その秋,洗車のついでにエアフィルタを外してみた.以前リアサス交換のときに,バイク屋と低速の不調について相談の結果とりあえず取り寄せてもらって自宅にストックしておいたものと交換しようと思ったのだ.その時点でストック期間は約8ヶ月になろうとしていたのであるが,メンテに対しての情熱があまり無い事がこの点から露呈してしまう.
外してみてびっくり.自分では一度も開けた事が無かったがこれほどとは...黒いススが一面にびっしりと堆積していてフィルタの厚さが倍ほどに膨らんでいる.クリーナーボックスから取り出すときにフィルタは面方向にスライドさせて取り出すのであるが,その段階でそのススがクリーナーボックスの中に落ちていくのがわかる.あまりに酷い状況に感動しつつもとりあえずフィルタを新品に換える.
実はその今までついていたフィルタを再利用できないものかと中性洗剤を水に薄めてに漬けてみたのだが,この顛末も情けないので紹介しておこう.まあ浅はかな考えの下やってみてその見るもおぞましい状態になったフィルタが水溶液面に接触した刹那.落ちるは落ちるは,ススや埃が...まるでブラウン運動の実験でもやっているかのように,ありとあらゆる汚物が洗面器の液面の面積いっぱいにものすごい勢いで拡がっていく.これだけ取れるんなら,一度液を換えてやってみようということで液換えのために液面から引き上げた瞬間.フィルタはあたかもすでに20匹以上もしとめた後の金魚すくいのポイであるかのように脆くも枠から剥がれ落ち,水の中に消えていったのであった.おそるべし経時変化とまた感動...(完全に自分のメンテ不行き届きだろ)
さて新品フィルタはちゃんとオイルを吹いてセットしたのだがエンジンをかけようとするも一向にかからず,チョークをいろいろな角度に換えてかけるとやっとかかった.しかしチョークを戻すとエンジンが停止してしまう.アイドリングスクリューをぐるぐる回しアイドリングが安定するところを見つけようとするも,その回転は何と1500r.p.m.
この回転数では真冬でもちょっとした渋滞でファンが回り始めるし,何にせよ燃費が悪い.何とかしようといろいろなwebをウロウロし情報を収集するうち吸気効率が急激にupしたため排気効率とのバランスが崩れ,アイドリングの不安定につながっているのではないかという結論になった.おそらくエアの吸い込みが極度に少なく燃調が濃い状態で長い年月乗り回していたから,ヘッド周りにカーボンが付きまくっていてこんな状況になっているのかも知れない.
そういえば以前強風で倒れ変形したマフラーのフランジのあたりから排気漏れがあるのを最近確認している.冬場の暖気途中なんてのはマフラー内に結露していることもあって,後ろに加えサイレンサの前からも排気が出てくるので一昔前に各家庭のガス風呂についていた煙突のよう(T字型のやつ)に盛大にさまざまな方向に湯気を吐き出しているので,文明開化の時期を思い起こさせるのである意味滑稽でさえある.まあ,暖気途中のそのようなささやかな楽しみはどうでもいいこととして,いずれにしてもヘッドを開けて何かしらする前に吸気が正常になったのだから,排気側も同じレベルにそろえてやらなければなるまい.しかしサイレンサー部分の取り替えだけでも純正で40000円程度かかる.純正でない場合勿論スリップオンでも55000円である.私の渋ちんコンピューターが数秒の沈思黙考の末はじいた答えにより自ずと方針は見えた.