キャブの再レストア(その1)

前回まさにキャブの中に水が入ってしまったという状況であったこともあり,ひとまずキャブを取り外して,フロート室内をチェックしました.その結果,メインジェットもスロージェットも全然つまりもなく,ひとまず水の浸入の悪影響はほぼないものと判断はできたのですが,京浜製とは違ってベンチュリの上側に取り付いているパイロットジェットを抜いてチェックしているところで,ちょっと違和感がありました.まず京浜製ではパイロットジェットの根元部分にワッシャとOリングがあるのですが,このミクニ製ではそれが見当たらないのです.

るとそんなもの自体ないので,これはこれで正常かなと思いつつ,パイロットスクリューの首の辺りにあるOリングが良く見るとひび割れていたり,個々のキャブによっては1箇所切れてしまったりします.これはパイロットスクリューから不要なエアーを吸ってしまって燃調に悪影響を及ぼしてしまいそうです.車体が走れるようにするのを是が否とも加速するべきと前回重々承知した私としては,ここは万全を期するために対策を打っておかなければいけません.

で,その当時ZN1100のパーツリストの情報がどこにもなかったので,当てずっぽう意で,他の車体のパイロットスクリュー用のOリングを物色することにしました.しかし,ニンジャをはじめこのOリングはパイロットスクリューやワッシャと一体でないと買えないようです.かといって将来使う当てもないパイロットスクリューを含んだキットを購入するほど私も酔狂ではありません.

不思議に思いつつ,パーツリストを見てみ他の車体のパーツリストを片っ端から覗いてみると,どうやらゼファー1100の場合はOリングとワッシャを個別に購入することができそうです.まあサイズなんかはわかりませんがひとまずこの当てずっぽうコンセプトならば一度購入しておくべきということで,購入してみることにしました.さて,次の週末,到着したOリングをパイロットスクリューに取り付けてみたところ,どう見ても薄い.Oリングが溝より薄くては意味がありませんので,今回の当てずっぽうコンセプトははずれに終わったようです.

で,結局何を買ってよいかわからなくなってしまったので,ここは手持ちを利用します.といっても何を?ということになりますが,ここはストレートで購入したOリングセットを使います.適当なのを嵌めて見たところ,写真のような感じになりましたが,もうここは行くしかないでしょうということで無理やりねじ込んでしましましょう.

さて,ここで一旦火入れしておきましょう.セルを回したところ,結構簡単にエンジンがかかり,ピックアップを見る限り少し薄い感じ.う〜む,水の影響はほぼ問題無しと見ていいかな?と思いつつエンジンを切ると,2番のエアフィルタからガソリンがぽたぽた.う〜ん,ガソリン漏れ再び〜! ということで,キャブのフロート関連が一番怪しいということになりましたが,実はこのキャブ,今まで一度もフロートバルブとかは触りさえもしていません.というのも,このキャブ,ニンジャのそれとは違い,フロートの外し方がちょっと危険なのです.ニンジャの場合はフロートピンがフロート室をかぶせれば自然に抜けてこないようになっているのですが,このミクニのキャブはちゃんとピンが穴に圧入されていて,簡単には抜けてこないのです.簡単にはというのは,いろいろwebで紹介されているトピックを総合すると,

・ピンを抜くにはまずキャブを1ケ単位に分解して抜く必要がある.
・ピンを抜くときに無理やり抜こうとするとキャブのボディから直接
 伸びているピン穴の開いているステーが折れてしまって,キャブボディ
 ごと交換する必要がある.

といった脅し文句に近いようなことが語られているわけです.

しかし,キャブからガソリンダダ漏れである状況を目の当たりにした私は,そんな情報で折れるわけがないのです.なんとかキャブを単体に分解せずこの状況を打破できないものか考えた末,ひとまず無理のない範囲でトライアルできないか考えて,写真のような工具立てでチャレンジしてみたわけです.まあ,土足でキャブのボディを支えているのはご愛嬌としてみて頂きたいのですが,プラス精密ドライバーの先端がだめになったやつの先っちょをグラインダーで平たく削ったものをピンの末端に当てて,やんわりとそのお尻を小さめのハンマーでたたいてみたところ,するっとピンが抜けてきたのです.これにはちょっと嬉しすぎて小さくガッツポーズしてしまいましたが,これでなんとかフロート関係にアプローチできます.

ということで無事フロートを外し,フロート室の全貌がここに明らかになりました.一応メインジェット,スロージェットのつまりは確認して,フロートバルブを外してこんな感じ.あとはフロートバルブですが,ここらへんで長いので次回に続くのでありました.

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