カウルステー問題(その3)

ライトの上下方向の調整ができないところで頓挫しておりましたカウルステー周りですが,依然調整用の部品が入手できずもう自作の方向で検討を始めることにしました.だって純正新品は欠品,出品はまったくありません.カウルステーとライトはいつも別々に出品されているようなのですが,そのライトにもカウルステーにもこの調整用の部品はついておらず,皆さん出品前に捨ててしまっているようなのです.これでは入手できる可能性も極めて低く,いつまでたっても組み立てが先に進まないとみたのです.

で,ものは板金部品なので1.5mmのステンレス板を使います.ステンレス板といってもでっかい板でしか売っていないので,適当に使えそうな条で,真ん中に6mm程度のスリットのあいたホームセンターで売っているものを使用します.これを使うと決めた時点でちゃんと図面が引けていたわけではありませんが,とりあえずこれでまず作ってみてだめだったらまた考えようといういつものいい加減な思考のもと進めることにします.

まず材料とする条の真ん中に開いている長穴は本当なら光軸調整の時にネジ頭が滑り動くように使うのが常套手段ではあるのですが,残念ながら今回はそうはできません.上でも述べましたが条の幅が細くクランク形状を切り出すのが精一杯なので,ちょうど中央に開いている長穴は切り出したときに消えてしまうのでした. そうなると,加工しなければならない箇所とその内容が複雑になり,おのずと出来上がりが微妙になってしまうかもしれません.でもあんまりお金をかけたくないことを考えると,そこそこのリスクはしょうがないのです.

自分をそういい聞かせてまず外形の切り出しです.バイスに条をはさみ弓のこで切り出します.バリだらけになるのでヤスリでバリをとり,ついでに面取りとR取りまでやってしまいます.引き続いてライト側に取り付ける穴をボール盤であけて,光軸を調整する際の長穴を作るために,それと逆側に4つばかり7mm程度の穴を隣合わせてあけていきます.

隣り合った穴は,それぞれの穴同士がつながるようにヤスリで削っていくためなんです.本当はフライスが欲しいところですがボール盤しかないので,ここは手間がかかってもしようがありません.

ということでヤスリで穴と穴の間を削って行きます.バイスも木工用のものなのでしょっちゅう動いてしまいますし,結構難工事ですが何とか1時間程度で長穴が開きました.集中して一心不乱にヤスリを当て続けたため,炎天下既にもう汗だくです.あとはヤスリでバリが立っているところをペーパーで馴らして板金の材料としての形状はできました.

さて,ここでひとまずライトハウジング側の穴に取り付けられるよう,Z字型に曲げていきます.今度は金工用のミニバイスに板金をはさみ,その飛び出た部分をプライヤではさんで補助した状態で板金の飛び出た部分に鉄のブロックを当て,そのブロックをハンマーでたたきながら直角に曲げて行きます.ミニバイスの場合,弓のこを引く力に対抗するほどの重量がないので切り出しには使えませんでしたが,曲げにはとりあえず使えます.でも所詮ミニバイスなのであんまりガンガン衝撃を加えると壊れてしまいますので要注意です.

実は今回はとにかく既にあるものを使うということで,スケッチなんかをしていませんので図面もありません.完全に勘だけを頼りに形状を作っていますので,光軸調整に使えるかどうかがわかりません.ここで初めてフィッティングしてその確認をします.するとどうもライトハウジングのブラケットの取り付け位置に対して,調整するためにライトステーから伸びているネジ穴の付いた板はかなり距離が離れていることがわかりました.現在の取り合いよりも12-15mm程度車体の左側に振る必要があるわけです.(文章で書いてもちっともわからん)

これをどのように解決するかですが,一旦切り出してしまった材料を長くするなんて出来ないし,また再びあんな手間を掛けて材料を切り出すのは性に合いません.なんとかならないか?知恵を絞った末,折り曲げの位置をずらし,なおかつ直角以上に曲げることでオフセット量を稼ぐことにしました.曲げてみて2度フィッティングを繰り返し,なんとかちょうどよい位置に調整ネジの穴がやってくるようになり,形状はこれでOK.

次にこのブラケットを塗装します.これまで何度曲げては戻しを繰り返したので,表面はアングルやプライヤでつけた傷がいっぱい.またペーパーで表面を綺麗にする必要があります.ペーパーを掛けたらサフェイサーから塗装し,黒塗りに.塗装してもどうせ調整でネジを擦らせたりすると剥げてきちゃうんですが,まあ塗装がないのはどうかと思いますし...

塗装の養生を1週間したところで,取り付けです.取り付けてみて形状をみると,どうしてもハンドメイドな感じがしますが,私的にはそれがお気に入り.剛性もあわせて機能には問題はありませんし,どうせ見えないところですし,ライト調整のときに自分が触るときに一味違うフィーリングを味わうことが出来るなんてね.

そんなこんなでかなり苦労してしまいましたが,これでカウルの内側が収束してくれました.年式によって部品の構造が違ったり,欠品が多かったり今までの車体にはあり得ないほどの苦労がありましたが,たかがカウルの中でこんな状況です.この先いったいどうなるのかと思うとぞくぞくっとします.

そのぞくぞくは期待によるものなのか,恐怖によるものなのか自分でもわかりませんが,かなりお気楽に構えていないと企画中止なんてことになってしまいます.ということでとにかく楽観的に行くことにしましょう!次は何しよっかな〜.

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