西宮北高校の制服・体操服・ジャージ

=制服編=

涼宮ハルヒにおける北高の制服は男子のものはそれなりに今っぽいものになっているが,女子のそれはかなりラディカルなデザインで色合いもキッチュな雰囲気を醸し出しているといえる.当然のことながら私の在学中のものとは男女とも異なるデザインになっているが,もし当時女子の制服があのようなものであったならば,北高の校風もずいぶんと変わっていたであろうし,もしかしたら当時の女子たちももっと美しく可憐に装うことが出来たかもしれない.

我々の高校生の頃は女子の制服はスカート丈が長いほうがおしゃれであったような時代である.しかしあのように短いスカートであったなら校内における我々男子生徒の平均心拍数は少なくとも10は高くなっていたはずで,それを胸のときめきと勘違いして恋に落ちる機会が多少増えたとしてもそれを劣情のみのなせる業とは誰にも断言できないはずである.

当時の実際はどうであったかについては,ちょうど光陽園学院の制服がそれに近いといえるであろう.男子は極々一般的な学生服であったし,女子はブレザーに普通のネクタイといった井出達であったから,顕著な違いはまたもやスカート丈とネクタイが大きめの蝶ネクタイになっているところぐらいだろう.女子の制服は色とかも違うので,モデルにしたとは言いがたいのであえて近いと表現しておこう.

北高の制服がここまで男子,女子ともに異なったものになっているのは,あえて現代っぽさもしくはSFっぽさを出すために流石に制服ぐらいはばっさりと入れ替えて工夫してみたといった感じだろうか.ただ,女子の夏服はシャツが学校指定の水色のものであったので,セーラー服やスカートの水色というのはこのシャツの色から流用されているのではないかとかまた想像をめぐらせて一人楽しんでいたりするわけである.

一方光陽園男子の何の変哲もない学生服であるが,中学高校と6年間着用した私からすればあれはあれで便利だったりする.というのも私の場合中学も学生服であり,高校入学のときには全く制服といわれるものは新規購入しなくて良かったからである.実は中学指定のものはちょっと標準的なものと違って詰襟の前が丸くカットされていたりしたのを中学2年のとき身長が一気に伸びたということでサイズが大きいものを買おうということになり,安いからという理由で標準的な角襟のちょっとだけ変形学生服に変えてしまっていた.

ちなみにちょっとだけ変形というのは胴がちょっとだけ長い(いわゆるところの小ラン)という程度のものであって,生活指導の体育教官がそれを見かけても目くじらを立てて追いかけてくるか来ないかの線のぎりぎりセーフなレベルのものであった.ここらへんのギリギリを狙う楽しさというのも学生服の選択1つとっても楽しめてしまうので,私にとって学生服というのは便利でもあり,エキサイティングでもありという存在であったのだ.

思い起こせば当時西宮北口から南下した今津駅の近くに学生服専門店があり,そのバリエーションたるや上着,ズボンともに100種近くあったと思う.そこで購入すると多品種でありながらも流石大量生産しているだけあってすこぶる安く買えるのである.将に日本の高度成長期を支えたマスプロダクションの恩恵を最大限受けられるわけで,わざわざ高価な学校指定のものなんか買ってられないのである.

ちなみに当時は校内暴力やなんかで教育者全体がぴりぴりしていた時期でもあり,高校であるというのに校則もそれなりに厳しかったと思う.キョンくんのようにシャツを出していると必ず生活指導の教諭には注意されたし,学生服のボタンを2つ以上はずしていても同じであった.まあ注意されても気にしない輩は当時も当然いて,夏場はTシャツで過ごしてしまったりしていたが,ほとんどの者は面倒を避けるためえてして従順であったと思う.

また当時は公立高校でブレザーというのは極めて珍しかったように思う.特に思い出すのは当時先述の通り校内暴力のお盛んな時期でもあり,西宮市も例外なく繁華街ではそれなりにカツあげが横行していたりしていたので,カツあげ愛好者のみなさんにはブレザーを着ているだけで金持ちであるという定義がなされ,不条理な事情からロックオンされた私学高校の生徒が標的になるケースが多かった.そのような事実があることから,当時我々の意識の中ではブレザーは恰好がいいかもしれないがカツあげされるからイヤという偏見があったのである.もしかしたら谷川さんは我々と少し世代が違うのでブレザーに純粋に憧れを持っていて,それがすなわちキョンくんたちの制服に影響したのだとしたらそれはそれで興味深いのだろうと思うのだ.

