キャブレストア&改造(その2)

まずそのまま取り付かない理由のひとつが,チョーク機構です.400Fはキャブの横のレバーを引くタイプ,ゼファーはニンジャなどと同じ左ハンドルスイッチ横のレバーを引くタイプです.ということで,そのチョークバルブを引くプレートがそれぞれのキャブで形状が異なります.私はここを結構単純に考えていて,ゼファーのキャブにこのプレートを移植すればゼファーのキャブで400Fと同じような機構にすることが出来ると思っていたのです.

ところが,400Fのプレートを外してゼファーのキャブにあてがってみたところ,明らかにその穴位置が異なるのです.どうもキャブレターピッチが双方で異なるようで,そのキャブレターにあるその取り付けネジの位置が全然合わないのです.

ということで,キャブピッチを測定してみた結果がこちら.→

車名キャブレターピッチ(mm)
GPz400F71.5-92.5-71.5
ZEPHYR66.5-92.0-66.5

1,2番,3,4番の間隔が5mm,2,3の間隔が2.5mmも違うので,400Fに比べてゼファーのキャブピッチは全体で12.5mmも狭くなっているということで,400Fからゼファーに進化するときにキャブレターについての小型化が進んだということでしょう.今まで私はエンジンが同じであればそのシリンダピッチと同じピッチでキャブレターが配置されていると思い込んでいたので,これはある意味目から鱗.確かにエアクリーナーボックスを小型化しようと思った場合は,キャブピッチを少し小さめにしてエアクリーナーからの流れを出来るだけ直線的にしてやることで対応するというやり方がありますが,それの結果がこういった違うを生んだのでしょうね.確かにゼファーのエアクリーナーは400Fのに比べると横幅が小さく出来ていて,車体のイメージをコンパクトにすることに貢献しています.

さて,実はそれにどうやって対応するかがとても難しいのです.キャブはゼファーで行きたい,左ハンドルスイッチは400Fで行きたい.したがってチョークはキャブの横でレバーを引く方針で行きたいのですが,そのレバーのついたスライドプレートが利用できないのです.400Fのプレートを改造してピッチを合わせられないか考えましたが,それはプレートを4分割してピッチを合わせて繋ぎなおすといったもので,恐らく溶接してもピッチは合わせにくいでしょうし,ネジで付けても信頼性を欠いたものになってしまう可能性が高いのです.ということで,ベースとしてはゼファーのスライドプレートを使ってなんとかすることを考えました.

そこで考えたのはスライドプレート2個1大作戦.まあ大作戦というほどではないのですが,400Fのスライドプレートは結構分厚いので,これにタップを切り,そこに400Fのスライドプレートからレバー部分だけをぶった切ったのを固定しようというものです.

まず形状を測定し,2つを合わせこむとキャブ本体に干渉することなく,レバーの部分をそのままゼファーのプレートに取り付けてなんとかいけそうな位置,形状がわかりました.その形状に合わせてケガキ線をいれ,グラインダーで400Fのスライドプレートをぶった切ります.ゼファーのスライドプレートにこれを当てて,ちょうどネジを配置したい位置に同じくケガキ線を入れます.ゼファーのスライドプレートを取り外し,ちょっと小さめの2.2mmとかで2箇所穴あけ.400Fのレバーについては同じく下穴を開け,M2タップを立てます.バリを取って,一応錆が出ないようにこっちだけ黒い塗装を乗せて乾燥を待ち,組み立てです.

簡単に書いていますが,実はこの作業は試行錯誤しながら2週にわたっての作業になったりしておりまして,すでにかなり自己満足度が上がってしまっています.取り付けてみた感じは正面から見ると結構改造したな?って感じですが,車体に付けて側面から見るとレバーが見えるだけなんで,さりげない感じになります.レバーの動きについてはこのままではチョークシリンダの中のスプリングが利いているので引っ張ってもすぐに戻っていってしまいます.ここらへんは戻り対策をしなければいけないのですが,今回はここまでにしておきます.


次はアクセルワイヤです.ここもゼファーは2本引き,400Fは1本引きなので,キャブレター側の改造が必要です.まずゼファーのキャブが1本引きでも大丈夫かどうかですが,手動の動作では戻りもしっかりすばやく戻りますので,1本引きにしても問題はなさそうです.キャブ側の違いというと1本と2本ではワイヤーの受けのブラケットが違うだけなので,これを移植しなければいけません.ただ,このブラケットを止めているネジがプラスネジなので,キャブとキャブの間の狭いところでプラスドライバーを入れてネジを緩めるのがそもそも無理.で,ネジ頭をプライヤーではさんで無理やりまわしました.それぞれのキャブで同じ作業をしましたが,ゼファーのほうが少しピッチが狭いのと,ブラケットの占有体積が大きくって,スペースが少ない分回しにくかった感じ.

ネジ頭の側面がかなり汚くなってしまいましたが,結局同じようにして締めこむしかないので,その傷だらけになったネジをそのまま使い,ゼファーのキャブに1本引き用のブラケットを取り付けました.ここまでで一応改造そのものは終わった感じですが,チョークがすぐに戻ってしまうところを対策しなければいけません.取り付けに関しても純正でない分工夫が必要かも?ということで次回に続きます.

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