火入れ(その3)

スタータースイッチの導通まで確認して前回火入れに即刻いかないのは既に夕方になって陽が傾き始めていたからなんですが,何もそこまで勿体付けなくてもいいんじゃないかとお思いの方もいらっしゃるかと思います.でもGPz400の場合,イグニッションコイルの前にコネクタの取りつけブラケットがあって,ここでメインハーネスとハンドスイッチ側のコネクタが接続されるので,いちいちタンクを浮かせないとハンドルスイッチの着脱ができないという事情もあります.暗がりの中で作業してタンクを落としてしまうなど予期せぬトラブルを避けるためにもここは無理はしないと決めた結果がこのような長丁場を生んでいるわけなんです.

ということで次の休日の朝,タンクを浮かせてハンドルスイッチを接続します.イグニッションをオンにして,再びセルが回るかどうか確認したところ,今度は流石に回り始めました.それもちょっと元気がよすぎるぐらいのスピードで.ということで,遅まきながらオイル交換して,タンクにガソリンを入れてようやく実際の火入れということになります.なお抜けてきたオイルは意外にちゃんとしていて,もっとどろどろになって量が減っているかなと思ったのですが,4リッターぐらいが出てきて特に水やガソリンが混じった形跡もないので,ともすればそのまま使ってしまおうかなというほどの綺麗さ.流石に20年以上と思われるオイルは使えないだろうということでギリギリの線で思いとどまり,オイルはいつものXF-08を入れます.

コックをプライマリにして,しばらくしたらチョークをひいてセルを回します.ちょっと長めにセルを回したところでボコボコッと火が入り始め,再度押したらすぐにエンジンがかかりました.チョークをひいていたので回転数は6000回転といったところでうるさいのでアイドルスクリューを戻しましたが,なかなか回転が下がりません.一旦エンジンを止めてもともと動きの悪かったアイドルスクリューがちゃんと動いているか確認しながら,モンキーで挟んで無理矢理広範囲に動かして徐々に動きを軽くしました.で,再びエンジンをかけましたがチョークを戻してもエンジンの回転が下がりません.だいたい3000回転が下限で,アクセルを煽ったらちゃんと回転が上がるし戻したらちゃんと戻ります.でも戻る回転が毎回違う.う〜ん,こりゃなんで?

またエンジンを止めていろいろトラブルシュートしてみました.まずキャブがおかしいのでは?とチョークシリンダの戻りと負圧ピストンがちゃんと戻っているかをタンクを外してキャブの上周りのねじを外して確認.負圧ピストンについては固着していたところをマイナスドライバでぐりぐりやったという経緯もあって,変形したエッジの部分なんかはちゃんと修正したつもりだったのですが,それが不十分で戻っていないキャブがあったりするのかな?と思いましたが,そんなことはなくちゃんとすべて戻っていました.チョークについても問題なし.ガソリンのオーバーフローなんかもなく,こうなるとキャブの可能性は低そう.

で,キャブが見えるところで何度かアクセルを煽って,戻してを繰り返したところ何か違和感が.戻した時にちゃんとカチっというのですが,それがキャブからではなくハンドルから音がします.ありゃりゃ,ちゃんとアクセルワイヤーを調整したつもりだったのですが,短すぎてアイドルスクリューが効かないところで止まってしまっているようです.急いでアクセルワイヤーのアジャスターを調整し,ちゃんとキャブ側から音がするのを確認してタンクを載せて再びセルを回します.今度はちゃんと回転数が1000rpmぐらいまで落ちてくれました.回転も少し不安定なところもありますが,なんとか1100rpmぐらいでアイドリングができるようになったので,しばらく様子を見ます.それにしても流石実走7800kmだけあって,長年止まったまんまとは思えないほどのきれいな音で回ってくれます.前回のGPz400Fは少しくたびれた感のあるゼファーエンジンでしたが,これは本当に程度の良いGPz空冷の音です.19歳のころ中古で2300km走行という触れ込みで購入したGPz400Fのはじめのころの音よりもきれいで,恐らくその2300kmというのはうそだったんだろうなと確信できるほどの綺麗さ.こりゃええわ〜と少し悦に入ってしまいます.そしてギアを入れてみて,クラッチが切れるか,6速まで入るかを確認.クラッチの切れは少し悪いようですが,これは少し走ると解消するレベルでしょう.エンジンがひとまずあったまるまでエンジンを回してとりあえず火入れは終了.オイル漏れ,ガソリン漏れ,その他の異音などなく,いろいろあったものの結局スイッチ類以外は全く問題なかったという珍しい火入れでありました.

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