フロントカウル補修(2)

さて前回の続き.割れの補修が終わったところからです.このあと大変なのはウィンカー穴の後ろの紺色のデカールの剥離です.このデカールははがさないでパテで面出ししてから上から塗装しても後で徐々にそのラインが目立つようになったりするので面倒でも確実に剥離しておかなければいけないところなのです.

まずデカールをスクレーパーで剥がしにかかります.でも大体今回のような古いものであればあるほど粘着層がしつこくくっついて残りやすい上にデカールが変質して破れやすく,作業に時間がかかります.今回も案の定デカールは完全に硬化しており,スクレーパを入れたとたんに小さくちぎれてしまいました.根気強く両側で200以上の破片にしてデカールは剥がれました.でもまだ分厚い粘着層が残っています.ティッシュにアルコールを染ませてしばらく放置して,粘着層が溶けて来たところで一気に除去していく戦法ですが,そんなに都合よくは行かないので,少し残ったのをまた時間をかけて除去して行きます.左右でこれを10セット繰り返し,それでもまだ少し残ったのをアルコールで拭き取るのでほぼ同じ時間を費やしました. で,これだけではスクレーパで付けた傷も少なからずあるので,ペーパーをかけて表面をならします.少々の傷は少し荒めのペーパーからはじめたので消えてくれて,これで塗装の前工程が終了.

整面が済んだらマスキングです.シルバー一色からはじめるべき段取りなはずなのにどこを?と思われる方もいるでしょうから解説しますと,マスキングしたのはカウル正面のGPzロゴの部分です.例によって純正チックな仕上がりにこだわりたい私は滅多なことでは入手困難なロゴ部分は元のものを利用する魂胆なわけです. というわけでロゴの部分のみテープを貼り,外形を綺麗に切り出しマスキングが済んでから塗装に入ります.

まずは簡単なシルバー一色から.例のごとく庭にシャベルを突き立ててカウルを引っ掛けブシュ〜っとプラサフ,続いてシルバーメタリックを吹きます.クリアとの重ね塗りのあとは1週間の養生です.

養生後に左右のラインパターンの塗装に望むため,ほぼ全体を覆うマスキングです.まず赤から.赤は極めて一般的な赤ですのでニンジャで使ったことのある日産の赤を使います.こういった小さい範囲の塗装ではどうしても一ヶ所に塗料が集中して,垂れやマスキングした裏に塗料が回って思わず失敗することがあるので,かなり落ち着いて作業することにしました.都合左右5回塗りしてその日の作業は終了.また養生です.

次の青は赤の時と作業の内容は同じなので割愛しましょう.青が済んだら今度はGPzロゴを含めマスキングを剥がし養生もあんまりしないでそのまま全体にクリアを塗ります.何度か重ね塗りして最後にお馴染みの暈し剤を塗り塗装作業は終了.

いろいろあって塗装が上がってから庭にカウルを放置すること約1ヶ月.ようやく車体にカウルを取り付けます.なぜこんなに時間がかかったかと言うと,実はカウルステーのすったもんだとカウルの補修が同時進行で進んでおり,その完成を待っていてこうなったわけです.本来ならカウルステーが仕上がる頃にちょうどカウルが仕上がるはずだったのですが,それだけカウルステーが大変だったということになります.

で,取り付けについてはカウルとカウルステーのフィッティングが済んでいるので結構大船に乗った気分で望めます.まずはカウルにウィンカーを取り付けます.ウィンカーは以前GPz1100用ということで手に入れたものですが,なぜかウィンカーポジションがあるものです.多分ハーネスは2本しか端子がついていなかったと思いますので,ウィンカーポジションを灯すならば後で何かしら追加作業が必要です.まあそんな以前たらふくやったことのある作業はストレスにはならないので後回しでいいよねー.

で,カウルの取り付けです.取り付け穴というのはGPz1100,750共にミラーの取り付け穴のみ.下周りはカウルステーの方から前方に伸びる左右のダボピンにゴムブッシュを介して差し込むだけです.この方式だと取り付けは簡単なんですが,速度が上がって来たときにカウルが暴れてしまうのでは?と少し心配です.まあ最高速チャレンジなんかするはずもない人間が何いってんだか.

お次はスクリーンです.これはずいぶん前に入手したもので,長らく長期在庫になっていたため一時行方不明になっていたのを決死の捜索活動で探し当てた経緯があります.こういったものが一旦行方不明になればそのまま新しい部品を買ってしまい,またいらない在庫を増やしてしまうことになり,ここで血眼になってでも探し当てることは非常に価値あることなのです.

取り付けに際してはこれまた入手に予想外の高額をかけてしまったスクリーンラバーを挟みます.作業そのものはすこぶる単純なのですが,部品の入手や管理で紆余曲折がありますのでいちいち感慨無量になっている私をお許しくださいね.

さてここまで来ればフロント周りが大体最終形状になります.今までフレームばっかりが目立ってわからなかった車種もこれでとりあえず空冷GPzであることがわかるようになりました.

また車体を遠巻きに舐めるように眺めつつ,悦に入ります.いや〜,それにしてもカウルを取り付ける迄にここまで苦労した車体は今まであったでしょうか?そんな思いもあって,車体を眺めての感慨はいつもに増して無量です.実はGPz空冷シリーズの中で乗ったことがあるのは400のみで,1100の場合は思い出があるわけでもないので正直自分がこんなに感動するとは思いませんでした.

まあ感動なんて他の人からすると何のこっちゃという話しですからこんなの紹介しても意味ないっちゅーことなんですけどね.

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