前ブレーキ清掃,揉み出し

この車体の長期放置ぶりはなかなかなものであったようで,前後ブレーキの固着がすごかったため,早々にフロントについてはキャリパーを外してぶらんぶらんさせていました.しかしフロントブレーキがないと作業の前後の斜体の引き回しがすごく疲れますので,すごく車体が重く感じます.ただでさえSUZUKIのこの時期の車体とは思えない乾燥重量182kgの車体ですので,タイヤも含めてできるだけ早く引き回しを楽にしてしまいたいわけです.

で,少し悩んでいたのは固着したフロントキャリパーをあきらめて新しいのを買うか,このキャリパーをなんとかするのかです.正直すべて分解してシール類を交換すれば問題なくなるんでしょうけど,全てのシールを交換するとなると相当な部品代と工数がかかります.一方あらたに購入した場合はそれなりに安価ではあるのですが,ちゃんとあたりを引けるかはわかりません.それに要らないキャリパーが結果的に1ペア手元に残ることになります.ですのでここは可能性があるのであればまず現在のキャリパーで部品交換なしにどの程度まで回復するかを見極めてみようということになりました.

さて,まずキャリパーの状態を見てみましょう.パッドを取るとこんな感じでポッドからピストンが1/3ぐらい顔をのぞかせていて,その側面は錆が浮いています.これが単に付着物がさびているだけなのか,はたまたピストンの素材を凹ますまで錆びているのかによって再利用の是非が変わってきます.また固着については揉み出しを何度か行ってみて,それでダメなら交換ということになります.

まずピストンを可能な限り出します.といってもシールがぎりぎり引っかかってるいてくれないとフルードが漏れてきますので,またフルードの重点,エア抜きなどが必要になってきます.なので使用済の薄くなったパッドを挟んでそれ以上出てこないようにしながら4つのポッドができるだけ前に出ている状態を作り出します.幸いにもこのGSX400S用のフロントキャリパーはトキコ製で,ニンジャのA7-A10やZXR750とかとパッドは共通のものが使えます.このパッドであれば貧乏性の私は手持ちにすっかり薄くなってしまったものを揉み出しだけのために在庫していたりしますので,今回これが使用できるのです.ぜんぜん大したことではありませんし,貧乏性にもほどがあるとも思いますが,私としては至福の喜びを感じられる瞬間です.

さて,ピストンが前に出たら,この側面をブラシで磨きます.以前は真鍮ブラシとかを使い手でシコシコ磨いていたのですが,今回は新兵器ということでアマゾンで10ケまとめて格安で売っていたステンレスの小型カップブラシを電動ドリルに取り付けて磨きます.実は以前からピストンの側面を傷つけないように気を使って真鍮ブラシを使用していたのですが,すぐにダメになってしまうのでステンレスブラシを試してみたのです.その結果,ピストンの側面に傷も残らず真鍮よりも効率よく磨けたので思い切ってステンレスにしてみたわけです.

また,以前はこのタイプのキャリパーであっても裏蓋を外さずに1方向のみから磨き作業しており,そのためにピストンを前に出して回転させて全周を磨いていたのですが,裏蓋を外してしまうとほとんどピストンを回転させなくても磨ききれることがわかりました.ですので,よっぽど入り込んだところに錆が残っていない限りはピストンを回転させる必要はありません.結局キャリパー左右2つに対してステンレスブラシ6ケを消費して,なんとかピストンの側面はきれいになりました.

ホントは出来上がり写真を撮影しておくべきだったのですが,気づいたのが車体にセットしてしまった後でしたので,その点はご容赦ください.まあ代わりと言っては何ですが出来上がりを文章で表現するならば,ピストンの側面はほぼ綺麗になっていて,先端から2mmぐらいの範囲は少し錆が残っている感じ.でもそこらへんはキャリパーのシールには触れない部分ですので多少残っていても問題ないと判断できるレベルでありました.

さて,ピストンが綺麗になったらお次は揉み出しです.先ほど登場した使い古しのパッドを挟んでドライバーなどを上下から2本隙間に突っ込んで交差させるようにして2枚のパッド間を広げていき,徐々にピストンを戻していきます.4ポッドありますので前後,左右でできるだけ均等に戻すようにするとこの作業自体は結構簡単にできたりします.そして完全にピストンがキャリパー内に隠れたところでブレーキレバーをにぎにぎしてピストンを出します.それを左右それぞれ8セットぐらいやったでしょうか?するとかなり簡単にピストンが戻るようになりました.この状態で左右のキャリパーを付けてブレーキレバーをにぎにぎして車体を押し引きしてみます.まだディスクの表面に錆が乗っていますのでところどころ重くなることはありますが,それなりに軽くなって引き回しに問題がないレベルになりました.これでフロントブレーキは固着解消したということでいいかな〜?でも何日かしたら重くなっているってのはよくある話なので,数日たったらまた固着側に戻っていないか確認する必要があるかもですね.

ということでひとまずフロントキャリパーについてはこの状態で様子見でいくことにしました.それにしてもよく考えると今までキャリパーの分解って私やったことありませんね.せいぜい分解しないまんまで錆びたねじを交換するぐらいです.ブレーキってのは安全上重要な部品なのであんまり無理して使いまわさないほうがいいんでしょうけど,ついついこんな感じでできる限り流用してしまうのは悪い癖ですね.ちょっと反省.

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