リアブレーキをなんとかする

さて,前回はリアブレーキマスターをなんとか使えるようにして、引き続きマスターをステッププレートに取り付け、大体のペダルストロークを調整してステッププレートを車体に取り付けました.お次はリアブレーキキャリパーをレストアします.比較的良質な外観であり,ホルダープレートは錆が浮いていましたが,スライドシャフトは凹凸も少なく,磨いてグリスを塗布すればまあ使えるレベル.ピストンについても露出部分の側面は錆が出ていますが,固着している感じではありません.ピストンの位置もまだ後ろの方であり,ポッドピストンの側面もまだ使えるものと推測します.まあ清掃したり磨いたり錆を落としたり,あとはグリスを塗布して車体に組みつけます.

次にブレーキフルードを入れて,エア抜きを...と,いうことでブリードバルブを緩めようとしたところで,はたと注意が必要ということを思い出しました.前回ここは見事にぽっきり折ってしまったのでした.したがってまずは工具をラチェットレンチではなく,メガネレンチに交換.前回GPz400のときはは無作為にラチェットレンチで力を入れて回したのでブリードバルブの頭に過度なねじりモーメントがかかってネジ切ってしまったので,今回はしっかりとねじを緩める軸を確保した状態で緩められるように考慮したのです.しかしメガネレンチの首根っこにも指を添えてしっかりと中心軸を固定できるようにして回したにも拘わらずブリードバルブはびた一文回ってこようとはしません.10mmサイズなので比較的短いメガネレンチですので,まあ力を入れるのがなかなかむつかしいのですが,それでも全然回ってこないのでレンチを持ち直してあと少し力を加えたところ,嫌な感触が.ぬるっとレンチが動いたのです.ここで一旦力を入れるのをやめ,再度ゆっくりと力を入れたところ,時すでに遅し.ポロンとブリードバルブの上半分が落っこちてきました.ああ〜,またやったわ〜.

それにしてもここも毎回毎回いとも簡単に折れてしまうというか,折れてしまう原因が潜在しているのか,ちょっと不思議なくらい.ということでまたここでもなぞ解きをしてしまいましょう.通常ニンジャなどでは私もこのねじはねじ切ったことはありませんが、なぜだかこのGPz400F,GPz400ともに立て続けにブリードバルブのねじ切りを経験してしまいました.そこでニンジャとかと違うところはどこかいなということで,まず注目するのはそのブリードバルブがついている角度です.これが極めて鉛直に近いのです.またそのブリードバルブの周りにはご丁寧にも多少深さのある座ぐりが施されています.これはキャリパーボディはアルミダイキャストで出来上がっているため,その精度ではブリードバルブの取り付け座としての性能が満たせないということで,アルミダイキャストの2次加工でつけられたものです.で,この角度であるがゆえに雨天時に見てみるとこの座ぐりにかなりな水が溜まっているのを何度か見たことがあります.しかしニンジャなどでは少し角度がついている分この部分は水がたまりません.ここに水がたまるとブリードバルブの鉄とアルミの間で電蝕が起きます.その電蝕のために長期間の放置車両などではねじの隙間がかっちりと埋まってしまい,二度と緩められなくなるといった寸法です.まあ自分で再現実験をやったりしていませんし,こんなのが今になって立証されたところで世の中的に何の役にも立ちませんので,あくまでも推論レベルということで止めておきます.

さて,古い設計に関しての文句はそれなりにしておいて,ここでなんとかしなければいけませんが,幸いにもニンジャ前期のキャリパーはある程度綺麗にしたスペアが在庫してあります.ここには左のフロントかリアのものであれば流用が効くはずなので,今回はそれを使用します.せっかく清掃,整備したGPz400Fキャリパーですが採用はあきらめ,在庫のキャリパーを組み直します.といってもブレーキフルードまで入れてしまってからこんなことになってしまったので一旦入れたフルードを抜いたりと結構なタイムロス.結局ニンジャ前期の左前に多めのクラッシュワッシャを入れて装着し,エア抜きを行い,すぐにエア抜き終了,あとはペダルの高さをマスターシリンダーのピストンロッドを回して調整して,今回もノーマルブレーキホースをそのまま使用したのですが,それなりのタッチになりました.

ということでリア周りが一気に完成形に近づきました.でもこの車体,まだやることがいっぱいあったりするんですよね.まあやることが多いということはウキウキ感もあれば、今までこんなにやってきたのにという徒労感もあり,感覚的にはちょうど中間地点という感じでしょうか?

KEN-Z's WEBのトップへ NEXT