フロントフォーク交換,シール入れ替えなど(その2)

前回妙案だと思ってやってみたトップブリッジとパンタジャッキを使う方法.で,問題になったのはアクスル穴に通したエンジンマウントボルトの径が細すぎてすぐ曲がってしまったことです.であれば,それなりに強度のあるものをここに通せばジャッキの力をほぼ出し切ることができるのではないかと考えました.ここで最も力を発揮するのはこのアクスル穴にピタッと合うアクスルがもっとも大きな径になるわけで強度も最大になるということです.最も簡単なのはGSX400S用のアクスルということで,すでに持っている車体についているアクスルを使うということになりますが,もちろんアクスルシャフトはこのような使い方を想定したものではないので,最悪アクスルシャフトが曲がってしまうこともあり得ます.ですのでここは安全を見てGSX400Sに合うアクスルシャフトを別途購入することにしました.

で,ここで考えたのはGSX400Sのアクスルシャフトがその時期安価なものが出品されておらず,それを購入するのに気が引けてしまって,今回はアクスルシャフトの多種流用できないものか考えたのでありました.したがって同時期のスズキの400ccマルチの車体のパーツリストと,GSX400Sのパーツリストを購入して照合し,なんとかならないか画策し始めました.しかし他車種のものは安価に入手できるのになぜかGSX400Sのパーツリストは特段高額なのです.理由は考えてみると簡単でした.要はGSX750SやGSX1100Sに流用することを画策する人が多いので,出品されてもすぐに売れてしまうため弾数が少なく,高額になっているわけです.

しかし,ためらっていては前に進めないですし,とにかくGSX400Sに関してはサービス情報やパーツリストがネットに挙がっておらず,そのせいで今までパーツ番号やサービスデータを調べるのに苦労した経緯もあって,結局サービスマニュアルとパーツリストが一緒に出品されているのを超高額ではありましたがまとめて落札することにしました.で,パーツ番号を調べてみたわけなのですが残念なことにスズキの場合,共通部品であっても別番号が割り振られているようで,どの車種のアクスルが流用できるかは結局のところ分からず仕舞.

そうこうしている間にアクスルのリーズナブルな値段での出品があり,それを落札しました.ものは抜くときに付けたと思われる傷がついていたりしますが,それなりに綺麗で曲がりもないもの.まあサービスマニュアルとパーツリストはどっちにせよ入手することになっていたでしょうから,損した感じまではしませんが,どうも釈然としない感じでじゃあります.

さて,前回の方法で理論上フルに荷重をかけられれば2tonfまで荷重がかけられるはずなので,それを実現すべくGSX400S用アクスルを入手したわけですが,それに加えてジャッキの力がちゃんとフォークボトムに伝わる工夫をしなければいけません.まず1つ目,アクスルにステンレスの分厚い板を当ててアクスル自体が曲がりにくいよう工夫をしました.また前回使ったのはZZ-R400のトップブリッジだったのですがトップブリッジより三つ又のほうが強度的に強いので,今回また庭に捨ててあった三つ又を使用することにしました.多分ものはニンジャ400Rとかのもので,最近のものであることもあってかなり堅牢なつくりになっています.

で,実際やってみたらこれが怖いのなんの.いつ外れてぶっ飛んでくるかわからないわけで,ドキドキします.なので荷重がかかったところで少しハンドルを回して様子を見て放置,また大丈夫そうだったら少し回して様子を見るというのを何度か繰り返し,それを10分ぐらいやったところで結構やんわりと片側のインナーは抜けてきました.しかしオイルシールはアウターの中に残ったまんま.う〜ん,3歩進んで2歩戻ったような感覚.

さて,片側が抜けてきたら,バランスが崩れているわけなので,もう片っぽを抜くのをどうしようか悩みます.もし抜けてしまった片っぽを入れたまんまだったらそちらに曲げ応力がかかってしまい,あまりよろしくない.ホント一難去ってまた一難という感じですが,ここでまた長考に入ります.

で,一旦うちの中に入って昼ご飯を食べて冷静になって考えてみたのですが,バランスが崩れていてもインナーやアウターを曲げてしまうほどの力がかからなければいいか?なんて思うようになりました.まあ結局曲げモーメントがかかったとしてもオイルシールやメタルブッシュで受けるわけで,それが摺動してくれている限りは今後も使う部品が無事でいてくれるであろうという希望的観測です.ということで,再び作業を開始.少し曲がりのある他社用の41mmインナーを同じようにアウターとペアにしてセットしてジャッキポイントをまだ抜けていないフォークのごく近傍にしました.これならジャッキの力点に対しそれぞれのフォークの距離が近いところと遠いところの距離の比でモーメントが変わってきます.

で,この状態で徐々にジャッキを伸ばしていったところ,意外にもすんなりともう一方も抜けてくれました.ところがやっぱりオイルシールは残ったまんまです.ここで残ったオイルシールの除去の仕方についてネットを少し散策して探してみたところ,スパナを使って抜くというのが出てきましたスパナの爪先をオイルシールの奥側に引っ掛けててこの原理で抜くというものですが,このネタはいろいろなところで紹介されているようなので私の方では写真とかを使っての解説は割愛します.

でも一応自分の覚えのために書いておくと,17mmのスパナの柄の部分を要らない41mmのフォークインナーに通し,スパナの出っ張っているほうの爪先をオイルシールにあてがって,フォークインナーとアウターのあたり面には保護のためウェスをかましててこの原理で力を入れて全周少しずつ抜いていきます.ここらへんいっぺんにやろうとして力をかけすぎるとアウターをダメにしてしまいますので慎重に全周をくまなくやっていきます.はじめは全然動きもしませんでしたが,何周かしているうちに徐々に抜けてきはじめ,約20分ぐらいの作業でオイルシールが除去できました.もう1方については慣れてきたので両方で約30分.それにしても神経をすり減らす作業です.

ここまできてもまだアウターの中にスライドブッシュが残っています.フロントフォークの作業を開始して1週間以上,まだ分解の途上ということでかなり長丁場になって,一種絶望感のようなものも感じざるを得ませんが,まだへこたれません.ということで次回に続くのでありました.

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