レム ― R:ゼロから始める異世界生活

異世界物ということで私の苦手分野であることもあり正直あんまり期待していなかった作品ながら,その中でこのレムちゃんがいたからこそこの作品に入れ込むことができたという感じで,双子のラムとは異なる魅力を感じざるを得ないのがこのレムちゃんなのです.というのもはじめはすばるくんを殺そうとする恐ろしい鬼っ娘でありました.でも様々なスバルくんとの生活の中から徐々に自分を取り戻し,よき理解者となるその変化の過程を感じられるというのがこの作品の中でもレムちゃん推しが重要視してやまないポイントなのだと思います.まあその変化に至る経緯の部分は多くの場合ネタバレになりますので,あんまり語らずその後のことを主に語っていこうと思います.

<スバルくんへの信頼>

レムちゃんは魔獣の一件以降絶対的にすばるくんを信頼しています.ただ自分は姉の影として生きるとしていたことに対して自分の人生を切り開くよう説いたすばるに対する感謝がそうさせているのでしょう.でもそのすばるの気持ちは自分よりも他の人に向いているのをしっかりと把握しています.それでもすばるを慕いひたすら支えようとするところがたまらなく好きなんです.

<その人気>

レムちゃんは同作のキャラの中でエミリア,ラムに対して断トツの人気であると思われ,フィギュアについても恐ろしいほどのバリエーションが発売されています.かくいう私もその一部を所有していたりしますし,フィギュアは無理しても,実はこれを書いている現在も会社の私のとある端末の壁紙がこのレムちゃんであったりするのです.その人気の理由を考えてみたのですが,やはりその一途さであり素直さであり,謙虚さであるのだと思います.ということでいうと単にかわいいからということではなくその精神面が評価されてこれほどの人気になっているんだなと思うわけです.

<コンプレックス>

幼いころ自分が無力であると思い込んでいた時期,姉のラムの後ろを歩くことですべて許されていたことから,ある出来事でラムが力をうしなったときの自然に生まれてしまった負の感情を悔い,以降は自分がかんばって贖罪することを運命づけてきたわけですが,上記のような謙虚さや洞察力というのは姉としてラムが存在していたがゆえに培われたものではないかと思います.要は優秀な姉に対しては絶対に自分は前に出ない.そしてそれが姉と同レベル以上のキャラに対しても同じことであり,すばるくんへの態度の根幹ともなっています.要は姉を軸に謙虚たる自分を形成できることがすなわちレムの強みであったりするのでしょうね.

<ダメなところをダメといわれる強さ>

本作ではレムのすばるへの信頼,期待が重すぎて逆にすばるが逃避行動を取ろうとしていた時にあえて拒絶して,本来のなすべきことを気づかせる局面があります.これは言うなればすばるくんよりもよっぽど強い精神力を持ち合わせていることになります.ただ,その局面が深刻なものであればあるほどその強さが必要になるのですが,私の日常生活においてもこういった指摘をしてくれる人が少なからずいます.それは特に強い精神力を起点にしてのことではないと思いますが,私は自分のやるコトにしっかり意見を言ってもらえることに大いにありがたみを感じています.なぜならば,多くの場合自分だけで考えて行動した結果は満足いく結果に至らないということがわかっているからです.逆に私のことを親身になって考えてくれている人のいうことを考慮して行動した結果というのはほとんど自分にとって満点に近い結果が残せたりします.なのでレムのようにダメな自分をしっかり指摘してどうあるべきかを示してくれる人物がそばにいるということがこの作品の中で印象的であり,私の望むその最たる存在がレムちゃんの言葉であり,微笑みであり,涙であると感じています.

で,その壁紙が11話の鬼がかってますねのあのシーン.ちょっとすばるくんの長セリフが長すぎだろともうところもありますが,それでも言いたいことはしっかり伝わっていますし,あのやり取りでレムちゃんの新しい精神性が構築された瞬間なのだと思います.まあ,ファンタジーものというのは私にとって非常に敷居の高い存在なのですが,本作はレムちゃんの存在によって潜在するヒューマニズムとかを感じながら楽しめる優秀な作品なんだと思うわけです.

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