トラブル

子供も出来,週末に自由な時間が少なくなると,バイクに乗る時間が削られていく.妻の顔色を伺いバイクに乗るべきかどうか決めなければならず,自然に遠出もしないので年間1000km程度の走行になってしまう.G1の頃のように自分のせいで乗れないというわけでないので乗れないのを妻のせいにしておいて精神的な苦痛もあまりない.それでもたまの出張などにZXRと出かけると,やはり機嫌が悪い.冬場は特にガソリンの回転率の低さから掛かりが悪い上ノッキングも起こしやすい.高速はまったく問題なくリミッタまできっちりと回る.しかし低速はすかすかの状態であったのでキャブが古いガソリンで汚れてきているのはありありと分かった.

3年後の冬,ZXRは最悪のコンディションにあった.エンジンがかからずバッテリがあがってしまったのでバッテリを充電した.それでもかからないので意を決してキャブとタンクの掃除をするため,寒風吹きすさぶ中駐車場でタンクをあげようとする.カウルを外し,タンクを止めるネジを外し,FUELコックを閉じた瞬間,悲劇は起きた.あれ?指が冷たい...ああっ!ガソリンがあああ!!!

あたりはガソリンの海.FUELコックをリザーブかoffにするとガソリンがその周りから吹き出してくる.コックのパッキンがいかれていたみたいである.onにしているととりあえず漏れないのであるが,コックをオーダーして交換し,自分でまたカウルを外してキャブを開けて...なんて考えるのが嫌になってしまった.結局バイク屋に引き取りにきてもらう.

結局交換部品はパッキンだけだったのだが,キャブの掃除(OHではない)もいっしょに頼んだので引き取りあわせ約3万円の出費となった.調子は戻ったが,今度はパワーが低速で出てくるようになった分リアが変な挙動(沈み込み)をするようになってきた.高速に乗ってもちょっとしたギャップを乗り越えるとディズニー映画のグーフィーがぶん殴られた後のようにビョーンビョーンとほぼ同じ振幅で数回上下する.これを消すためにけつを上げて人間ショックアブソーバーをするのであるが,16○km/hでこれをすると風圧で上半身がもっていかれそうになる.リアショックのダンパがいかれたのである.

危険なので何とかしようとバイク屋でホワイトパワーのリアショックを見積もってみた.12万...バイク屋のカタログには89年式対応のOHLINSはなかった.ホワイトパワーにしても純正のほぼ倍である.結局悩んだものの金策がつかないまましばらく生死の境目をさまよう事にした.

3回目の車検はリアタイヤにマークが出てきたので交換してから受ける事になった.バイク屋に頼むのも何なので近所のパーツショップ(といってもバイク屋の方がうちから近い)で換える事にした.170/60-17はその当時BIGBIKEにしかなく,いってそのまま在庫がある訳もなかった.しかし一本だけあった.MICHELIN M59X.値段も聞かず入れてもらったのはいいが,工賃含めて36000円を超えた.バイク雑誌でMICHELINでも25000円程度と見積もっていた私は愕然とした.その上,交換してくれたオヤジに"リアショック死んでるネ"というありがたいお言葉まで頂いてしまった."そーなんですよー"と返しながら心の中では"余計なお世話じゃ"と叫ぶ私.

車検はリアショックが抜けててもライトの光軸さえあっていれば通るのである.タイヤが変わってもリアショックがこれではタイヤインプレも出来ない...皮むきの間発進時リアがふんばらないもので簡単に空転する.左折とかのときもバンクした状態からアクセルを開けると横滑りする.トルクがもりもり出てこうなっているのではなく,ダンパが死んでスプリングだけでリアが伸び縮みしているからこうなっているわけで,格好悪い事この上ない.トラクションが効かないというのはこういう事なのか...

このせいで右左折とかくだらないところでハイサイドすることが多くなった.こんなことでスリップダウンでもしようものなら,後悔の連続である.その後も数回のショートツーリングでブレーキング時にリアが跳ね上がる兆候が確認され,ジャックナイフ状態でコーナーに突入するという恐い目にあったりもした.リアがバウンドして接地したときはフロントが暴れ,何度も死ぬかと思った.ダンパはその時点で完全にいかれていて,しばらくそれらの現象がそれ以上激しくなる事はなかった.

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