メテオラ・エスターライヒ ― Re:CREATORS

スタッフの充実っぷりばっかり注目を浴びてしまっている本作ですが,実は創作世界からのキャラクターの魅力も作品の大きな柱であったりします.その創作世界のキャラクターの中で,最も魅力を感じるのがこのメテオラです.キャラクターの中ではかなり早期に登場し説明的役割を果たすところから,結局現世に残らざるを得ない運命を受け入れ,最後まで登場し続けているという,颯太くんに次ぐ準主人公といってもいいほどの露出具合だったりするのもこのメテオラのキャラの魅力のなせる業なのだと思います.ちなみにメテオラというのはギリシャ正教の古い修道院群の名称から取られたようですが,キャラクターの服装ははケルトの雰囲気で作っているということで,実際の史実と少しずつ変えて作りこんでいるところもクリエイターあるあるって感じですね.

<ベストを尽くすこと>

メテオラのキャラの色付けとしては冷静.頭脳明晰.好奇心旺盛.食欲旺盛.策士.他のキャラは元の世界の部分を引きずっているのにメテオラだけはとにかく今いる世界が自分の世界だと感じつつベストを尽くし続けるわけです.まあ元の世界での力があまりにも高いレベルであり,ある意味万能であったことにもよりますが,その結果的にはただ一人現世界に残ることになってしまいます.実はこの作品の好きなところは主人公に対してハーレム展開とかに持ち込まなく,ちゃんと現実世界は現実世界として世界観の軸を守り通したところだったりします.一方でまみかを途中離脱させたり,かなり強めのスパイスが所々にちりばめられている作品だったりします.なのでこの作品の中から1人選ぶということでいくと実はまみかと悩んだところもありました.でもよく考えたら元ネタは例の魔法少女であり,その運命にもてあそばれつつも戦い続けるというモチーフは元ネタのほうに既にありましたのであえてまみかは2位ということにさせてもらったわけです.

<未来を楽しむということ>

実はメテオラの登場シーンで,一番このコーヒーを入れているときが一番好きだったりします.元の世界に戻れなかったことを嘆くわけでなく,魔力を失ってからは実際に自分が経験したこと,関係した人たちに影響を受け,物書きとして生活していこうとしている.全く違う人生を前向きに歩んでいる姿に心が温まります.

<アフター>

そんな感じでいろんなバランスを考慮して作りこまれた作品だから,なおさら私としてメテオラは颯太くんと組んで大ヒットラノベ小説家となり,最終的には結ばれるような設定がいいかなとか思います.ただしそこにダークホースの真?(まがね)ちゃんがそれを邪魔する設定とか,邪魔しているだけのはずだったのに颯太くんにマヂ恋するとか,電脳空間でセツナが出てきてみつどもえとかなったらとか,いろいろ変な妄想もできてしまうのがこの作品の面白さなんでしょうね.

作品としてはクリエイターとして成功した人たちとそのキャラが活躍して,その原因となったのは夢破れたクリエイターのキャラであったということで,ちょっとクリエイターとしては成功してナンボ感を感じざるを得ませんが,まあどんなレベルのクリエイターも自分の生み出した世界観やキャラを大事にしているってことなんですよね.まあその中でメテオラだけがストーリー開始前に創造主がなくなっていたわけで,キャラが独り立ちしていたこともその魅力につながっているのかもと思います.まあ,キャラクターが作品の中で変わっていき,以前と違う明るい未来を見いだせそうということで理想的でありつつ,独特でありながらも,その実すごい力を持っていたというのがメテオラの魅力なのであります.

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