安城鳴子(あなる)- あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。

いわゆる”あの花”は多くのアニメファンの頬を濡らす代表作ともいわれる長井龍雪監督の名作であります.私がアニメを見るようになったのは2010年の後半ぐらいからでして,ちょうどその時期に日本の深夜アニメのすごさを感じるに至った作品の一つでもあります.そして,じんたんとめんま,そして超平和バスターズのメンバーということで,一番人間っぽくって大好きになったのがあなること安城鳴子ということになります.

<高校デビュー>

小さいころは黒縁眼鏡とくせっ毛がコンプレックスだったあなる.あの一件以来空中分解してしまった超平和バスターズ.一方で以前リーダーシップを発揮していたじんたんの没落ぶりはあなるにとっても深い心の傷となっていたでしょう.恐らく超平和バスターズの残った5人は同じ中学に進み,あなるは中学でもじんたんの低空飛行を目の当たりにしていたに違いないわけです.そしてじんたんは高校受験に失敗して,あなると同じ高校に通うことになります.

あなるはじんたんと同じ高校になれて本当に喜んだんだと思います.本来ならば同じ高校には入れなかったので,あきらめていたじんたんとの新しい高校生活に心躍る,あなるの入学式までの春休みは一体どんなだったでしょうか?おしゃれをして校則ギリギリに髪の色を変え,メガネをコンタクトに変え,スカートも短くして初登校したでしょう.周りから見れば,それは単なる高校デビューに見えたのかもしれません.でもあなるにとって少しでもじんたんの気を引けるならば,自分は何だってする.そんな気持ちで始まったはずの高校生活なのに,じんたんはというとあなるに一切興味を見せないばかりか,すぐに不登校になってしまうのです.恐らく不登校になったじんたんに絶望して少しグレ気味でいるところに,同じく高校デビューを果たした派手系女子が寄ってきます.そんな感じの,いわばはずみでできちゃった友達がちょっと肌にあわないような系統の友達になってしまった.でもあなるは生来の流されやすい性格でその友達を拒否することはできないわけです.なので夏休みのプリントとかをちゃんとめかしこんでじんたんのうちまで持っていったときに,じんたんが自分ではもう救いようがないことを気づき,その友達にじんたんのことを悪く言われてもちゃんと反論できなかった.その上つるこにその場面を目撃されて,めんまのことまで悪く言われ気持ちを逆なでされ歩道に泣きながらうずくまってしまいます.めんまにとってこのあなるの姿は鮮烈だったに違いありません.自分の死がバスターズのメンバーにどんなに深い影響を与えているのか.それは初めて自分がいなくなったことを悲しく思ってくれているメンバーの姿であり,うれしくもあり,悲しい現実であったに違いありません.

<あなるの部屋>

私があなる好きになったのは,あなるの部屋が登場したところでした.察するとあなるのうちのお母さんは,陽気で少しおおざっぱ.ちょうど反抗期の娘からすれば,それはたまらなく嫌なんでしょうね.だからじんたんとぽっぽが来た時うちではカッコつける必要がないんで昔のまんま(?)おうちめがね.じんたんがきたら外す.これって乙女心よね.部屋の中はクローゼットにしっかり分類とかして自分の子供のころの大事なものをしまってある.じんたんとぽっぽが来て急に変なことを言い出しても,しっかり思い出をたどっていけることが出来る.それはあなるにとって超平和バスターズで「のけモン」を秘密基地でやったことがとても大事な思い出だったからでしょう.

そして,目的を達成した見返りにこの期に及んでじんたんに学校に来るようにいいます.やっぱりまだじんたんと 共に高校生活を送ることをまだ捨てきれないのです.この捨てきれないというのがあなるの部屋にあれほどの思い出の品が整理されている理由の一つなんでしょうね.

<めんまからもらったシール>

そのあなるの部屋のシーンでも登場しますが,このシールについてもあなるの複雑な感情が象徴されています.シールを大好きなめんまからもらったあなるは単純にもらってうれしかった.でもじんたんとめんまの関係を考えると当時のあなるは衝動的にはがしたくなってしまった.そこでシールを完全にはがしたかどうかというと,恐らく完全にははがせず,あえて宙ぶらりんにしてあったのだと思います.というのもじんたんとめんまのことがあったとしてもめんまのことを嫌いになれない自分に気づいてしまったから.そしてあの一件のあと,めんまがあんなことになってから自分のしたことを悔いてセロテープを貼って復旧しようとしたんです.それを眺めてあらためて当時の自分のだめさ加減を感じてしまうあなるの今が,とてもはかないもののように感じます.

<あだな>

あなるのあだなはじんたんの子供時代の無垢であるが故のものです.あなるにとって高校生になってそれで呼ばれるのは人前ではさすがにはばかるものの,そのあだ名自体は嫌いではなさそうです.そしてストーリーが進むにつれ仁太くんをじんたんと呼びだしてからは,その一方で自分があだ名で呼ばれる危険があったにも関わらず,積極的にじんたんと呼び始めた.恐らくバイトで二人っきりのときからそう呼ばれてある意味安らぎを感じるようになったんだと思います.

<じんたんとの未来>

あなるのことだからじんたんが学校に来るようになってもうまくやっていけるんだと思います.お互いの性格上ラブラブにはならないものの,あなるの念願はかなってかなりいい線行くんだと思います.つることゆきあつがそれなりにうまくいくように.そうなるとぽっぽはちょっとかわいそうかも.まあ本人はそんなこと気にするはずもありませんが.

ちなみにあなるの登場シーンの中で結構好きなのが,龍勢作りの日のゆきあつの告白シーンのところだったりします.局面が進む中でのあなるのしぐさやせりふ回しに,あなるの純情さとじんたんへの想いの一途さがにじみ出ていて,私のようなちょっとゆがんだあなる好きにはたまらない感じなんです.まあゆきあつの本心がじんたんに対するジェラシーであることが暗にわかっているがためにゆきあつのアタックはつるこの見ている前ではかなくも失敗に終わるわけですが.とゆーわけで,恥ずかしげもなくあなる好きを公言して(カタカナではない!)ここまで活字をたれ流してみたものの,まだまだあなるについては語りつくすことはできませんので,ここらへんにしておきます.

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