エンジン復活に向けての作業(その2)

腰下でやらなければいけない点というのがポイントカバー.これが開けられないのです.今までクランクを手で回すのはダイナモカバー側を外してやっていたのですが,この後ヘッドを載せてカムシャフトを載せるのであれば上死点の位置が分からないといけませんので,ポイントカバーをとにかく開けないことには先へと進めないのです.

そしてなぜ開けられないのかというのは,実はネジが六角ねじで,手持ちのボックスレンチがネジの頭に嵌められないという単純な理由です.そうなるとどうやって前開けた人は締めこんだのかということですが,おそらく肉の薄いボックスレンチが手持ちにあったんだろうなということしか類推できません.私の事情はというと,これだけのことのためにそんな特殊工具を入手するなんてできません.したがってしょうがないのでねじの頭を落とすことにしました.

ということでねじの頭のセンターにポンチを当ててガイドにしたところに電ドリでひたすらねじの頭を削っていきます.このねじ,そんなの必要ないのに高張力ネジだったようで,かなりドリルの刃が乗りにくくって苦労しましたが,なんとか2本とも頭をぶった切ることに成功.そして開けてみたらびっくり.パルシングローター,マグネットスイッチを止めているプレートのねじも盛大に錆びている.

おまけにこの固定ネジも固着して全然動かないので,都合5つのねじ頭をブッたぎってようやく分解終了.あとはプライヤーで残ったネジ部を回すわけですが,カバーを止めていた2本はすごく硬くてねじを折ってしまわないかすごく気を遣いながら作業しました.もしかしたら高張力ネジの上にロック剤が塗布されていたのかも知れませんね.

とりあえず分解はできたということで,中身はまずはきれいにしてマグネットスイッチがちゃんと動作しているかテスターで確認してみます.幸いにも電気的にはちゃんと動作するようで,ねじ頭やケーブルクランプが錆びていただけのようでした.したがってこの部分はネジをすべてステンレスのキャップスクリューに変えて組立しなおし作業終了.今のところは一旦締めておきましたが,後で腰上を組むときにもう一度開けるんでネジは軽く締めて記念撮影のみ.

さて,次はヘッドを載せましょう.ここもガスケットが純正より安めの社外品.ナットを順番通り均等に締めこんだら,クランクを回して,カムの位置を合わせます.で,一応ここでタペット調整をしようということで各タペットクリアランスを確認します.すると結果は規格内が6か所,2か所が0.025オーバー.0.025オーバーは今後多少バルブシートが摩耗してもOKな方向なので,今回は無調整で行くことにしました.それにしてもこのエンジン,シリンダーに水が入ってしまっていた以外はホントに程度が良い感じです.カムにかじりも一切ありませんし,タペットカバーも全然といっていいほど傷がありません.それに加えてタペットクリアランスがほぼ規格内か少し厚いだけなわけで,ほぼ新車に近い走行距離なのでは?と思ってしまいます.

カムチェーンアジャスターを取り付けて,最終確認ということでクランクを回してみます.異音もなくクランクの動きはスムースで,エンジンの品質としても期待が持てます.最後にヘッドカバーのガスケットはなぜか純正です.だけど結構安く入手できたものなので自分としてはかなりご満悦.カムプラグのところに液体ガスケットを塗ってネジをまた順番通り締め込んでエンジンの組立作業は終了.

外観は写真のような感じで,シリンダーブロックのみ銀色っていうのは結構良いかも知れません.でもまああんまり自作感を醸し出すのもどうかと思いますのでこれは後日油分を除去して下地をある程度荒らしたりした後で黒く塗りなおすことにします.あとはキャブ,エアクリーナーボックス,タンクなど上周りとマフラーを取り付けて作業全体が一通り終わりました.実際タペット調整がなかったにもかかわらず組立だけでほぼ1日を費やし,もう夕方になってしまいました.期せずして火入れまで行ってから大きく後退しましたが,思ったより手間ではなかった印象です.さてこのまますんなりいってくれますかどうか.

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