キーのレストア(その2)

さて,びくともしないタンクキャップのキーシリンダーを何とかするということで,ひとまずタンクキャップをタンクから外します.いや,タンクというよりも昔タンクだったものですかね.まずタンクキャップを外すためには通常はタンクを開ける必要があり,ここに苦労するところですが,今回はあんまり苦労しません.というのもタンクキャップ周りの板金が錆び落ちてしまっていて,少し工夫してキャップを引き上げたら,その本来ロックされるべき周辺のタンクの板金までがくっついてきて難なくタンクキャップの裏側にアクセスできてしまうわけです.

で,このまんまネジを緩めようと思ってもネジの錆び方もすごいもんで普通に緩めることもままなりません.面倒なのでこのままもいでしまおうかとも思いましたが,それも少しかわいそうな気がしますし,その後の作業性を考えたらちゃんとネジで外したいところでもあるので,ここはこだわってみましょう.

ドライバーを使えないので,バイスクリップで挟んで無理矢理回すのが良いと考えたのですが,このままではタンクキャップ本体が邪魔でバイスクリップを回すことができません.そこで一旦タンクキャップ本体をベースのブラケットからピンを一旦抜いて外して,その後で外しました.まあベースブラケットのOリングなどは全くその機能を果たせなくなっていて,まさに金属部分と同化した後にひび割れしています.まあこんな状況であっても金属部分には使える可能性が少しでも残っているということでで大事に扱っておかないといけません.

さて,キャップがタンクのようなものから外れたら,タンクキャップからキーシリンダを取り外しにかかります.タンクキャップの部品はタンクそのものの逝かれ方に比べるとかなりましな部類で,タンクキャップの表面に塗装の浮きあがりがところどころある以外はまだまだ使えそうです.内部についてもあまり腐食や固着はなく,スムースにばらしていくことができました.で,肝心のキーシリンダーを抜くところで立ち往生.通常はキーシリンダーをキャップに止めているキープレートを後ろ側から精密ドライバーで押し込むことでキーシリンダーが抜けてくるのですが,このキープレートが全然動く気配なしなのです.この部分をこじったりするとプレートが変形して事態を悪化させる可能性がありますので,慎重に進めたいところ.まず裏側からブレーキクリーナーを吹いて,CRCを吹いてそれぞれドライバーで動かすことができるか確認しました.結果は一切変化なし.

でも,見栄え的には錆で固着しているような感じではないので,プレートとキーシリンダ本体の溝の間に異物が挟まって動かないように推測しました.したがってここは超音波洗浄機の出番.3分やってみてはブレーキクリーナーをかけて洗い流してを繰り返して,精密ドライバーでプレートが動くかどうか確認します.ついに3回目でようやくキープレートとキーシリンダーの内面に隙間が空いてきました.本当は精密ドライバーのおしりをたたいて徐々にこの隙間をこじ開けたかったのですが,この状況まであまり手荒なことをせずあとは精密ドライバーを少し回転させてこじ開けていくぐらいであれば,プレート自体の変形は最小限に抑えられます.

これでようやくキーシリンダーが取り出せました.で,モノを観察したところ,このキープレートのみならずすべての溝に何やら異物が入り込んでいるようでスムーズに動かないばかりか固着しているものも4枚中3枚といった状態.ここでまたブレーキクリーナーでの清掃と超音波洗浄機を交互にやりながら,キープレートを後ろから少しずつつっついて徐々に動くようになってきました.

固定用の1枚を合わせて5枚とも抜けたら元の位置にちゃんと戻せるように順番通りに並べて超音波洗浄したりブレーキクリーナーやCRCを使って表面をきれいにした後,グリスメイトを塗布して組み直します.前回なんとか用意したキーを挿してみて,キープレートが出っ張らないのを確認したら,一旦タンクキャップに取り付け,ちゃんとキーが動くかを確認.う〜ん引っ掛かりもなくスムーズに動きます.さて,ここで1本のキーですべて開くようになったわけですが,少しキー関係についてはやってみたいことがあるのですが,あまりに冗長なもんで続きは次回ということになります.

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