折木奉太郎 ― 氷菓

この作品は私がアニメを見るようになってごく初期の作品です.ラノベや漫画を起点にしたメディアニックスが多い中で,比較的硬めの小説が原作であり,当時私が苦手だった超能力も魔術も異世界も超科学もハーレムも出てこない点,ハードルが低かったこともありずいぶん楽しめた思い出があります.で,この作品からだったら大多数の人は千反田えるちゃんをベストキャラクターとして挙げるんでしょうけど,そこはあえて奉太郎君なわけです.まあ以前チタンダエルの絵を使ってTシャツを作ったりしていますので,えるちゃんをキャラとして好きなのは否定できませんがね.

<省エネ>

さて,その奉太郎くん,根本的に信念が省エネなので,面倒なことはしたくない性分.なのにえるちゃんの気になります!の怒涛の勢いに破れ,ついつい巻き込まれていきます.思い返せば私の高校時代もいわゆる省エネでした.中学が騒ぎすぎてエネルギー浪費気味であったので,その反動が来たとでもいいましょうか.その最たるものが,好きな子に告って,付き合わないというもの.まあ返事はいらないということでしたので,OKかNGかもわからないままでしたので,告られた子はさぞかし変な人とおもっていたことでしょう.そんな状況ですから,変人扱いされていたのは間違いなく,何か人から頼られるとか,無気力な中に何か光るものがあったかといえばそうでもなく,結局のところ何も残せなかったような気がするのです.

そんな私の思い出とは対照的に,奉太郎は省エネながらもその名推理で人のために役立っているところがカッコいい.まあチタンダエルの精神攻撃で無理やりやらされている否めませんが,そんないやいややっているくせにしっかり結果を出せるところが素晴らしい.

<無害>

基本的に奉太郎くん,省エネであるとすればするほど仕事から逃れなければいけないはずですので高校生活においては何もしない人ということで,嫌われてしまうこともあろうかと思います.しかしそんな場面でも無理のない範囲でやるべき仕事はやって,人からも嫌われない結果につなげていたりします.まあチタンダエルの攻撃にはどうしても逆らえず,やむなく行列の傘持ちという大役を果たさざるを得なかったり,えるちゃんとの関係が故のトピックもありながらも,基本的に無害な人間であり続けようとして,それが結果的に省エネにつながると考えているのでしょう.それには周りの様々な考えの人の心を読み,自分がどうあるべきかを考えに考え抜かなければできないことです.実は頭の中では常に高速で思考が回っており,全然省エネじゃなかったりするのかもしれません.

<お姉さんの存在>

お姉さんの人柄としては弟目線からすると自由気まま,優秀,弟遣いが荒いなどモンスターのような設定です.まあ所々優秀で外面がいい,あるいは高校時代も人気者であったような描写もありますので,弟としてはその逆を行くことで人格形成していったのではないかと思われます.そういった点ではお姉さんは奉太郎くんにとって有害そのものであり,その振る舞いの多くでエネルギー浪費が激しいと映ったのでしょう.その対極の集大成と自らなっていった結果が奉太郎くんのパーソナリティそのものであるといえます.

こうやって奉太郎くんを分析していると,お姉さんの件以外はキョンくん共にていますね.キョンくんの場合はハルヒとの関係からどんどん自分が変化していくわけなんですが,奉太郎くんの場合はそのハルヒ的存在がチタンダエルということになりますね.そういった見方をしていると少しこの作品も違う感触に変わってくるかもしれませんね..

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