Canon F-1のモードラMFの修理(その1)

F-1のモータードライブMFは,これも中古で高校生の頃に購入したものです.その当時モータードライブはなんにために必要であったかというと,手ぶれ防止のため.望遠で大口径を持たない我々高校写真部は,屋外で少し曇天が強くなるとすぐに手ブレで台無し写真が続出.しかし大口径レンズに投資するのはとっても高い.ズームだと10万円以上する.ではどうするかというと手ブレを生まない強靭な肉体を作り始めたのです(←ばかみたい).でも,200mmでF4開放の1/4以上になるとどうしても手ぶれが発生してしまいます.

で,今度は安定を求めるようになるわけですが,一脚なんて持ち歩くようではそれまでの努力が水の泡.したがって本体にウェイトを抱かせることで安定を得ようと考えたわけです.当時すでにF-1にはワインダーFというものがあり,これを購入するのも良かったのですが,より安定させるためにはより重いウェイトを必要とします.ここはモータードライブにこだわらなければ!

そういった経緯もあり購入したモータードライブMFですが,レンズ含まず本体とあわせると約2.2kg.しかもグリップに電池が収まるようになっていて,形が変な上にボディの中心からは多少離れているので,かえって持ちにくくなってしまいました.当時NewF-1やF3もすでに出回っており,ボディにモードラをつけることでコンパクトで安定感も良いコンビネーションが実現するというのがセオリーだったのですが,ことF-1についてはこれが違っていたようです.

そんなこんなでようやっと入手したモードラMFですが,当時の私にそれを使わないなんて選択肢はありません.で,日夜ディバッグに放り込んで持ち歩いていたのですが,肩は痛くなるし,ストラップリングは3角形からだんだん6角形に広がってしまう始末.大学生になってからは駅の自動券売機の前で肩からストラップが滑り落ちて落下させてしまったのですが,駅の床の方が割れてしまったり,自動改札にぶつけたら自動改札機がベッコリといってしまうなど色々な逸話を作りました.

結婚してからは登場の機会もなく,カメラバッグに中に放置していたのですが,あるときカメラバッグを開けてみると,カビのにおいとともに,変なにおいが.あれれ?と思ってみてみたら,モードラMFの電池室で,電池が破裂していました.ショック〜!

ダメージとしては下側の電池室蓋と接点.あと,本来はその電池室の蓋と本体をつなぐ接点がピストン上に出入りするのですが,これが動かなくなってしまいました.そのときはどうしようもなくって再び見なかったことにして放置したまんまにしたのです.

時は流れ,このごろの私といったら何かとカメラの補修にこだわる毎日.なんとかモードラMFを修理したいと,またヤフオクを徘徊していたわけです.で,何を思ったか,ジャンクとは書いていないノークレームの条件の品物を落札.完動品としてもこれといって安くなかったのですが,あわよくばこれを見本に直してやると思ったのです.しかし到着したものはというと,

・ボディとの接点が動かない
・電池の接点は上側のスプリングがストロークしない.

→したがって動かない.といった代物です.まあ,出品時点で外観から容易にわかる接点のダメージを明記しない出品者を恨みましたが,ノークレームということで,クレームせずに我慢することにしました.

で,早速直そうとしたのですが,どうやら到着したものはシリアル番号が1万台のもので,私の手持ちの3万台のものとは設計に違いがあるようです.本体側にはあまりそういった部分はありませんが,どうやら電池室=グリップ側にそういった変更が多く見られます.早速修理をということでグリップ部をばらせばばらすほどにそういった部分が多く,2個1の修理は不可能だと思わせるような展開です.まず,

・電池室の蓋が前の部分のみで押さえるようになっている.(3万台は前後)
・MF本体とのスライド固定部分のネジが3万台の方が大きい.
・3万台だけ,問題の電池室側接点のスライド部分の根元につながるケーブルの途中に何か付いている.
・MFのシャッターボタンの裏についている基盤が違う.
・電池室の蓋も1万台のほうが電池の隙間に入る4本の爪が長い.

あ〜,こんな違うのどうやって直すのよ!

本当はグリップ部の入れ替えだけで生き返らせて,本体はスペアに使おうと思っていたのに〜.世の中そんなに甘くないってことですかね〜.

(つづく)
KEN-Z's WEBのトップへ NEXT