなものが2種ありました.1本あたり数百円でしたが日曜日の朝から2回にわたってホームセンターに通うと妻に非難の目で見られそうなので2本買って行くことにしました.1本は外形が約16mm角,もう1本は約20mm角.どっちか使えるといいな〜,と思いつつ帰宅して早速それぞれをシリンダホルダーにあてがうと20mm角の方がなんとドンピシャ!

早速木工の作業台にアウターを挟み,ゆるめにかかります.するとどうでしょう.するすると角パイプが回り,ネジが抜けてくるではないですか!うれし〜.今までニンジャのころからこの作業は諦めて来た歴史もあり,とっても感動的.抜けたネジをリビングの子供らに見せびらかしたりして,もうアドレナリンが飛び散っている感じ.最高です.

さて今回はもう十分アドレナリンも出たことだし,続きは次回になります.

続く
KEN-Z's WEBのトップへ NEXT