種車の現車確認(その1)

さて,車体がやれていればいるほどやりがいを感じるために重要なのが現車確認です.まだ分解したりはしないで,ひとまず外観オンリーですが,今回はそれだけでかなり盛りだくさんの内容となっております.前回のタンクはその中でも一番見栄えとしてある意味グロ映像でしたが,実際あそこまでいってしまうと交換しか手はないわけで,実際の見た目ほどの手間はなかったりします.そんな事情は理解しているつもりで,ほかに目を移して見ると,そこかしこに使えるかどうか怪しい代物がどんどん見つかります.実際予算オーバーでこの車体を入手しているわけで,ほとんど部品が使いまわせない場合,この購入自体意味が希薄になっていきます.まあ勢いで買ってしまったわけなのでこんな困難も必然的に発生しますわな.


まず,カウルです.右サイドはほとんど無傷ですが,左サイドは転倒したのかウィンカー取り付け部周辺が欠落しています.いきなり大物部品で使いまわしができないのが確定です.まあ入札前にここら辺は確認済なので,実はショックでもなんでもなかったりします.一応その欠落部位についていたであろうウィンカーがそのまんまだらーんとついていたりします.ミラーは左右ともなく,シールドスクリーンは見事なまでに曇りガラス以下の透明度になっています.恐らく長らくの紫外線の攻撃にさらされた結果と思われます.


メーターはオドメーターが見事に10000km未達成状態です.放置期間やタイヤの状態からするとこの数字は巻き戻しなどない素直な数字と言えます.しかし所詮25年以上放置されていたということで,素直にそのオドメーターの数字を喜んでばかりもいられません.なお,メーターのパネルが緑がかっているのは写真のトーンがおかしいわけではありません.こちらも長年の紫外線の攻撃あるいは,藻類系植物のなせる業なのか定かではありませんが,このままでは使えません.Fブレーキのマスターシリンダーのカップは見事なまでの腐食であり,ねじはショックハンマーでぶったたいてもびくともしません.ここらへんは流用不可と判断すべきでしょう.ちなみにキーがありませんが,オフの位置にあるので,車体を押して移動することはできるというのは不幸中の幸いと言えるでしょう.ただブレーキが固着していた気配があるので,右ハンドルに巻き付けられているのは無理矢理車体を引きずり時に使ったものがそのまんまになっている可能性が高いと思います.


フォークインナーはめっきがかかっていたものがここまで錆びるものかと疑いたくなるほどの錆具合です.これは使い物にならないでしょう.ハンドルスイッチも上側とセルボタンだけ真っ白に近いほどに紫外線にやられてしまっています.カウルステーもなかなかの錆具合です.果たして使えるかどうかは一旦ばらして磨きを入れて極端にやせているところがないかを精査する必要がありそうです.なおフロントフェンダー上に社外スタビライザーがついています.まあ私には要らない代物ですが...


後ろに回ってみて,1つ特徴的だったのが左ウィンカー.なぜだか中に水が溜まっています.ウィンカーレンズのネジを外しても水が漏れてこなかったので,これは明らかにフェンダーの内側から中に向かって水が流れて徐々にたまったもののようです.よく見るとウィンカーは少し垂れ下がったようになっていて,その傾斜のせいでこのようになったと考えられます.一応レンズを外して中を確認したところ電球やソケットは腐食しておらず,乾かして再利用が可能なようでした.


エンジンは鉄の露出している部分には悉く赤茶けた錆が発生しています.KSRもこんな感じではありましたが,まだ錆の色におとなしさがありました.これはなんか攻撃性をもって錆が襲ってきているような恐怖感を覚える色です.ちょっと心配なのはクラッチワイヤのブラケットの錆び方が尋常ではないので,ここを伝って水がエンジンに入っていないかという点.案の定オイル窓は黒くて全く見えないので,中がいったいどうなっているか早いうちに確認したいところです.

ポイントカバーは同じく腐食しているもののBEET製がついています.これもできれば純正に変えたいところです.そういえば前回のGPz400Fに搭載したゼファーエンジンもポイントカバーが純正でなかったので苦労しました.まあ今回はGPz400のエンジンなのでそう苦労もないように思いますが,そもそも放置プレイ25年物のエンジンがそのまま使えるなどと考えるほうがナンセンスなのでポイントカバーを心配している場合じゃないなというのが正直な感想です.


下周りでは,クラッチレリーズの周辺はまるで錆の嵐です.シフトペダル,リンケージ,スタンド,スプリングなど悉く錆びています.ちなみにシフトリンケージを下げてもかなり力を入れてようやっとローにギアが入る感じで,このギアチェンジの重さからいくと,エンジンの中でオイルが固着しているのか,何かほかのトラブルがあるのかとにかくエンジンはそのままでは使用できないことが確定したわけです.

で,目をフレームに向けるとよくぞここまでという感じで,クランクの下あたりにちょうど穴が開いていたりします.もし書類が見つかったりしたらこのフレームを使おうかなと思っていたりしたのですが,この時点でその野望も潰えました.というか,フレームって錆が回ってこんな表面からわかるような穴が開いてしまうもんなんですね.溶接部位や,雨水がたまりやすいところならわかるんですが,こんなところに穴が開いているのは不自然な気もしますが,とにかくこれで新たに書付フレームを入手しなければいけないというのが決定となりました.

まあひとまず目立つところを紹介しただけでこのボリュームと半端ない先の見えない感です.次回もう少し詳細なレポートに移ることにしましょう.

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