エンジンの入手について(その3)

さて,自分の至らなさに端を発し送料を合わせて莫大な出費を強いられたあんなことがあったのを一刻も早く忘れてしまいたい私はかみさんにもそんなこと告白できるはずもなく,2週間ぐらい経ってからかしこみかしこみ大きな荷物が届くかもしれないと懺悔することにしようなんて思って家族にはまだ黙っておくことにしました.

それから約10日が経ったころ.仕事疲れの中帰宅する私.ところが薄暗い玄関前の足元あたりにふと目をやるとビニールテープでぐるぐる巻きにされた大きな荷物があります.いやそんなことはないさと自分に言い聞かせてその荷札に目を落とすと,そこには汚らしく書き殴られたアルファベットが.嫌な汗をかきながら玄関を入れば,嫌な予感が当たって玄関の中にも一回り小さい荷物がおいてありました.

内容物はきっちりMOTORCYCLE PARTSと書いてありましたので,リビングには既にかみさんの般若のような顔が…かみさんの言うには,昼ごろにこれらのデカく重い荷物が突然(そりゃそうだわな)届いたとの事.そのサイズもさることながらその荷物の男がギリギリ一人でやっと持ち上げられるような重さ.配達のおじさんの苦労を目の当たりにしてさらに怒りの炎に火がついたとか.

まあ到着してしまったものは仕方ありません.なんとか屋内に収めてしまわないといけないわけです.といっても予期せず早く到着してしまった荷物に関してその場所なんて何の準備もしていなかったわけで,室内にはスペースがありません.仕方なく玄関の近辺においてある廃棄予定の段ボールがあったので,その下にでっかい箱を積んでかさ上げしてカムフラージュ.見た目ではバレバレなんですが,これなら新たにスペースをとってしまうこともなく今から特段私の立場を悪化させることもない(はず).

さて,入札から商品入手まで予想外にスムーズに行ってしまい,ある意味途方に暮れる私でありましたが,商品がどの程度まで流用可能であるかを遅まきながら確認しておく必要があります.確認に当たってはいきなりそのでっかい荷物を開梱しては部屋の中で場所を取るばかりか家族感情を不用意に悪化させることにもなりますので,ここはもともと見やすくもなかった出品の写真を拡大して精査して見ることにします.ぼんやり写真を眺めている限りはなんとなくGPz1100に使えそうなんですが,どうも気になるのが出品されていたときの標題です.GPz1100Bって書いてありましたが,あれは一体何だったのか….で今さらですが,この謎解きに挑むべくWEBを徘徊して調査します.

すると,アメリカではGPz1100の前のz1100GPのことを通称でこう呼ぶようです.これはz1100GPのサイドカバーにご丁寧にGPz1100と書いてある上に,形式名でいくと,KZT10Bというためにその末尾のBをとってそう呼ぶことがあるそうです.そういえば出品の標題に書いてあった年式も,z1100GPのことを考えるなら正解と言えます.この時点では特段大きな過ちを犯したイメージはなかったのですが,この後GPとGPzのエンジンの違いについて調べて行くにしたがい,これがとんでもないミスであることがわかってきました.

一体その違いは何かと言うと,

@ヘッドが狭角バルブになっており,カムも専用.
Aクラッチが強化されている.
Bミッションも同じく.

とにかく外観はそんな雰囲気が全くないにもかかわらず,まるで別のエンジンに産まれ変わっているようです.と言うことは今回入手したパーツは違うのを承知で流用するか,使うのを諦め新たに高価なGPz1100のパーツを買い直すかということになります.そもそもこの入札自体がクラッチやヘッドが一括落札できるところを唯一のメリットとして入札したのに,それらが使えないというとなにやらあるのかないのかわからないような心細いメリットが吹っ飛んでしまったわけで,なんとも悲しい限り.

安易な判断で悲しいどん底の気分のまま今後をまた考えなければいけません.どうなることやら.

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