キーのレストア(その1)

さて,前々回の前振りに対して前回は肩透かしを食らわせてしまいましたが,今回はちゃんとキーをやりましょう.まず現状の報告からですが,メインキーはOFFの位置になっていて,キーはありません.いたずらされた跡もなく,ケースのポジションを示す文字が完全に消えてしまっているもののキーシリンダーは綺麗なものです.シートキーは外していますが,こちらも他のキーを差して少し回すと,一応固着はしていないようです.ヘルメットホルダーも同じ感じ.タンクのキーは他のキーを差してみると一応少し動くもののかなり重いです.固着はしていないでしょうが,奥にあるOリングが変形,変質してしまっているかも知れません.

この状況から普通の人はキーシリンダーを全部入れ替えてタンクキャップも一緒に取り換えて1本のキーですべて開くようにするでしょう.しかし私はそれではもう納得できない体質です.なんとか最小の投資で済ませる方法を考えます.まずキーがないので,現在すべてのキーシリンダーがまわりません.しかし幸いにもシートキーが外れているので,ここからキーシリンダーを抜き出すことは可能です.そこでキーシリンダーにあるキープレートの配列から,キーの形状を割出し,そこからキーを作成しようと考えました.といっても,どのようにキーを作るのか.ブランクキーを購入するというもの考えましたが,これだと面白くない.ということで今まで様々な車両に対応した時にあまったキーが何本かありますので,そのうちの1本を種キーにして,そこから削るなり,肉盛をするなりしててこのキーシリンダーを開けられるキーを作成することにしました.

まずキーシリンダーをシートロックの部品から外します.その外したキーシリンダーに何本かあるキーを差してみて,一番キープレートのでっぱりが少なくなるものをチョイスします.セレクトしたものはなんと6枚中4枚がドンピシャになるもので,この残りの4枚分を凹凸加工してキーを作成します.実はこの6枚中4枚というのはかなり高確率でして,1プレート5ポジションありますので,少なくとも2.3%の確率に合致したということになります.ちなみに削る箇所は1か所,盛る箇所は3か所で,その3か所も連続しているので作業的には1か所削って,3か所はまとめて盛ってから削っていく感じになります.

で,削るのは簡単でミニやすりでしこしこ,盛るのはちょっと心配だったのですが半田を盛りました.まず削るところは削りすぎないように少しずつ削ってはキーシリンダーに入れて確認をしてちょうどよいところまで削りました.盛る方は半田を盛ってまず断面上ででっぱりにならないようにやすりで成形して,そろりそろり半田が脱落しないようにゆっくり入れてみてはキープレートのでっぱり具合を確認して,徐々に削っていきます.約10回ぐらいそれを繰り返したところで,キープレートのでっぱりがほとんど無くなり,その結果出来上がったのが写真のような状態.後ろ側はセキュリティ上モザイクを掛けさせてもらっていますが,ここらへんが削ったところ,先端部分は半田で盛って,徐々に削って成形したところです.なお,裏側はこの後の工程のために区別しやすくなるようテープを貼っています.

で,この鍵をそのまんま使い続けるのには不安がありますので,ホームセンターで鍵を作ってもらいます.この鍵については元々がスペアキーであるという点と,ちゃんと加工された形状でないということで断られる可能性もありますが,ここは当たって砕けろです.ホームセンターの受付で言われたのは,元がスペアキーであるためちゃんと開かないカギになるかもという点のみでしたが,一応私も心配だったので,キーシリンダーもホームセンターに持ち込んでおり,出来上がった鍵を受け取ったところでホームセンターの出口に歩く道すがらシートロックのキーシリンダーに差し込み,ひねったところ見事御開帳〜.満面の笑みを浮かべつつホームセンターから出てくるおっさんをいぶかしがりながら見やる一般市民の皆さんの刺さるような視線を気にしつつ,ここまで苦労しただけあって,どうしても笑顔がこぼれてしまいます.

帰宅して早速車体についているキーを片っ端から確認.メインキー,ヘルメットロックキーは難なく開きました.でもタンクキーはだめ.びくともしません.グリスメイトをキー穴から入れつつ何度かやりましたが,全然効果なし.う〜む,ここまで来てタンクキーのみ調達するのもなんか悔しい感じがする.ここはもう少し頑張ってみようと思いますが,もうこのトピックだけで長々しくなってきたので,ここでいったん休憩.

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