固着部分との奮闘

今回の車体はとにかくフレームが書無でかつ錆で穴あきで利用不可なため,フレームの着せ替えというステップを踏まざるを得ません.それはほぼすべてのネジを一旦ゆるめてパーツを付け替える必要があるということを意味します.で,ここまで錆がまわってしまっている車体は当然のことながらそのネジを緩めること自体がとても困難なケースがあり,まずフレームを入手して入れ替える前に,一旦緩める予定のネジを緩めておく必要があります.といっても,その成否は神のみぞ知る領域であり,いわばいてまえ根性で臨むしかないわけです.

例えばステッププレートを止めているねじ.これは大概六角レンチだけでは廻りません.特にこの車体は走行距離が短いようで,そのために工場出荷時に締結されたのが最後のネジが多いわけで,このステッププレートも例にもれず緩み止めのケミカルが塗り込められていたりします.写真のように各パイプをエクステンションバーとして使い,トルクを増強させて緩めるのですが,もうレンチ自体も相当曲がっている状態から,緩み止めケミカルが生きていることもあってぬるりと緩んできます.写真を撮りやすいように上回りを撮影していますが,特に干渉物がないのではこのエクステンションバーを付けても廻りやすいのですが,ステップのすぐ下にあるネジは,ステップはあるわ地面が近いわでこんなに自由がきかないので,結構苦労してゆるめる羽目になります.それでもこの部分はさすがにキャップスクリューなのでネジを舐めたりネジ切ってしまったりというトラブルもなくネジを緩めることができました.

あと,カウル周りですがフロントカウルは前回スクリーンだけ再利用するのでそのネジを緩めましたが,これが結構大変.裏側のプラスチックナットが固着して破壊.結局ペンチでナットを除去してようやくといった感じ.サイドカバーのトラスネジはショックドライバーで3つはOKでしたが,錆まくっていてネジは使い回しが利きません.残り1本はリセスがバカになってしまい,結局電動ドリルで頭を飛ばしてサイドカバーをようやく外せました.

となるとサイドカバーの中身は今回初めて御開帳ということになりますが,この中身がもう遺跡レベルのやれ具合..ブレーキフルードのリザーバータンクとの隙間が狭いせいかフレームがずいぶん錆びているのも驚きですが,イグナイターが緑青なのか藻類が生えてしまったのかなんだか緑っぽい.こりゃいろいろ難航しそうだな〜と再認識してしまいました.

ちなみにねじ関連ではネジ切ってしまったものもあって,とりあえずパーツは外れるようになったんですが,相手のパーツに残ってしまったりしてしまっています.フレームは再利用しないので別にかまいませんが,ちゃんと使うパーツ側に折れたねじが残った場合は細心の注意を払いながら残ったねじの頭をバイスクリップで挟んでねじを除去しました.

あと,ネジではありませんが,ステップが其々ピンやスプリングの固着によって一切可倒状態になりません.特にタンデムステップのほうは片側が開いたまま,もう一方は閉じたままということで是が非でも可倒にしないといけません.で,どうやったかというと,ピンのところにしこたまオイルを吹き込んで,しばらくしてから9Rの曲がり有りフロントフォークを使ってテコの原理で閉じているものは開き,開いているものは閉じてということでダメ元で動かしてみました.このチャレンジは失敗するとステッププレート自体を破壊してしまうというかなりハイリスクなものではありましたが,徐々に力を入れて行ったり細心の注意を払ったこともあって無事左右とも90度曲げることができました.これだけではまだかなり摺動抵抗が高い状況ですが,ここから何度か往復させてほぼ通常レベルの抵抗になるまで復旧しました.

ということでまだ全部のねじを緩めたわけではありませんが,やればやるほど先が思いやられる作業内容ではありました.

KEN-Z's WEBのトップへ NEXT