フロントステムベアリングがた取り

前回もまた何かを感じさせる終わり方をしてしまいましたが,これはわざとやっているわけではありません.いずれも作業の至らなさによって引き起こされている,ある種事故のようなものなわけで,これをいろいろ引き伸ばしに使っているわけではないのでご了承下さい.

そんないいわけからはじめるのですが,実のところ前回タイヤをやりました.その出来上がりを確認しようと車体を前に押しつつタイヤの転がり抵抗を確認していたのですが,このときにブレーキをかけると,なにやらゴツッと手に感触が伝わるのです.これがちょっとしたものであったり,気のせいであると断定できればその状態のまま車検,試運転と進んでもいいのですが,その手感からするとどう考えても乗車時に少なからず違和感を感じるものであって,悪くすればステムまわりに悪影響を及ぼす可能性もあるレベルであることは明らか.

これは何だろうということでひとまず調査します.まず一番に疑われるのはステムベアリングの緩み.ひとまずトップブリッジを外さずに増し締めをしてみようということになります.ちなみにステムベアリングの締め込みはトップブリッジが付いていても大丈夫ですが,緩めるほうはトップブリッジを外さなければいけません.で,前回に引き続きフロントを挙げて2丁ついているステムナットを締めこみます.といってもほんの少し締まっただけで,これ以上締めるとベアリングにダメージが出そうなくらい締めました.で,フロントを下ろし,同じく車体をブレーキを握りつつ前後に振ってみます.う〜む,全然効果なし.

これは謎が深まるばかりで次に何をしてよいか皆目見当が付かなくなってしまいました.ひとまずステム周りのパーツリストを凝視しつつ何がおかしいかを推測します.すると1点だけ自分の作業の怪しいところを見つけてしまいました.ステムナットそのものが2枚同じものが入っていて,そのせいでベアリングを押し切れていないのでは?と考えたのです.ステムナットは上下で型番が違って,その厚みが違います.厚みは違うのですが厚いほうは10mmでその差分の4mm部分がステム内に入り込み,ベアリングを押し付けるようになっています.これがないといくら締めこんでもガタが発生することになります.まあ本来ならあるはずの無いミスですが,こんな私のことですからこれぐらいのミスは犯してしまうだろうということで,自分を疑ってかかることにしました.

ということでこの2種のナットのうち,突起のあるほうが手元にあるかどうかということですが,車体と一緒に400F関連の部品を雑多に突っ込んだ箱を探したところ,なんとありました.こうなると奇跡かもしれません.というわけで次の週末に向けて作業の計画を練る私なのでした.

さて,お待ちかねの週末の朝からハンドルやトップブリッジを外して作業...ということになりましたが,トップブリッジを外そうとしたときに異変が.トップブリッジのセンターを止めているナットを緩めようとしたところ,スコッという感触が.そうなんです.センターナットが締まっていなかったようなのです.あれれれ?以前フロント周りを組んだのはフロントフォークをレストアして入れ替えたかなり以前の作業です.どうもそのときにナットを手で廻して入れた後に締め込んでいなかったようなのです.

そうなると怪しいのはこのナットの緩みということになり,取り急ぎナットを締めこんで車体を下ろし,以前のようなガタが感じられるかをチェック.すると綺麗にガタの感触は消え,なんとも普通の状態に戻ってしまったではありませんか.このままでは気持ち悪いので今度はナットを再び緩めて車体を前後に振ってブレーキを掛けると,見事にガタが復活しました.それにトップブリッジ上のナットを見ていると明らかに前後に動いていて,こりゃ間違いなくステムベアリングは関係なくステムシャフトとトップブリッジの間のギャップがナットの緩みで動くことによってガタが生じていることは明白です.ということで車体を再度持ち上げ,少し締めすぎた感のあるステムベアリングを緩めて再調整,ナットをしっかり締めて車体を下ろし,車体を前後に振ってガタが無いことを確認.トップブリッジカバーを戻し本日の作業は終了〜.

それにしてもトップブリッジのセンターナットの締め忘れが原因だなんてかなりおバカな結末です.せっかく探し当てたナットたちがとてもさびしそうに見えます.あまりにも情けない結末に私もちょっと寂しげ...とほほほ.

KEN-Z's WEBのトップへ NEXT