なお上履きについてはキョンくんたちが履いているものそのものである.この上履きは底が薄く,特に冬場は床面の冷たさを直に体感できてしまう粗悪なものであったので,今もこの上履きを北高生が使い続けているとしたら,それはそれは不幸なことだと思うほどである.なお,この上履きは後述のジャージと同じで学年ごとに色が異なるように設定されていた.もちろんアニメの中でも朝比奈さんとキョンくんたちでは色が異なる設定となっており,忠実な描写となっていることをご報告しておきたい.


=体操服,ジャージ編=

体操服とジャージは北高は学年ごとに色分けされており,特徴的でもある.ちなみに私が入学した年は青(3年)→緑(2年)→エンジ(1年)となっていた.色はもちろん循環して持ち上がるようになっていたので,我々が2年に上がると1年生は青のジャージとなるわけだ.私が12回生であり,エンジを着ていたので,3の倍数はエンジ.3で割って1あまると青,2あまると緑という関係式が成り立つ.従って谷川さんの16回生は青ということになり,キョンくん,ハルヒの学年の青いジャージはここに由来したものであることが分かる.

もちろんそうなると朝比奈さんと鶴屋さんのジャージは私にとって懐かしいエンジ色のジャージということになり,野球のシーンなどではそれが見事に再現されていて懐かしさがこみ上げてくるのである.しかしこのエンジ色,当時すこぶる評判が悪かった.その多くがくすんだ色でおっさんくさいとか,なんで赤やないねんとかであった.確かに青や緑は純粋な色調であるのに我々の学年だけエンジ?ということなのだが,これは当時の服飾における着色事情によるものが大きいだろう.高校生のジャージというのは3年間はしっかり使えないといけないので,当然脱色耐性も優れていなければならないはずだ.

しかし当時ポリエステルの生地に着色する顔料は純粋な赤色が出るもので脱色耐性の高いものがなかったそうである.そのような事情から色あせしても目立たないエンジを赤の代わりに採用したという線が濃い.あくまでもこれは想像であるが確かに当時有名ブランドの真っ赤なジャージでさえも時がたつとすぐに朱色のような色になったりしていたし,1学年上の緑のジャージも卒業する頃には黄緑に極めて近くなってしまっている人が居たりした.そう考えると洗濯するたびに朱色になっていくジャージよりエンジのまんまである程度色調をキープしていてくれたほうがありがたかったと思うのだ.

なお先述の上履きもこの色パターンと同じであり,エンディングのハレハレユカイのダンスにおいて朝比奈さんだけが赤い上履きである.この上履きの色は実はかなり赤に近く,つま先と踵の生ゴムに赤い顔料を混ぜて成形したものと思うが所詮ゴムなので時間がたつと白っぽく変色していったりしていた.しかし元はかなり原色の赤に近いものであったので,やはり学校側はジャージに関しても青,緑,エンジではなく本来は青,緑,赤でいきたかったのではないかと思うのだ.

さて,体操服と言いながらジャージばっかり言及しているが,男女とも体操服のシャツの襟首や袖口,男子のトレパン,ブルマともに同じように青,緑,エンジの色分けルールが浸透している.アニメ中の体操服デザインもほぼ当時のものと同じである.実際現在ならば女子のブルマは禁則事項なのであろうが,まあラノベベースのメディアミックス作品なのだから短パン化は明らかに不自然であり,当時の再現に重点が置かれた本作品において当然のごとくブルマが採用されていることはおおめに見るべきであろう.私としては当時女子のブルマ姿にそう萌えたかというとそんな記憶もあんまりないので,そんな目くじら立てて日本国中の学校でいっせいに禁則事項扱いするのもかえっていやらしい感じがしてならないのだが.

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