この車体についていたフロントフォークについては全体的な長期放置を原因とする劣化ぶりからすればかなりましな方と言えました.まあ平成に入ってからの車体であるということもありますが,今まで初期型ニンジャやGPZ400Fなどのもうインナーの一面が全て茶色になっているようなものからすれば,私にとっては少し頑張れば使えるかな?というレベルにさえ感じたのでした.しかしそんなマヒした感覚ではいけないということで,車体についている状態でフォークを観察したところ,摺動部にも深さのある錆があり,これを起因とするオイル漏れやシール破損が十分にありうるということがわかりました.従いまして今回はこのフォークはあきらめ,新たに使えそうなものを調達することにしました.
入手したのはインナー摺動部には錆なしとうたってあったヤフオクの品ですが,入手金額は少し急いで入手したため,それなりに高額であったりします.到着したものを確認したところ摺動部に確かに錆はなく,目的が果たせそうな予感.ということでまずは今回は車体には関係なく作業が進められるということで,分解するところからやっていきましょう.
車体に取り付いていない状態で,いきなり困るのはフォークトップの分解です.なんせ丸いものを固定してフォークトップのねじを回さなければいけないわけですから何かしら固定するものが必要です.今回は庭に偶然捨ててあったZZ-R400のトップブリッジがありましたので,それを使いました.同じく41mmのインナー径ですので,確実にホールドしてくれます.こんなことがあるので要らなくなったパーツでも一旦庭に置いておいて,なかなかゴミに出す覚悟が持てないという悪循環を生んでいるわけなんですが.
さて,フォークトップを開け,ボトムケースのボルトを緩めます.このときも一応トップブリッジは付けたまんまインナーが空回りしないようにしてエアインパクトレンチでねじを回した方がスムーズに外れます.ボトムのねじが緩んだらスプリング,オイルなどを抜いて行きます.
で,ダストシールとサークリップを外してさあインナーを抜くかな?あれ?抜けない.何度やっても,どんなに力を入れても全然抜けません.久しぶりの繰り返し力業で,冬場にもかかわらず大汗をかいてしまいましたが,今までここまで抜けなかったものは未経験.これほど力を入れればメタルが乗り越えて抜けてこないかなとか期待して普段あんまりやらない力業まで出したのに全然ダメなのです.調べてみるとマイナスドライバーを突っ込んでオイルシールを破壊して抜くやり方もあるみたいですが,せっかく入手した綺麗なインナーパイプを傷つけては元も子もないので一考することにしました.
といいつつも実はこの一考には結構な時間を要していまして,作業を再開したのはこの一週間後だったりします.まず考えたのはフォークをとにかく軸に平行に引っ張れればよいということ.で,インナー2本を固定,アウターも左右連結させて,その状態でなんとかジャッキアップの要領で引っ張れないものか考えたわけです.で,少しはいけそうな案を思いついたので次の週末の朝早速作業に取り掛かります.
まず先ほど登場したトップブリッジを使ってインナー2本を固定します.固定位置はフォークをできるだけ伸ばしたところでボトムケースのごく近傍で保持することとします.そしてボトムケースのアクスル穴にこれまた何かの車種でいらなくなったエンジンマウントボルトを通します.トップブリッジとこのエンジンマウントボルトの間にパンタジャッキと算木をかましてジャッキを挙げていきます.結構な力が欠けられることを確認してゆっくりと上げていったのですが,結果としてエンジンマウントボルトが曲がってきたので中断.これではフォークアウターのアクスル穴を壊してしまいそうなのであえなく断念となりました.
でもここでへこたれる私ではありません.次の一手を考えつつ,今回は長くなってしまったので続きは次回といたしましょう.