甲山森林公園と周辺

今回は森林公園である.この森林公園は朝比奈ミクルの冒険のロケでアニメに登場するが,はっきり言ってここのシーナリーは私にとって最も懐かしさを感じさせる部類に属するものなのであった.その正式名称は甲山森林公園というのであるが公園施設はひいき目に見てなんとか甲山の裾野と認識出来るほどに名称に冠たる甲山からは離れた場所に点在している.したがって我々下界に住むものの指導者たる教諭や子供会の世話役の親などから見れば,甲山に登るほどの根性はないがほど良くピクニック気分を味わいたい時におけるここの都合の良さは格別なのだろう.

この森林公園の周辺は関西圏のベッドタウンのごく近所でありつつも豊かな自然を有しているがため様々なレジャー施設があり,まさに自然の中でお金をかけることなく子供達を遊ばせるには好都合なのである.実際西宮に小学校高学年で引っ越してからというもの,春から秋にかけてのスリーシーズンほぼぶっ通しで森林公園もしくは森林公園を通り抜けての甲山,あるいは仁川ピクニックセンターといった感じでひたすら山登りイベントに引き摺りまわされた.

たとえば春休みを皮切りにまずうちはオヤジ殿が部活の顧問を持たない高校教師であったのでお互い暇を持て余しているわりにお金もないのでほな森林公園でもいこかといってまず一回.同じく春休み中に何もイベントがないと存在価値が揺らぐということで,子供会でピクニックセンターへ.一学期にはクラスの親睦を深めるということで学校から1回.春はこれで結局合計3回.夏休みも同じ理由からうちの親父が暇なので炎天下に1回.秋にも春と同じように3回.結果として年に7回もこの森林公園を訪れたり,または通過してその近辺のレジャー施設に足を運んだりするわけだ.

しかし森林公園自体に特にこれといった施設はなく,例の噴水とモニュメント,ステージ,あとは広大な森林の中そこかしこに適当な広場があったり適当な遊具があったりというものであった.小学校の遠足では真の目的はただひたすら歩くことであったので,到着して特に何をするわけではなく,午前中はそんなの学校の校庭でも出来るだろうと思えるような簡単なゲームをしたらすぐに昼食を取り,腹ごなしに少しフリータイムを過ごしたら気づいた頃には集合がかかったと思ったところでお帰りの時間.子供の足なので登りに比べ下りは早く,かなりな早歩きになり必要以上の疲労感と共に学校に着いたところで解散といった具合である.このように実際丸一日のスケジュールで有りながら森林公園での滞在時間は二時間強であるから何度足を運んでも十分に隅々まで堪能することはないというトリックを利用してか何度も何度も大人たちは森林公園に子供達をいざない続けるのである.

しかし私の子供時代がそれほど聡明なものでなかったとはいえそう何度も同じ行き先のレジャーに付き合わされては子供の私も嫌気が差して来る.さすがに6年生ともなると学校行事は仕方ないとして任意参加の子供会や家族での強制登山は御免こうむりたいのは山々なのであった.しかし子供会の方は地区の班長をやらされていたので免除とはならず,家族の方はちょうど妹が3年生で家族全体がハイキング付いていたこともあり,6年生の1年間で10回近くこの森林公園を訪れる羽目になったのである.ちなみにこの森林公園の標高と北高の標高はほぼ等しく,この6年生の頃の経験が3年間北高に通うだけの体力を私に与え賜おたのではないかとも思ってしまうほどである.

そんなこんなで滞在時間のトータルはそれほどでもないので肝心の森林公園そのものに十分なコメントが付けられないのが歯がゆくもあるのだが,唯一あの噴水のところのモニュメントがハルヒアニメに登場したところでは不覚にも懐かしさが胸にこみあげてきたりした.というのも市内の印象的な造作物というのはことごとく震災で破壊されていて,私が里帰りしたときですらそのような懐かしさを感じること自体稀であるからである.確かに広田神社などはほぼそのままの風情を今に残してはいるがそれはやはり震災で再建されていたり,周りを見回せば何かしら当時との違いを見つけてしまうのである.それがこの森林公園のモニュメント周辺は全く当時との違いを感じることが出来ないのだ.実際森林公園を頻繁に訪れていたのが幼い時期であったためそれほどのディテールまで記憶出来ていないがためにそのような感覚を覚えたのかも知れない.

さて森林公園はここらへんにしておき,その周辺に話しを移そう.次は甲山である.この甲山はアニメには実のところ登場していないはずである.しかし原作に登場する鶴屋さん宅の裏山というのがいかにもこの甲山そのものであると聖地巡礼者の皆さんの間でまことしやかに語られていたので,興味の赴くままに読み解いてみたのである.

するとその描写や登山に要した時間など,実際甲山に登ったことのある私の記憶そのままがそこに表現されていたのである.まあ西宮市内にあの描写にぴったり合致するようなスポットが他に存在しないとまで言い切れはしないものの,続編ではぜひこの甲山もアニメ背景に登場させて欲しいと願って止まない私なのである.

この甲山のほとりに北山ダムというスポットがあり,どうってことのない大きめの貯水池なのだが,甲山の真正面に位置するということから当時は一応レジャースポットにも分類されていた.中学の頃だったと思うが,写生大会と銘打った遠足に行った先がここで,さんざん歩かされたあげく,皆で甲山に向かって絵を描かされた.歩きつかれてただでさえ短い写生時間内に絵を一枚書き終えないと後日までの宿題になるということで,美術の心得のある友人に教えてもらい,かなり斬新な描き方や色遣いをして時間内にかなり適当に描き上げてしまったが,なぜかわからないがそれがクラス内で佳作に選ばれてしまいなんだか決まり悪い思いをしたのを覚えている.

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