涼宮ハルヒのアニメを見るのに必要なプロセス

まずうちの高校がハルヒの聖地になっているというのを知ったのはとあるweb新聞の話題によるものである.確か2010年に既になっていたと思うので,時期としては消失の映画が終わってブームが加速してからのことだろう.記事の内容は一部の心無いマニアの皆さんの常軌を逸したモラルで高校側が困っているというものであった.しかし西宮市は聖地巡礼について街興しの一環として多少ウェルカムな状況でもあったようであり,私としては斯様なマニアの方々のモラル向上を切に祈るのみで,特にけしからんともなんとも思わなかったのである.

で,一応どんな話題でも一度webを通じてその真偽を確かめるというのが私の習性でもあり,それから1週間もした頃であろうか,”ハルヒ 聖地 高校”で検索してみた.すると出るわ出るわ.聖地めぐりをブログ形式で公開している人だけカウントしても当事すでに1000人以上いたのではないだろうか.まあそれに含まれる情報の真偽は定かで無いものの,まあ皆さんなんとも自由に楽しんでいらっしゃること...というのが正直な感想であった.

で,その派生情報から原作者の谷川流さんがうちの高校OBで4ケ下ということがわかったり(ちなみにオリックスや元メジャーリーガーの田口さんは3ケ下),アニメ製作の京都アニメーションは結構そういった取材をちゃんとしてから忠実にシーナリーを表現していることとかがわかってきた.そうなると原作を読んでもアニメを見ない限りは懐かしいシーナリーそのものには対面できない.確かに私ときたらこのメディアミックス戦略に乗った商業モデルにはトンと縁がなかったわけで,ラノベも読んだことが無いし,アニメも宮崎アニメ以外は見ないような生活を小学校高学年以来ここ35年以上続けてきた.そんな私が涼宮ハルヒのアニメを見るという非常に高いハードルを越えなければならないということがわかったのである.

実際ここ最近書籍についてはラノベどころか普通の小説とかでさえもほとんど読まず,購入する書籍といえばバイク雑誌か技術書ぐらい.そもそも省資源の中でペーパーレスがしきりに叫ばれる昨今,印刷物自体が紙をムダに消費しているだけみたいな印象を持っていることもあり,ただで読める電子書籍のあるものはそれで済ませるか,単に情報を得たいだけであればネットで調べてある程度確証を得られればそれだけで満足するといった生活であったので,わざわざ紙でできた書籍,しかもラノベを購入して読むようなことをするはずもない.

アニメに関しても中学生の頃にガンダムが流行って以来苦手.(この2段落ガンダム好きな人は読まないでくださいね)ガンダムはそれなりに中身で表現されているヒューマニズムの完成度が高いからもてはやされたようであるが,どうも私はアニメに登場するロボットそのものが苦手なのである.機械エンジニアである私,またはそれを若いうちから志した私からすると地上戦でも宇宙空間でも登場するロボットが自然法則を完全無視した動きをしてしまう時点で興ざめしてしまうのである.だってガンダムクラスの地上高と重量があったら,それを単に地面の上をあの速度で走らせようとしただけで驚異的高出力の動力源と伝達機構と高速大容量の制御装置が必要だろうし,油圧でいろんな関節を動かすにもあんな華奢なものではどんなに未来世界でテクノロジが発展したとしても成立し得ないのである.それこそ腕の関節一つ一つに原子炉を積んだって無理.ガンダムが1歩1歩走るたびに小型の原子爆弾が関節の中で爆発しているような機構でないと無理.そうなると走るだけでそこらへんに核汚染物質を撒き散らしながら動いていたりするのか?それを今度何とかするために超高性能核物質用サイクロンフィルタでも排気口に実装するのか?そんなんで放射能がなんとか出来りゃノーベル賞もんだわね〜.あ〜考えても考えても無理.疲れる〜!って具合に中学生でありながら悩んでいたのである.

宇宙空間だって画面に天地があるのがおかしくておかしくて困った.重力が一様でなければそもそもものの存在に上下があるはずもない.そう考えると宇宙空間で複数のロボットが天地の方向を同じにして戦ったりするのがどう考えてもおかしい.100歩譲って隊列を組んで前進したりするときはいいかも知れないが,いざ戦闘シーンになっても天地をキープしたまま組んず解れずってどうなのよ?って感じてしまう.攻撃を仕掛けたほうと受けたほうの動きも運動量保存の法則を明らかに無視してお互いの方向に運動エネルギーをぶつけたんだから,双方がはじかれていくはずのところがまるで地に足が着いているように片方だけが吹っ飛ばされたり.もう戦闘シーンを見ているとものの30秒で悪酔いのような感覚に襲われ耐えられなくなったのである.もちろん今は一応分別のある大人であるからそこまでの拒否反応はないし,ロボットものアニメについても一定の理解はしているつもりだ.でも率直な意見としては未だにロボットもののアニメは出来れば避けたいのである.

それ以来,PC自作の趣味が最高潮でありアキバに頻繁に出没していた頃さえも,当時ようやくアキバに芽生えつつあったアニメの発信源たるアクティビティとその甘い蜜に群れるように集いつつあったアニメ好きの皆さんとは一線を設けていた.ロボット系アニメを端としたそんな偏見めいた感情もありアニメ全般に対してとんと疎かったわけであるが,ココへきてどうしてもその最たるものである涼宮ハルヒのアニメが見たくなってしまったわけである.

確かに日本の誇れる技術ということで世界各国でも散々話題に上がるようになって久しいジャパニーズアニメである.本来はもっと誇れる技術が日本にはあったはずであるが,エンジニアの端くれである私の目から見てもそれ以外の分野において誇るべき技術というのが団塊の世代の離職やゆとり教育のおかげで徐々になくなりつつあるのも事実.日本に残された数少ない強みを知らずして如何に国際人と呼ばれようか.この機を利用し誇るべき日本の技術に触れることも必要であろうと思うのだ.

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