ヘッドガスケット交換

火入れではいろいろと不具合が見つかったのですが,その中でももっとも早く何とかしなければいけないのがヘッドカバーからのオイル漏れ.これを何とかしなければ,エンジンを回すこともそうそう出来ませんし,大体あれほどの漏れ量があるということは一度ヘッドを開けている証拠.何かトラブルがあってあけたのであれば早いうちにその芽を摘み取ってやらないと,せめて今エンジンに火が入れられる状況なので,そこから後退するようなことになりかねない.早々にヘッドカバーを開けて様子を見てみなければいけません.でもせっかく開けるんだから幸いにもトラブルがそこだけであればガスケット交換のみやってお茶を濁さなければいけないので純正ガスケットを渋々単体で注文.

これがまた大きさも結構あるもんで宅急便サイズで発送されてきたもんですから結構な送料がかかってしまったわけです.結構部品を単体で注文すること自体普段からあまりない中で,今回は急ぎだったからとはいえ,あまりにも間接費が高いことに平行しつつ少し自己嫌悪.もう少し待っても良かったかな〜?なんて.

で,ものが到着したら次の週末には作業です.あいにく土曜日はかなり強い雨が降っており作業は断念.次の日曜日は快晴というわけではありませんが,雨が降ってきたり,風が強かったりということは無かったのでお昼ごろからの作業と相成りました.こんなこともあるだろうとあまりガソリンを入れなかったタンクを外し,作業上邪魔になるイグニッションコイルなどを外したら,いよいよヘッドカバーを外します.

ここで以前から気がついていたことなんですが,オイル漏れしていた部位の3箇所のボルトがなぜか他の部位とは違うキャップスクリューでした.長さをあわせるために,わざわざスリーブを噛ましてあったりして,明らかにこの部分のオイル漏れを何とかしようと試行錯誤したあとであったわけです.まあ,それでも解決しているなら火入れを敢行しても良いかな?なんて思ったのもつかの間.全然解決してないっちゅーねん!

まあ,そんな愚痴も心の中でこぼしつつネジを一つ一つ緩めていきます.ニンジャだったらこのネジはたったの10本なので全然応えないんですが,空冷の4発ともなるとその形状からどうしてもネジの本数は多くなり,緩めるだけでも大変.外すとなるとレンチは使ってられないのでもう指が攣りそうになってきます.

さて,ネジが全部外れたらハーネスを少しどかせながらヘッドカバーを外します.このときもう既にガスケットは分離していて,ヘッドカバー側に付く部分,ヘッド側に付く部分がくっきりと分かれています.もちろん漏れが発生していた部位はここがどんぴしゃの位置で真っ二つになっています.これはどうも今回はがれるときに破れてしまったのではなく,もともと破れていたのを無理やりヘッドを被せていたというのが本当のところのようです.

よくよく見てみると案の定ヘッド,ヘッドカバー両方の当たり面に大きな傷は見られず,ヘッドカバーに反りなんかも無いので,これをちゃんと面を綺麗にしてガスケット交換すれば漏れはなくなるはずです.カムにかじりなんかも無く,内部の状態も綺麗なものでしたので,ヘッド内部を見る限り比較的当たりなエンジンなのではないかと思います.

さて,ヘッドガスケット剥がしです.ここは当たり面を傷つけないようにいかに剥がしていくかがキーポイントになりますが,それにしても綺麗に剥がれてしまっているところと頑固に張り付いているところの差がありすぎ.恐らく前締め付けられたときにかなりアンバランスな締め付けトルクで組まれたようです.カワサキのヘッドガスケットのオイル漏れは有名ではありますが,こういったところをちゃんとやらないと漏れてくるという典型例のようなもんですな.

頑固なこびりつきをかなり時間を掛けてシコシコ剥がしていったので,時間は1時間たっぷりかかってしまいましたが,その結果ヘッドカバーは写真のように美しい仕上がりになりました.カムプラグは今回交換しませんがこの周辺にくっついたパッキンも丁寧に剥がして表面をきれいにします.新たに液体パッキンを少量塗ってカムプラグを定位置に嵌め込んだら,ガスケットをパーティング面に載せ,ヘッドカバーを載せます.ガスケットのずれが発生していないのを確認してネジを入れ込んでいきます.ここらへんのネジはヘッド本体のねじ山を壊してしまわないようにネジの溝をしっかりと掃除して,手で軽くねじ込んでいきます.ここらへんをいきなりレンチで締め込んでヘッド側のネジを破損してしまうことが多いので,特にねじ径の小さい今回のようなケースは気をつけたいポイントです.

3箇所のネジについては手持ちのネジで間に合いましたので,それらを入れ,ネジを均等に締めて行き,規定トルクに達したらヘッドは終了.あとは再びイグニッションコイルなどの部品を復旧し,タンクを載せエンジンを掛けてみます.まだ多少かかりは悪いみたいで,何度かセルを廻しましたがなんとかエンジンに火が入りました.多少チョークを長めに引いておき,ヘッドガスケットからオイル漏れが無いかを確認します.多少近所迷惑ではありましたがチョークを戻して10分程度エンジンを廻してみてオイルにじみも無いことを確認.他のトラブルも見られず,なんとかヘッド周りのオイル漏れは解決したようです.でもまだまだ一杯やることがあるのよね〜.

KEN-Z's WEBのトップへ NEXT