Canon F-1のシャッターを取り戻す

まずうちのCanon F-1について語りましょう.これはCanon A-1で数々のAEモードでおなかいっぱいになった私がマニュアルカメラに目覚めた一品です.というよりも電池の消費量に耐え切れず常用機の座をA-1から奪い去ったとでもいいましょうか...A-1は多分中学3年のころに購入してF-1は高校2年生の時に中古で購入したと思います.当時すでにNewF-1が出ていてそちらを買うのが筋なのでしょうが,予算がない上に(←本当はこれが一番の原因)F-1が当時H-D電池一個で約1年持つことを知っていたので,どうしてもF-1を購入したかったのです.多分これ以降A-1の出番はすこぶる減って持ち歩くのは専らF-1のみになってしまったことを覚えています.それに当時よくF-1のサブカメラにA-1を持ち歩くセミプロの方がいましたが,こんなに性格の異なるカメラを2台持ち歩いてもサブになれるわけがなく,どうしても違和感を禁じえなかったのです.

私のF-1は一般的に言われるF-1nでして,ほかにも変更点がありますが代表的なところといえば巻き上げ角が180度から135度に変わったものです.でもそのうちモードラMFを購入してしまいましたのでF-1nのnの意味がすぐに無くなってしまいましたが.で,今回の修理は間接的にこのモードラが悪いんです.大学生のころまではある程度まじめに写真をやっていたのですが,この時点でモードラの動きにあわせて本体側のシャッターボタンがぴょこたんぴょこたん上下するのです.おかしいな〜と思いながら見ていたんですが,ある日撮影終了後にカメラの軍艦部を見ると...

シャッターボタンがない!

要はこのぴょこたんぴょこたんが災いしてシャッターボタンの抜け止めの部品が破壊したか無くなったかで,撮影中のいずれかの動作がロケットランチャーのようにシャッターボタンを青空に飛び出させてしまったようです.しばらくお蔵入りするまでの長い間このままモードラ側のボタンを使い撮影は行われ,モードラ専用機となっていた次第なんです.

これはいけない!修理せねば.と思ったのは5年前ぐらいでしょうか?でも部品がそうそう手に入りそうではなかったし,サービスに頼んでも大金を要求されるかもしれない.もしかして修理不能なんていわれた日には...ということで今日まで放置されてきたという代物なわけなんです.

で,早速部材調達.丁度即決価格ありでペンタプリズム,フォーカシングスクリーン,底蓋,裏蓋なし,シャッター幕曲がりありのジャンクを見つけました.即決ありの場合はどうしても即決で買ってしまう私がにくい!というわけで早速送られてきたものをひん剥いて作業開始です.

F-1の場合はペンタプリズムが外れますので,軍艦部の左肩のみを外します.ネジを取って,シャッターダイヤル,シャッターボタンの回りのフランジ,巻き上げレバーを外し,写真のような状況になりました.フランジを外すときは,シャッターロックレバーのクリック感を出すために小さなバネとベアリングが穴に入り込んでいるのですが,これを落としてしまわないように気をつけなければいけません.しかしちゃんと確保したもののこれはほとんどバネが利かなくなっていました.

で,シャッターボタンの入るブッシュのサイドに刺さっているネジを緩めると,シャッターボタンが外れます.私のF-1はこのネジがなくなってしまったのでしょうね.

同じように今度は私のF-1の軍艦部を外します.同じように外し,しゃしゃしゃっとシャッターボタンを入れて組み立てます.で,案の定先ほどのクリック感を出すためのバネが同じくおバカになっていたので,代用品を探します.こんな細いスプリングがそうそう身の回りにあるわけも無く一時途方にくれましたが,妙案を思いつきました.この細さならば,電気配線で使うケーブルを適当な長さに切ってベアリングとバネの代わりに入れておけばよかろうということで,やってみました.すると,少々クリック感にばらつきはありますが,なんとか不意にシャッターロックがかかるようなこともなくなりました.で,組み上げて今回の作業はおしまい.


今回の作業ではモードラにも不具合があるところを未対応なんで,本体のみ娘の卒園式で試運転.う〜ん,モードラを外して撮影するのは20年ぶりぐらいなので,何か変な感じ.A-1はパームグリップが付けられるので,単体で使ってもそう変な感じはしないのですが,F-1の場合はモードラとの落差が激しいので困りもんですね.まあ,撮影そのものには問題が無く,今回の修理も大満足の結果となりました.次はモードラだ〜.

KEN-Z's WEBのトップへ NEXT