エンジンの仮組み(その1)

さて重い腰を上げて作業に取り掛かります.まずは最も大物であるクランクケースの状態確認からです.クランクケースは米国から送られて来た状態から中身の部品ががどの程度含まれているかを確かめるため一回チェックのために箱を開けただけです.今回は部品としての詳細なチェックを行います.

まず箱を開けてみてはじめに感じたのはその臭いのキツさです.どうもその臭いは緩衝材として使われている新聞紙から発せられているようです.以前も一眼レフカメラやなんかをeBAYで購入していた頃,中身のチェックをして梱包をそのままで保管していたら再び開けたときに強烈な臭いがして,その臭いがカメラにも染みついてしまったことがありました. 国内からの荷物の場合はそんな現象に遭遇したことはありませんが,アメリカからの荷物の場合は新聞紙が含まれている梱包材と一緒に長期保管したものは大概強烈な臭いが移ってしまいます.これはアメリカの新聞全てに言えることなのか定かではありませんが,かなりな高確率で新聞紙が時間とともにかなり臭くなっていくわけです.私もこの事実を把握していたものの,相手がクランクケースなので梱包を解いてしまうと決して綺麗とは言えないエンジン部品を室内に置いていることをアピールしたくなかったのと,ここまで長期放置してしまうとは思ってなかったというのがそもそもの原因です.

後悔しても仕方ありません.家族が強烈な香りに眉をひそめる中玄関で梱包を解きます.梱包は以前も確認済みですが,新聞紙の他に細かいシュレッダー屑が使われており,それらがクランクケースの中にもかなりな数落ち込んで,壁面にくっついてしまっています.これらを抜かりなく除去して,クランクケース内部と合わせ面に傷や割れがないかを確認します.合わせ面にはかなり前のガスケットのカスがついていますが目立つ傷はついていないようです.

次にネジ穴の確認です.このクランクケースは出品状態から既にシリンダーのスタッドボルトが立っておらず,そのおかげでアメリカからの送料も少しだけ抑えることが出来たかもしれません.スタッドボルトがなかったのは運送中にスタッドボルトに変な力が加わり,ネジ穴を壊してしまうことがないのでその点は良いのですが,元々ネジ穴が潰れているケースもあるので,確認しておくに越したことはありません.で,確認の結果は勿論OK.

次は中に入れるパーツ確認の第一弾ということでクランクシャフトをフィッティングします.どこにしまい込んだかなかなか思い出せませんでしたが,思い当たるところを探しはじめて2箇所目でめでたく発見.

当のクランクシャフトは入荷時に状態を確認済みです.ちょっとジェネレータローターの取り付けテーパ面に傷ありとのことで少々お安く手に入れることが出来たのですが,この傷がどのように付けられたかによってシャフトの軸がぶれてしまっていることも考えられます. そこでクランクケースにセットして回してみて,回転が渋くなるところがないか,ベアリングに浮きが生じないかをチェック.結果はなんとかOK.うーんまたいい買い物したかも?

さてお次はミッションギアASSYの仮組み.車種が違うけど大丈夫よね〜なんて少し疑いながらアウトプットシャフト側を入れたところなんと結果はNG.なんで?ということで,何度かギアの噛み合わせを変えてトライして見たんだけど,状況は変わらずじまい.

確かにパーツリストを見てみるとGPz1100はA1とA2以降でミッションギアのうち2つのギアが違うようです.またそれにあわせてチェンジドラムも型番が違います.これか〜ということで,ギアとチェンジドラムの新旧があっていないということがわかりました.ここでチェンジドラムはZ1100GPのものであることがわかっているので,チェンジドラムの方が古いため合わないのであると断定.続いてパーツの入手可否とコストを調べたところ,A2以降のチェンジドラムはまだ入手可能であることがわかりました.高額の新品部品を購入するのは断腸の思いではありますが,確実にA2以降のものを手に入れるためには仕方ありません.

苦渋の決断の末,新品のシフトドラムを購入.神々しくも感じられるそのお姿を拝みながら再びクランクケースを引っ張り出して今度はシフトドラムの交換です.シフトドラムは流石にシフト関連部品の中でも要中の要と言えるだけあって,周辺のシフト関連部品をとことん外してしまわないことには交換できません.組み方を間違えて後でトラブルになるのもいやなので,分解前に写真を撮っておきましょう.結構サークリップを飛ばしてしまったり面倒な思いをしつつシフトドラムの交換を行います.途中新旧のシフトドラムを並べてみたりしてちょっと浮かれ気分で作業は完了.

さてここでまたまたミッションギアを嵌めて見ます.あれっ?なんで入んないの?なんで?なんで?

おいしいところですが,ここで続きます.

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