ハンドルスイッチのレストア

外装が出来つつあるのですっかり白んでしまってみすぼらしいハンドルスイッチをなんとかすることにしました.といいつつ白んでいるだけが問題でないことは取り掛かる前から薄々感じていたわけなんですが,今回も期待を裏切りません.

まず右を空けてみます.右は各スイッチの動きもあまり違和感もなかったのですが,開けてみてびっくり.中に例の地蜂の羽化までのすみかである泥を固めた室のようなものがゴロゴロ.ここまで数が多いとちょっと見ていて気持ち悪くなりますね.これは実際ハンドルスイッチの内容物には固定されておらず,逆さにしてみたら全部コロコロと落ちていきましたので,そう大きな問題ではありませんでしたが,まあショッキングな光景であったことは確かです.右については奥に見えるスタータースイッチがえらく錆びていますが,接点復活剤を塗って,あとは車体に取り付けてから使えるかどうか判断したいと思います.外側についてはライトスイッチを外すと根本の爪が折れてしまう可能性があるので,外さないでスイッチをマスキングして艶消し黒を塗っておきました.文字がわからんという点については,私の場合見なくても操作出来てしまうので問題ないということで特に対策せずそのまま黒一色でいきます.

左はどうもGPz空冷系で良くあるホーンとパッシングスイッチの動きが悪くなっています.したがって車体から外してすぐにばらして中を確認したところ,他のスイッチは大丈夫な感じでしたが,このスイッチのみ豪快に錆びています.右のスタータースイッチはまあ動きは問題なかったんですが,こちらは動きに支障があるのでこれほどの錆だとスイッチとしての機能を果たせないということなんでしょう.そういえばこのスイッチ,前回のGPz400Fのときも内部を分解してなんとか修理したので,それをアップしたような気がします.しかし,このスイッチは深刻な錆びの影響で導通だけでなく動作にも問題が出ています.こうなると現物のレストアではなく,スイッチ自体を交換するしかないですね.

場所を室内に移してその錆びたスイッチの中を開けてみました.錆が接点にもはびこっており,スイッチの筺体のプレス部品が錆の厚みのせいなのか内側に変形してしまっています.ここまでひどい錆が回ってしまうのはこのハンドルスイッチの設計上の問題によるもので,この部分にちょうど水がたまるようになっていて抜き穴がないのでどんどん水がたまってきてしまい,このような盛大な錆につながるようなのです.この後のモデルではハンドルスイッチが上下の割りではなく,前後割りになっていて,なんとか下から水が抜ける構造になっているので,ここまでひどい錆にお目にかかることはないのですが,あいにく,右はスタータースイッチ,左はこのホーン,パッシングスイッチがちょうど袋小路の中にあるため定番の故障ポイントということになっております.

幸いにもこのスイッチの動きが正常なGPz空冷用ハンドルスイッチを持っていたので,それを分解してスイッチの移植作業に移ります.で,その分解でいきなり躓きました.このスペアのハンドルスイッチ,上下割りを下から留めているネジが全然廻らないのです.いや,全然回らないと言ってしまうと語弊がありますね.当然ネジのリセスはバカになってしまっているので,初めはバイスクリップで挟んでまわしたところ重く回っていたのですが,2mm程度回ったところでほとんど回らなくなってしまったのです.で,何度もバカ力で回していたら1本のネジが折れ,続いてもう一本も折れ,写真の様に分解されました.なんでこんなことになったかは一切わかりませんが,中身のスイッチ類が比較的健康な状態であったにも関わらずケースが開かないという奇妙奇天烈な現象に少し戸惑ってしまいました.

そうこう苦労しながら交換予定のスイッチとご対面できたものの,動作に問題なしと考えていたのですが実際ばらしてみると中のベアリング球やスプリングなどには錆が回ってしまっています.樹脂製のパーツも少し摩耗が進行しているので,この樹脂部品は元々ついていたスイッチパーツをそのまま流用したほうがよさそうです.で,錆を適当に落とし,スイッチの組み直しをして,半田付けしてスイッチの移植を完了しました.最後にスイッチの物理的な動作確認と,テスターを当てて導通の確認を実施.パッシング,ホーン共にスイッチ動作時の導通が確認できました.タッチのほうもスムーズでまるで新車のよう(?)です.まあ毎回ハンドルスイッチは苦労させられますが,この程度の苦労だったらまあ許容できるかな?

KEN-Z's WEBのトップへ NEXT