洗車

洗車は好きな方である.いや,好きであったといった方がいいだろう.学生のころは日曜日ともなると呑んだ翌日でない限りは売るほどの時間があるのである.バイクでどこかに行きたいところがガソリンにまわすお金がない時にはいわば洗車するしかないという状況になるわけで,そう考えると洗車がすきというにはほんとに洗車好きの人に失礼かもしれないと思う.

GPz400Fは実のところ購入時下回りはあまりきれいではなかった.これは本来どんなバイクにもいえることなのだが,しばらく乗っているうちに同じGPz400Fに乗っている先輩の車体と比べてみて,ホイールとチェーンなど主に下回りの見栄えが全体の印象に大きく影響する事に気がついた.自分の車体を見るとホイールを見ると白く腐食しているし,チェーンの汚れもひどい.加えてステップ周りもアルミの腐食が目立つ.早速これを落とすためにピカールを購入.まだ夏になりきっていないものの休日の昼間灼熱地獄の下3-4時間汗をだらだらにしながら磨いた.ホイールの黒く塗装されているところはカーシャンプーを使う.でもなかなか落ちないので結局日没までかかった.

ホイールがきれいになり天気のいい日は反射が眩しいくらいになった.これに反比例して次はチェーンの汚れが気になってくる.学生なので暇は充分にあるが知識はない.CRCと歯ブラシで磨くのみ.当時シールチェーンかどうかなんて知識はなく,CRCを使ってしまったがこれがチェーンの寿命をすこぶる縮めてしまったのではないかと今になって後悔していたりする.そんないい加減な作業もあまりにも堆積した汚れの前には無力であり結局4時間以上を費やし終了.最後にCRCをふき取りチェーンオイルを塗って立ち上がると真っ黒のチェーンの汚れがかかって今度はホイールが汚ーいっ!再びリアホイールを磨き上げ作業終了である.まあメンテのシロウトとはいえ,ホイールよりもチェーンを先にするのは少々の馬鹿でも分かる話だと反省しきりである.

まあ下周りばかりでなく,外装についても語ろう.洗車の花形といえばワックスである.当時はまだ高価だったシュワラスターブライトマスターを入手した.大体学生が必要に迫られてバイクに乗っているのだから雨にあうのは当然である.そんな日はバイクを降りるとエンジンから湯気があがっている.エキパイも泥でまっ茶色.都合のいいことに(?)タンクやカウル,シートは濡れている.駐車スペースには屋根があったので雨がまだ降っているにもかかわらず自然に洗車したい気分になるわけである.まず水滴を乾拭きで落とす.それでも十分きれいだがブライトマスターを薄く,本当に薄く塗り込む.本来はタンクの塗装にしかワックスしないのが一般的であるが,カウル,サイドカバーにも塗るのである.

ここでワックスの乾きを待つ間に下回りの洗車に移る.GPz400Fは空冷の上にアンダーカウルなる物がない.よってフレームのダウンチューブ,エキパイの裏やエンジンフィンの一枚一枚まで拭けるのである.湯気をあげているエンジン回りには先程乾拭きで使ったタオルが役に立つのである.適当な湿り気が黒塗装の上を滑らかに滑り,きれいに仕上がる.水気が足りなければホイール回りを拭けば再び湿るのである.またこのタオルはそのまま洗い,ある程度きれいになったところで何度も風呂で自分の体を洗うのに使うとあら不思議.元どおりにきれいになるのでリサイクル可能である.このタオルはワックスの塗りこみは除去をしないので,よほど酷いオイル汚れを拭かない限りこんな再利用をしていた.まあ若気の至りといえばそうなんだろうが,そんな事が平気と感じるくらいバイクを愛していたのかもしれない...

仕上げとしてもう一枚のタオルでブライトマスターを拭き取る.最後にワックスのちょっとだけついたタオルでスクリーンを拭くと少しだけ透明度があがる.完成である.一度ポリメイトをスクリーンにつけたところ雨が降ってスクリーンの上で流れたところだけ透明度が下がり,乾いた後でも川のようなしみが残った.拭いてすぐはきれいだが雨が降ると一気に汚くなるので,それからスクリーンはこの少しさけワックスを使う方法で透明度を維持していた.

あとはチェーンオイルをつけて次の日は美しいGPz400Fに乗れるのである.この時ニーグリップをしっかりしていないと腿がタンクの上で滑り,タンクに股間をぶつけてかなり悲惨なことになる.こんな感じでつくづくバイクの基本に立ち返ることの出来る洗車はお勧めである.

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