フィルムのベロ出し(36枚撮り)

最近は途中まで撮ったフィルムを他の機体のチェックに使うため取り出すなんてことが多いのでフィルムの入れ替えというのは結構機会が多い私.で,手巻きの状態であれば良いのですが,巻き戻し機能付きモードラが付いている場合はちょっと問題あり.まあ,そんな事いっても,一眼レフではNewF-1とF3だけなので,NewF-1はちゃんとベロが出たまんま止まってくれるし,F3はいつの間にかMF-6Bとか手に入れて常用しているのでまったく問題ない.

じゃあ何が問題だったのかというと,今まで使ってきたオートフォーカスのカメラ.OLYMPUS OZ110です.こいつはそんな機能はないし,ベロ出しで巻き残すオプションなんてないわけです.で,普段はどうするかというと,フィルムカウンターが液晶に表示されているのを利用し,カウンターが1になったすぐに,蓋をあけるということで何とかしてきたのです.

ところがある日,何を思ったかカウンターが1になってからパワーを落としてしまったのです.実はこのカメラ,パワーを落とすと一旦止まるは止まるのですが,レンズを本体に収納した途端に再度動き始めるのです.これは何も知らないお客が途中でパワーを切ってしまってもその後フィルムを取り出して感光してしまうのを防ぐための機能なんですが,これがあだになりました.ぼーっとしているうちにパワーを切ってもそのまま巻き取り続け,急いで蓋を開けたのですが時すでに遅しという状態.

さて,フィルムは13枚目までしか撮っていないので,これは勿体無い.特にDPEを一本でいくらのところに出しているので,36枚撮りのフィルムしか使わない私としては1/3しか使わない状態でDPEに出すのは痛恨の極み.で,ベロを再び出します.といっても専用工具が有るわけではありません.以前写真部だったときに習得したを発揮するしかないでしょう.

唐突ではありますが,こんな私のことですから期限切れのフィルムなんかが手元にあったりするのです.今回それを使います.まずフィルムの先端を切って,約80mm程度の長方形に切り出したものを2本作ります.

次に蒸着面を外側にしてそのベロが入ってしまったフィルムに差し込みます.このとき,入り口の部分を無理に広げるようなことをしないようにしてください.場合によってはフィルムが感光します.

約3/4程度入ったところで,耳を澄ませながら軸をフィルムを引き込む側に回します.何回転かすると,フィルムの端が,入り口の部分に引っかかって,それが外側のフィルムに当たるときの音がカシャっとするはずです.ここからさらに1/4回転程度まわします.このときに差し込んだフィルムがどんどん中に引き込まれていく可能性がありますので,引き込まれないように気をつけてください.

次に蒸着側を内側にしたフィルムを先ほど差し込んだフィルムの内側に差し込みます.これは1/2程度入るぐらい入れれば良いでしょう.同じく感光が起きないように気をつけてください.これにより,フィルムのベロが差し込まれた2枚のフィルムにはさまれている状況になっていればしめたものです.

そして,軸と一緒にフィルムを同じスピードで引き出していきます.このとき絶対にフィルムが早く引き出されないようにしてください.先にガイドになる2枚のフィルムが抜けてしまっては意味がありません.

今回1回目ではうまくいきませんでしたが3回目のトライでなんとかなりました.ちなみにこの方式は36枚撮りが一番成功確率が高く,24枚,12枚と少なくなってくると,ベロが挿入されたフィルムに当たる角度が深くなるので,徐々に困難になってきます.また,使っていたカメラの巻き撮り軸の方向によっては,36枚でも難しいことがあるようです.今回は順巻きであったのでうまくいきましたが,CanonA-1などの逆まきであると非常に難しくなります.でも以前逆巻きであってもこの方式でなんとかした経験がありますので,根気のある方はやってみるのも良いかと思います.

ちなみに市販品ではどうかというとフィルムピッカーというものが写真用品メーカーから1000-2000円程度で売られていますので,私は使ったことが有りませんがそちらのほうが完璧かもしれません.まあ豆知識ということで報告させてもらいました.

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