中途半端な組み上げ(その3)

ステムシャフトの長さが短いということで途方にくれるところで前回は終わってしまいましたが,一応GPz1100の名誉の為に補足しますと,当時発生したウォブルはGPz1100のフロントヘビーな車体ジオメトリに加えて,当時のバイアスタイヤの性能が追いつかずに発生したのではないかと言われています.勿論最高速チャレンジを除いてはその性能には微塵の疑いもなかったとのことであり,今となっては所詮昔話です.加えて私にとってはGPz1100の最高速を出すこと自体ないですし,必要ない機能を追及するつもりはありませんので,私が後期型のフレームを使うこと自体無駄なことなのかもしれません.いろいろ考えるとますます落ち込んできてしまいますね.これでは...

そんな悩みもありつつ今日の作業はどの程度まで進めるか悩みます.今回のトラブルは結構ダメージが大きくて下手するとせっかく組んだリアをばらして今日の作業は全くなかったように部品を全て収納してしまわねばなりません.そんな不毛なことにしない為にもここで仮にでも車体を組み上げてしまわねばならないのです.まず考えたのは他の車体のフロント周りを流用すること.手持ちのフロント周りというとこの時点で結構なバリエーションがあって,ニンジャの前期,後期,ZX-10,ゼファー,ZZ-R400,あとステムだけなら謎の車体のもあります.謎の車体は除いて全てのステムベアリングの上下幅を測定するもその全てがあろうことか190mm.この時点で他車流用は断念して,他の手を考えます.

今度はステムシャフトの現物をシゲシゲと眺めます.まだ確信は得られないものの次にトライするべき方針が決まりました.まず先ほどと同じようにフロント周りを持ち上げたままフロントのASSYを差し込みます.上部のステムベアリングとカバーを上から顔を覗かせたステムシャフトに通します.ここで本来ならばステムナットを取り付けるのですが,今回はそのままトップブリッジを取り付けます.この時点ではまだフロント周りは固定出来ていないので車体から手を離すとステムに変な応力がかかってしまうので,ちょっとがんばって腕をプルプルさせながらネジを締めます.

実際締まってくれるかどうかわからないネジをプルプル状態で締めるのは心細さもあって,体力的よりも精神的につらいものがありましたが,そんな思いが通じたのかなんとか固定出来ました.意外なことにこの状態でステムにガタはありませんでした.もしかしたらこのまんまでも乗れるかも?なんて考えが頭をよぎったりしましたが,さすがにそれは止めておくことにします.

ここまできたらこの状態でとにかく仮置き出来るわけなので,ハンドルをつけなければいけません.ハンドルは車体についてきたのはバーハンドルであったために,そのままではインジケーターが取り付けが出来ません.工夫をしてアップハンのまんまでもいいかな?と思ったのですが,やっぱり純正っぽいのが好きなので,純正を使います.といっても流用改.

というのもGPz1100の純正というのは欧米ユーザー向けにかなり低いセパハンになっています.当時カタナなんかは国内で刀狩りにあっていたりしたのですが,輸出モデルだけは大手を振って低いセパハンをつけて売るというのが流行りでして,同じような感覚でGPzの場合も1100は低く,国内の750は若干高くといった味付けがされていたのです.GPzの場合は少し時間が経ってからであったのが幸いしてカタナ750の耕運機ハンドルというレベルほどではなく,忍者750より少し高いレベルになっていて,この程度がいいな〜なんて思っていたのです.

ということで今回ハンドルバーはGP1100ですが,ハンドルホルダーは750という構成で,若干アップハン気味を目指します.そういえば今までの忍者はすべて初期型のフロント足回りに750Rのハンドルを使ってきましたので,その手法をそのまま踏襲したといっても良いかもしれません.

ハンドルが付いたらこの状態で保管場所へ移動できますので,かなり作業は楽になってきます.一応今後の作業で支障にならない程度に部品を取り付けていきます.まずテール周り.GPz400Fのときに入手したリアフェンダーやテールランプを取り付け,まだカウルは無いのですがそこら辺においているとすごく邪魔なサイドグラブバーを取り付けます.次にバッテリケースですが,ここで先にテール周りを取り付けたことをすごく後悔しなければいけませんでした.バッテリケースは実はリアインナーフェンダーがある状態では入れられないので,一旦せっかく取り付けたテール周りをまた外さなければいけませんでした.ここらへん非常に無計画に進めたことを悔やんだわけなんですが,よく考えたら今までテール周りを組んだらリアインナーフェンダーにバッテリケースが一体でくっついていたので,自然とバッテリケースの取り付け順なんて気にしなくても良い状況だったんですね.思い起こせば初めての経験をしておきながらその自覚が無く取り付け順をしくじったというわけ.

そんなすったもんだを経て,ステップ周りに入ります.ステップ周りは車体と一緒に入手したもの.取り付けについてはそんなに難しくないのですが,これはあとで必ず外しそうな予感がしたのであくまでも仮止めにしておきます.リアブレーキキャリパもついでにくっつけて,とりあえず今日の作業はここまで.

それにしてもここまで中途半端な組み上げは初めてです.いつもと大きく違うのはまだエンジンが載っていないこと.これはエンジンの入手が遅々として進まないからに他なりません.またフロント周りはいつもはタイヤを交換せねばならなかったり,フォークオイル漏れをなんとかしなければいけなかったりと,大体の場合車体が組みあがってから一旦外すのがほぼ恒例であるのですが,こんなフロントステムの長さが足りなくて組み直し予定が残ってしまったのなんて初めてです.フロントステム周りの強度はあくまでもごまかしてくっ付けているわけで十分とはいえないでしょうし,もしすぐにエンジンが手に入ったとしてもこの状態に乗せるのは危険でしょう.

こんな状況ですから,車体は姿を現したものの全然進んでいない感じ.やることは多いし,部品の入手でもかなり難航しそうな予感です.ああ〜,すごく憂鬱.

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